2019年11月18日19:20
ソラミツとカンボジア国立銀行は、カンボジアにおける金融包摂を促進するためにブロックチェーン「ハイパーレジャーいろは」を活用し、無料の決済・送金を実現するトークン型のカンボジア国立銀行デジタル決済「バコン」を開発し、正式導入に向けたテスト運用を開始したと発表した。
カンボジア国立銀行の「バコン」導入の目的は、金融包摂、金融政策力の維持、自国通貨の強化、銀行口座開設率の向上、電子商取引への対応、クロスボーダー取引などとなる。「バコン」はそれ自体が現金と同等の価値を持ち転々流通可能なトークン型のデジタル決済であるそうだ。
カンボジア国立銀行が主導的に運営し、全ての国民・全ての金融機関に提供する強固なセキュリティと十分な処理能力を備え、安全、簡単、迅速に、そして無料で現地通貨のリエルやUSドルの決済・送金が行えるとしている。また、利用者は、送金先の銀行口座番号を知る必要がなく、相手の携帯電話番号宛に直接送金したり、QRコードをスキャンして決済や送金を行うことができるそうだ。
「バコン」プロジェクトでは、①個人間、企業間の送金や店舗・請求書などへの支払いを行うリテール決済システムと、②高額の銀行間決済を瞬時に行うリアルタイム・グロス・セトルメント(RTGS)システムの両方をブロックチェーン化し、銀行API(ISO-20022)ネットワーク経由で従来のコアバンキングシステムと連結することにより、少額から高額の全ての決済や送金が一貫してブロックチェーンで処理されており、国家全体の決済アーキテクチャーの大幅な簡素化・低コスト化を実現したとしている。
なお、カンボジア国立銀行はタイ中央銀行との間で、両国で使用できるEMVco互換の共通QRコードベースの支払いシステムの導入に関する覚書に調印し、ソラミツおよびカンボジアの2つの銀行、タイの1つの銀行はクロスボーダー決済システムの開発を進めている。カンボジア国立銀行は最近、マレーシアのメイバンクと契約を締結し、それぞれのデジタル決済プラットフォーム(バコンとメイバンク2u)が連携してクロスボーダーの送金を瞬時に行い、送金手数料を削減するシステムの構築に合意している。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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