2010年12月6日8:00
駐車場でITSスポットを利用したキャッシュレス決済の実験を実施
決済処理時間の短縮が今後の課題
国土技術政策総合研究所(国総研)ではITSスポットを利用した次世代道路サービスの研究を実施しているが、12月3日に東日本高速道路が管理する東京都千代田区の日比谷駐車場で公開実験を実施した。
国総研と民間5社との共同研究
チケットレスで駐車場での精算を実施
ITSスポットはカーナビやETCを進化させて一体化し、オールインワンで多様なサービスを実現できるように、道路に設置されたアンテナのことである。2011年1月から3月には全国の高速道路上を中心に1,600カ所の整備が完成。自動車に搭載した「ITSスポット対応カーナビ(DSRC車載器)」と高速・大容量通信を行うことで、ドライブ中の注意喚起、渋滞データなどのルート選択、ETCサービス、インターネット接続による観光案内などが行えるようになるという。
今回の実験は駐車場やドライブスルーといった民間での応用について、アマノ、沖電気工業、東芝、JVC・ケンウッド・HD、パイオニアとの共同研究となる。それぞれの役割分担として、国総研はITSスポットの開発、実証実験の協議・調整、全体の取りまとめを行い、アマノは料金精算機の改造、沖電気工業と東芝は売上管理機器のソフト開発、JVC・ケンウッド・HDとパイオニアはITSスポット対応カーナビの開発を担当した。
日比谷駐車場ではITSスポット対応のカーナビを搭載した車を実際に走行。駐車場の入口と出口でそれぞれ三菱電機製のITSスポットと通信を行い、正常な動作が行われているかを確認した。
まず自動車を運転するドライバーは自身のITSスポット対応カーナビにICクレジットカードを装着する。今回の実験ではクレジットカード会社提供のテストカードを使用した。ドライバーは日比谷駐車場の入口のゲートに停止し、入口でITSスポットを読み取るとゲートが開く。
駐車場を出る際は、出口のゲートの前で車を停止するとカーナビ画面に「利用料金は○○円です。クレジットカードでお支払いは〈はい/YES〉を押してください」と表示され、「YES」を選択すると決済処理が行われる。課金処理完了後、ゲートが開きキャッシュレスで駐車場の入出が可能となる。
通常、駐車場では入庫時にチケットを受け取り、それを出口に設置した精算機に入れることで精算処理が行われるが、今回のシステムならば運転手はICクレジットカードを車載器に入れるだけで自動的に精算ができるようになる。
2011年1月にはカード会社に接続し
課金確認の実験を実施
今回、記者もITSスポット対応カーナビ搭載車に乗車し、入口、出口のゲートで動作確認を行ったが、出口においての決済処理の時間が若干長いと感じた。国総研の担当者も決済処理時間の短縮を今後の課題として挙げている。
国総研では2011年1月にもクレジットカード会社に接続して課金確認を行う実証実験を実施。その結果を踏まえ、来年3月にガイドラインを策定する。
将来的には駐車場やドライブスルーなどを運営する民間の事業者がサービスを展開することを期待している。車載器に関してはカーナビにソフトウェアをインストールことでキャッシュレス決済が可能になる予定だ。