2015年10月30日8:45
「American Express(以下Amex)はどんな会社かという問いに、ほとんどの人はカード会社だと答えるでしょう。しかし、私の答えは違う。私はプラットフォーム会社だとみている。われわれは世界最大の決済プラットフォームを保有しているのです」Amexのシュノールト会長兼CEOは、2014年の年次報告書でこう語っている。
Amexがクレジットカードビジネスへ参入したのは1958年。以来60年、クレジットカードのプレミアムブランドとして君臨してきたAmexだが、その真の姿はクレジットカードを発行しているだけの会社ではなくなっている。カード会社から決済プラットフォーム会社へ、Amexは変容しているのだ。
その変容は時代の変化に適応するためのものである、ということはいうまでもない。Amexはデジタル時代にどのように対応しようとしているのか。これからカード会社が向かうべき道はどの方向にあるのか。Amexの直近のチャレンジを下敷きに考えてみたい。
■進化のためのプラットフォーム構築
Amexは決済プラットフォーム会社へどのように変容しているのか。そもそもプラットフォームとはなにか。それを確かめるため、2014年1月から2015年9月末日までのトピックスを集めてみた。(次ページ参照)
トピックスを分類すると大きく5つのカテゴリーになる。プレミアムサービス、ベーシックサービス、スモールビジネス、パートナー、そしてテクノロジーだ。テクノロジーを除く4つのカテゴリーは、Amexがいま狙っているターゲット。テクノロジーはそのニーズを満たすための手段と考えられる。これらにトピックスを加えて図式化すると上図のようになる。
Amexがいうプラットフォームとは、ターゲットニーズに合わせた決済サービスを提供する基盤、だということがわかる。プラットフォームを構成するものは3つ。基幹となる決済ネットワーク、ユーザーインタフェイスとしてのウェブ/モバイル、そしてリウォーズである。
このプラットフォームに、プレミアム層、スモールビジネス、ベーシック層、そしてパートナーが乗っている。Amexの強みは決済サービス利用者とマーチャントが同一のプラットフォームでつながっていること。世界規模のクローズドループネットワークなのである。
マーチャントと利用者がシームレスにつながっているため、トランザクションデータの活用がリアルタイムにできる。ウェブやモバイルでの顧客体験価値向上。パーソナル化したリウォーズ提供。利用パターンに応じたマーチャントのレコメンドなどが可能になるのだ。