2015年11月25日8:00
米国・シカゴに本社を置くTrustWaveは、世界96カ国でサービスを展開する企業であり、Payment Card Industry (PCI) サービスについても世界屈指の実績を有している。2015年10月14日~15日に開催されたPCI SSCの「第四回 PCIアジア太平洋コミュニティミーティング」で来日したTrustWave Asia Pacific Executive Director Mike Petitti氏に同社の強みについて話を聞いた。なお、TrustWaveは、世界的なサイバーセキュリティ対策を強化する計画の一環としてSingtel(シンガポールテレコム)が今年買収した。
PCIの新たなセキュリティ基準が登場するたびに審査機関として活動
――まずは、貴社のサービスについてお聞かせください。
Mike Petitti:PCIの観点からいうとグローバルなスタンダードとなっています。最初は米国から始まって、欧州での導入が進み、アジアでも展開が始まっています。TrustWaveは、PCI DSSのQSA(認定セキュリティ評価機関)が2001年、ASV(脆弱性スキャニングベンダー)が2003年、フォレンジック調査を行う「PCI Forensic Investigator(PFI)」と「PA-DSS」の評価機関であるPA-QSAが2005年、 PCI Point-to-Point Encryptionへの認定を調査する「P2PE QSA」が2012年といったように、セキュリティ基準が登場するたびに審査機関として活動しています。
――具体的な実績についてはいかがでしょうか。また、グローバルでの位置づけは№1となりますか?
Mike Petitti:ユーザーは、PCIのQSA、ASV、PFI等で300万あります(TrustKeeperプラットフォームの登録者で300万を超える)。どの会社もQSAの審査や脆弱性のスキャニングは必要となりますので、必然的な数字です。また、現在は競合と呼べる企業も数多く出てきていますが、長年においてPCIのサービスを提供していますので、弊社としては№1と思いたいです(笑)。
――PCIについては、世界的な広がりを感じていらっしゃいますか?
Mike Petitti:PCIは、Visa、MasterCard、American Express、Discover、JCBの世界の5大クレジットカードが推奨しています。また、Discoverは銀聯とJCBと提携しており、国際的に見てもグローバルに推進していくと思います。銀聯もPCIの流れに入ってくると予想されます。
また、強調したいところは、Chip&PIN(EMV ICカードとPIN入力による認証)だけでは物足りない部分があり、情報漏洩がある限りPCIは必要となり続けるでしょう。
――最近はQSAに対してPCI SSCからの監査も厳しくなっていると聞きます。また、PFIを展開する上での貴社の強みについてお聞かせください。
Mike Petitti:弊社は、PCI SSCからの評価も高いです。また、2014年から世界中の574の調査からのグローバルセキュリティレポートを出しましたが、そのすべてのPFIを担いました。ペイメントインフォメーション(支払い情報)に限って言えば、700以上の調査を実施していますので、インテリジェンスは数多く保有しています。
Singtelと協力してアジアの市場を開拓へ
――米国では、ターゲット(Target)の情報漏洩などがありました。
Mike Petitti:米国だけではなく、日本でもありましたよね。ハッカーは、人口が少ない地域よりも、米国や欧州や日本等、ビジネスや人口が多いところを狙っていくでしょう。
――今後の目標についてお聞かせください。
Mike Petitti:PCIはTrustWaveのビジネスの中のコンプライアンスマネジメントに入っています。たとえば、虫歯があったら歯医者に通って治さなければならないように、そういったサービスも充実しています。PCIのサービスに加え、診断やソリューションをすべて提供できることが強みであり、今後もそれを続けていきたいですね。
――日本のマーケットに関してはいかがでしょうか?
Mike Petitti:2020年の東京五輪に向けて、PCIはもちろん、企業のセキュリティは重要となります。われわれはSingtelと一緒になりましたので、協力してこの市場を開拓していきたいです。すでにアジアでは、ニュージーランドとオーストラリアでは深くサービスを提供していますが、APACにはさまざまな国があり、各国ごとに特性は異なります。世界の60%の人口がAPACにいますので、ビジネスの機会はたくさんあると考えています。