2016年7月8日10:00
日本NCRは、2016年7月7日、NCRのグローバルでの動向や国内のビジョンを紹介するプレスラウンドテーブルを開催した。ラウンドテーブルでは、本社(NCRコーポレーション)のシニア・バイスプレジデントであるエリ・ロスナー(Eli Rosner)氏より、NCRの考えるオムニチャネルプラットフォームについて紹介。また、日本NCR 代表取締役社長 内藤眞氏が2016年のキーソリューションについて説明した。
世界中で6億を超えるトランザクションを処理
ソフトウェアの売り上げが高まる
米国・NCRコーポレーションは、セルフレジ市場および、ATM市場で世界最大シェアを獲得し、長年にわたってPOS/ATM市場を牽引している。日々、6億を超えるトランザクションを処理しているが、同社ではソフトウェア、ハードウェア、サービスにおいてマーケットリーダーであると自負している。
近年は、グローバライゼーションの大規模な民主化が進行。世界中のスモールビジネスがグローバライゼーションに参加しているが、例えば、Facebookでは過去2年でスモールビジネスが2倍になるとともに、ファンの約3割が米国以外からとなっている。さらに、テクノロジースタートアップの86%がグローバルでビジネスを構築している。
そんな中、NCRの売上も米国以外の地域が半数以上を占める。また、ソフトウェア、ハードウェア、サービスの売上構成比もバランスのとれたものとなっている。ロスナー氏は、「ソフトウェアの売り上げ構成比は、5年前は10%でしたが、2015年は27%まで伸びています」と説明する。また、NCRの2015年の売上は342億ドルだったが、5年後には530ドルまで伸ばしていきたいとした。
モバイルデバイス、ビッグデータ、クラウド、IoT分野が重要に
APIを用いたオープンな環境を整える
NCRでは、流通・金融業界における長年の実績をベースに、近年では、ソフトウェアとクラウドによりシフトしたビジネスを展開している。オムニチャネルの進化により、モバイルデバイス、ビッグデータ、クラウド、インターネットオプシングス(IoT)の4分野がますます大きな比率になるとみている。
「オムニチャネルは業種を問わず広がります。今までは縦割りの構造でしたが、6億のトランザクションの中でさまざまな業界に水平展開して利用していただけると考えています」(ロスナー氏)
また、利用者が持つデバイスは増えており、複雑さを増している部分もあるが、ユーザーの行動により発生した統合データに対して、APIを用いたオープンな環境を整えることで、他のエコシステムとのビジネス統合を手助けしていきたいとした。
日本NCRは2020年に創業100周年
4つのソリューションをキーにビジネス展開
日本NCRは、2020年に創業100周年を迎える予定だが、ソフトウェアサービスに注力する方針だ。顧客属性、購買履歴、ウェブサイトやコールセンターなどのビッグデータを蓄積することで、顧客のニーズに合わせたマーケティング展開の実現を目指す。また、NCRではPOSを提供しているが、POSのソフトウェアは他社のサービスを使用することもできるため、M&Aなどでビジネスを広げる際に有効であるという。
内藤氏は、2016年の日本でのキーソリューションとして、「リテールソフトウェア、モバイルPOS」、「セルフレジ/セミセルフレジ」、「接客支援ソリューション」、「不正検知ソリューション」の4分野を挙げた。
リテールソフトウェア、モバイルPOSは得意とする分野だが、セルフレジはリテールの人手不足を補うのに有効だ。また、最近では支払いのみを自らが行うセミセルフレジの引合いも増えている。接客支援ソリューションは、来店した当該顧客と接客したことがない店員であってもおもてなしの接客が可能なツールとなる。また、在庫情報との連携も行える。
不正検知ソリューションとして「Fractals」を提供
国内のカード会社での採用は?
さらに、カード会社などに向け不正検知ソリューションとして「Fractals(フラクタルズ)」を提供している。同ソリューションは、ATMやクレジットカード等の不正な取引をルールエンジンと適応型分類エンジン(ACE)を利用して検知するソリューションとなる。ルールエンジンでは、怪しいと疑われる取引が4回、5回行われた際などのルールを設定し、アラートをあげて不正を防止する。また、適応型分類エンジンは傾向値となり、どのようなシーンや頻度で決済が行われたのかを統計データと集計し、スコアリングを行うもの。
すでに国内でも本格的な営業を開始しているが、「日本でもクレジットカード会社での採用実績がある」と内藤氏は語った。
日本NCRでは、2020年に向け、デバイスとソフトウェアを橋渡しできる強みを生かし、ビジネスを提供していきたいとしている。