2016年9月29日4:15
FeliCa、TypeA/Bの決済に対応した小型端末
楽天は、2016年9月28日、「楽天FinTechカンファレンス2016」をホテルニューオータニで開催したが、楽天 代表取締役 副会長執行役員 穂坂 雅之氏は記者向けの説明会で、スマホ決済サービス「楽天スマートペイ」の新たなサービスとして、電子マネー「楽天Edy」等に対応する小型の新型端末を提供する予定であると発表した。
オンラインマーケティングオペレーション革新の先駆者
「楽天カード」は1,300万会員を突破
楽天における「Fintech事業」について穂坂氏は、オンラインマーケティングオペレーション革新の先駆者であることを挙げた。「大手カード会社で100%オンラインでの申し込みは当社のみです」(穂坂氏)。楽天カードの申し込み時には、オンラインによる24時間審査を実施。また、電子メールなどを活用したプロモーション、多機能アプリをモバイル向けに提供するなど、インターネット技術に立脚したマーケティングをクレジットカード業界に導入した。
楽天カードの会員は、8月に1,300万人を突破。また、ショッピングリボ残高で業界トップとなったそうだ。海外では、台湾でのカード発行が好調で、すでに30行ほどあるイシュアのなかで5、6番手のポジションニングとなっている。
また、2009年にイーバンク銀行(現楽天銀行)が楽天グループ入り以降、事業構造の変革に着手。楽天スーパーローン、銀行ローン、デビットカードの提供などにもインターネットマーケティングのノウハウが生かされている。現在、楽天銀行の預金残高は1兆5,010億円、5.35百万口座を有する。
「楽天スマートペイ」がスマホ決済端末として国内屈指の出荷台数に
楽天Edyの利用可能店舗が中小零細分野へと飛躍的に拡大
楽天のFintechの成功事例については、スマホ決済サービス「楽天スマートペイ」を挙げた。楽天では、スマホ決済に対応したIC・磁気対応カードリーダーを業界でもいち早く提供。国際ブランドのルールに則り、暗証番号を入力するPINパッドを備え、ICチップの付いたクレジットカード、デビットカード、プリペイドカードで決済する際に、認証をサインではなく、4桁の暗証番号を打ち込むことで完了する仕組みとなる。楽天スマートペイの加盟店数や取扱高は公表されていないが、中小の加盟店や訪問販売など、国内のスマホ決済端末としては屈指の出荷台数を誇っていると思われる。
楽天では新たに、楽天スマートペイ加盟店で楽天Edyによる支払いが可能となる新端末を投入する。スマートフォンとはBluetoothで接続される。提供時期は未定だが、現在、急ピッチで提供の準備を進めている。また、他のFeliCaの決済、TypeA/Bによる支払いにも順次対応するとのこと。
今回の電子マネー端末導入により、楽天Edyの利用可能店舗が中小零細分野へと飛躍的に拡大するという。また、共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」、楽天Edyと連携し、クレジットカード決済も絡めることで、ビッグデータとしての活用も視野に入れる。
競争力のあるプライシングで市場へ投入
中小規模の店舗において、楽天Edyの存在は大きい
記者会見後、楽天 スマートペイ事業長 小林重信氏に楽天Edyに対応した新端末について話を聞いた。
――まずは、端末の提供時期や価格についてお聞かせください。
小林:端末の価格や提供時期については、最後の詰めを行っています。ただ、これまで同様に競争力のあるプライシングで提供する予定です。
――楽天Edy以外の規格への対応はいかがでしょうか?
小林:端末の規格としては、FeliCa、TypeA/Bに対応しています。どの規格に対応するかはお客様のニーズとブランド各社との経済条件などにもよると思いますが、お店が求めているサービスから提供していきたいです。
――楽天Edyの月間利用件数をみると、他の電子マネーに比べて大きな伸びを示しておらず、停滞している印象を受けます。
小林:一般の個店などでは楽天Edyが利用できる店舗はかなりの割合を占めています。マーケットを分解したときに、楽天スマートペイのターゲットである中小規模の店舗において、楽天Edyの存在は大きいです。今回のサービス提供により、決済のすそ野は広がっていくと思います。
――楽天スマートペイがスマホ決済では最もシェアが高いという声もありますが、今後の目標についてはいかがでしょうか?
小林:弊社の決済端末をご覧になる頻度も増えてきたと思いますが、まだまだ始まったばかりです。日本は諸外国に比べてカード決済の比率が低いので、さらに成長すると考えています。