天保山マーケットプレースで手のひら認証決済、光ID多言語情報サービスなど訪日外国人向け先進体験実証

2016年10月13日10:09

パナソニック システムネットワークスは、経済産業省の公募委託を受け、三井住友カード、大日本印刷(DNP)との協働プロジェクトとして、大阪の商業施設「天保山マーケットプレース」(海遊館)等で、ユーザーのスマートフォン等で利用登録が可能な生体(手のひら)認証を用いた決済、LED光源を利用したスマートフォン等への多言語情報サービスの実証実験を行っている。「天保山マーケットプレース」で記者が実際にサービスを体験した。

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経済産業省「IoT活用おもてなし実証事業」
「miQip」と連携し、全国3地域のサービスが利用可能

経済産業省「IoT活用おもてなし実証事業」(関西/大阪)は、2016年10月1日~2017年2月12日まで、関西国際空港(関西エアポート)、なんばCITY(南海電気鉄道)、天保山マーケットプレース(海遊館)での実証を予定している。

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天保山マーケットプレースでは、訪日外国人にサービスの利用を告知

同事業では、訪日外国人の属性情報・行動履歴等を事業者間で活用可能な全国共通IDサービス基盤「おもてなしプラットフォーム」の「miQip(マイキップ)」に登録された基本属性情報と連携。今回の経済産業省実証事業は、「関東実証(湯河原・箱根・鎌倉)」、「九州実証(福岡)」も行われているが、利用者はmiQipに自身の情報を登録することで、IDとパスワードが1セット発行される。これを利用して、miQipと連携する3地域のサービスが利用可能だ。なお、miQipでは、DNPのVRM(Vendor Relationship Management)システムを採用している。

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「miQip(マイキップ)」

今年度の実験では、観光情報提供による旅前からの観光誘客施策、関西国際空港 国際線到着ロビー、南海電気鉄道/関西空港駅構内、なんばCITY免税カウンター前、天保山マーケットプレースでのデジタルサイネージ配信、三井住友カードが新たに提供する訪日外国人向け旅行メディア「JOURNEY of JAPAN」による観光地・観光施設の紹介等を実施。また、カード番号を事前に登録した人に対し、手のひら認証によりキャッシュレスで支払いが可能な実証実験も行っている。さらに、デジタルサイネージや実証参加店舗に設置する光ID対応LED看板にはスマートフォン・タブレットをかざすだけで、さまざまな情報を受信できる光ID送信機能が搭載されており、6言語で情報提供を行う多言語情報サービスを提供している。

店舗では手のひら決済が利用できることを示したアクセプタンスマークを掲示
店舗では手のひら決済が利用できることを示したアクセプタンスマークを掲示

事前に手のひらとカード情報を登録
店舗では手のひら認証で支払いが可能

「生体認証(手のひら認証)決済サービス」の試行は、天保山マーケットプレース25店舗で実施。利用者は、「miQip」を利用して、自身で掌紋(手のひら)を撮影し、決済に利用するクレジットカード情報(Visa/MasterCardブランドが利用可能)と併せて、手のひら認証決済サービスに登録する。手のひら認証技術は、ユニバーサルロボットが技術提供パートナーとなっている。

事前にスマホで生体情報とクレジットカード情報を登録。手のひら決済の利用履歴もスマホで確認できる
事前にスマホで生体情報とクレジットカード情報を登録。手のひら決済の利用履歴もスマホで確認できる

手のひら認証では、事前にスマホで3回、ユーザー自身の手のひらを登録。また、カード情報はPCI DSSに準拠したDNPの「DNPマルチペイメントサービス」を活用して厳格に管理される。ユーザーは、対象店舗での買い物時に、手のひらを店舗設置のタブレットにかざすことで支払いが完了する。決済時には、タブレットにユーザーの生年月日を入力してもらうことで本人確認を強化している。

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スマホで3回、自身の手のひらを登録
クレジットカードはVisaとMasterCardブランドを登録可能
クレジットカードはVisaとMasterCardブランドを登録可能

「異国の地で生体情報やカード情報を登録するという障壁もありますが、案内を工夫しながら登録を促しています。たとえば、手のひら認証では、生体情報から特徴点だけを抽出しており、数値化したデータで複合できない仕組みとなっています。また、カード情報はPCI DSSに準拠した環境で安全に取り扱いを行っています」(三井住友カード 商品企画開発部兼アクワイアリング企画部 部長代理 松尾和明氏)

認証強化のために生年月日を入力
認証強化のために生年月日を入力
手のひらをタブレットにかざして認証を行う
手のひらをタブレットにかざして認証を行う

光ID技術を利用して母国語で情報の受け取り可能
ユーザーの基本属性を店内に設置したタブレットに通知

「光ID多言語情報サービス」は、英語、中国語(簡体・繁体)、韓国語、タイ語の6言語でサービスを提供。スマホに光IDのアプリをダウンロードした人は、デジタルサイネージにアプリを近づけると、母国語で情報を受け取ることが可能だ。同サービスは、天保山マーケットプレース(実証参加 27店舗)、なんばCITY(国慶節イベントに参加する10店舗)で展開している。

デジタルサイネージにアプリを近づけると、母国語で情報を受け取リ可能
デジタルサイネージにアプリを近づけると、母国語で情報を受け取リ可能

今回利用しているパナソニックの光ID技術は、可視光通信技術を発展させ、LED光源の高速点滅によって発信される固有のIDをスマホ搭載のイメージセンサ(カメラ)と専用アプリケーションを用いて高速受信するものだ。

実証実験では、店舗に設置した光ID対応LED看板を活用し、来店者の国籍、言語、性別、年代といった基本属性を店内に設置したタブレットに通知するサービスを実施。これにより、「店舗では、国籍等に応じた声掛けを実施するなど、さらなるおもてなしサービスを行うことが可能になります」と、パナソニックシステムネットワークス 物流ビジネスシステム部 ソリューション1課 高橋丈氏は話す。

基本属性を店内に設置したタブレットに通知
基本属性を店内に設置したタブレットに通知

店舗と協力したスタンプラリーも実施
「JOURNEY of JAPAN」で全国の観光地・観光施設を紹介

たこ焼きが貯まるスタンプラリーも実施
たこ焼きが貯まるスタンプラリーも実施

なお、同実証における誘客施策の一環として、天保山マーケットプレース(10/8 ~ 10/14 )となんばCITY(10/1 ~ 10/7 )店舗の協力を得て、光IDを利用したスタンプラリー企画「Takoyaki Rally」を展開。ユーザーは、店舗の前で光IDの読み取りボタンを押すと、スタンプに見立てた「たこ焼き」が貯まり、10個貯まると景品と交換可能となっている。

10個たこ焼きが貯まると景品に交換できる
10個たこ焼きが貯まると景品に交換できる

同実証実験では、三井住友カードが新たに提供する訪日外国人向け旅行メディア「JOURNEY of JAPAN」による観光地・観光施設の紹介およびスマホを用いたクーポン配信機能を連動させ、送客・誘客を促す情報提供サービスを本実証において活用している。同アプリは、観光情報や加盟店の情報等を発信することで、訪日外国人の観光地や加盟店への送客を行うとともに、加盟店にとってWEBサイトでの幅広いPRに加え、アプリでの効果的な集客が可能となるプラットフォームとして提供するそうだ。

「JOURNEY of JAPAN」
「JOURNEY of JAPAN」

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