2025年6月30日8:03
NTTドコモ(ドコモ)とインテージ(以下、インテージ)は、日本経済研究所と川崎フロンターレの協力の元、Jリーグクラブ「川崎フロンターレ」のホームスタジアム「Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu」周辺において、ドコモの位置情報、決済情報、ユーザー属性情報※1等を活用した人流・消費行動を分析し、スポーツイベントが地域経済に与える効果を分析・可視化するための実証実験を2024年3月1日~210月8日の期間で実施した。
(NTTドコモ/インテージ)
同実証実験は、ドコモが位置情報、決済情報をもとに分析した統計情報をはじめとする複数の事業者の分析結果を用いてインテージが地域消費動向等の分析を行い、日本経済研究所と連携してレポートをとりまとめ、2025年6月27日に日本経済研究所が分析レポートを公開している。
近年、スタジアム・アリーナなどの大型スポーツ施設は、単にスポーツをする場、観戦する場としての機能に留まらず、まちづくりや地域活性化の核としての役割が期待されている。しかし、自治体等による大型スポーツ施設の経済効果の推計は、当該地域人口や消費に関する既存の統計データや既存施設来場者および地域住民へのアンケート結果に基づいて行われる一方で、実態としてどの程度の経済効果を及ぼしたかは正確に検証することが難しく、地域の人流や消費に関するデータを用いた詳細な分析が求められている。
同実証実験では、「Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu」周辺におけるスポーツイベントの経済効果を分析した。ドコモは、位置情報、決済情報、ユーザー属性情報といった多種多様なドコモデータにより、特定の時期に特定の場所における人数や決済額に関する統計情報を分析する経済効果推定技術を開発し、同実証実験で活用した。
その結果、従来の調査手法では困難であった、スタジアム来場推定有無やイベント前後におけるスタジアム周辺の滞留有無、推定利用駅などの違いによる消費行動の差が明らかになった。これは、広域なホームタウンを有するクラブチームや施設整備を検討する自治体にとって、施設の効果が広域のステークホルダーに及ぶ可能性を示すものだという。
また、同調査結果の公開を通じて、ビッグデータの具体的な活用方法やその特徴を周知するとともに、必要なデータ提供を行うことで、より精緻なスポーツ産業の地域への効果推計、効果検証、そして改善策の立案支援に貢献し、スポーツが持つ可能性をさらに引き出すことを目指す。
同実証実験は、川崎フロンターレの協力を得て、調査分析ノウハウを有するインテージ・日本経済研究所と、膨大なビッグデータを保有するドコモとの連携によって初めて実現できたという。
またドコモは、2025年4月24日に公表したJリーグとの新しい協業ビジョン「チームになろう。」のもと、今後より一層、Jリーグクラブとの協業に力を入れていくという。
同実証実験で活用したドコモの経済効果推定技術は、他Jリーグクラブ・スポーツ事業者・地方自治体にも展開させていくことが可能であり、今後もさまざまなステークホルダーの期待に応じて新規施策立案などにも資するさらなる技術開発を進めることで、より各地域の活性化につなげることができると期待している。