2020年8月26日8:00
ショルダーバッグや、ボディーバッグ、リュックなどの卸売業を展開するエルグランは、エコバッグブランド「KABAG」において、消費者が実際に体験した後に料金を決定する仕組みを導入した。同社では特徴的な商品を提供しているが、実際に利用者が評価したうえで値段を決定する仕組みを新たなチャレンジとして捉えているという。
機能性の高い「KABAG」はテレビでも注目
利用者が商品を評価したうえで値段を決定
エルグランの「KABAG」は、「カバとバッグ(BAG)」を掛け合わせた造語で、男女兼用で使用できるナチュラル系のカジュアル素材を使った特徴のある商品となる。同社では、クラウドファンディングサイト「Makuake」でプロジェクトを立ち上げ、2019年に商品を販売したが、200万円以上のサポートを得たという。2020年7月1日からレジ袋が有料義務化されたが、機能性の高いバッグとしてNHKやフジテレビにも取り上げられるなど注目されている。主要なショッピングモールも含め、ECでの売り上げも好調に推移しており、商品の信頼性への評価は日増しに高まっているそうだ。
エルグランでは、このほど「KABAG」の特設サイトを立ち上げ、販売を開始している。エルグラン 代表取締役 林恒己氏は「従来はショッピングモールに出店されている方に商品を販売いただく形であり、直接の販売は初めてです。施策を検討している中で、(ネットプロテクションズが提供する)『あと値決め』はお客様が納得されたうえで、商品を評価していただけるため、リスクが低い状況でスタートできました」と説明する。
ECサイトでの販売の場合、リアル店舗のように商品を手に取って、触って確かめることができない。そのため、質感やモノのイメージを理解したうえで購入してもらえるのか不安が残るが、利用者が商品を手にした後に商品の値段を決められる後払いであれば、商品の良さを理解したうえで、金額を決めてもらえると考えたそうだ。
「KABAG」はクラウドファンディングから販売をスタートしており、利用者の声を参考に商品を作っているため、ブランディングはできている。また、エルグランでは、1995年からバッグを製造しており、モノづくりには自信を持っている。特設サイトでは、「KABAG」で提供する商品および購買体験全体を通じて、ユーザー自らがその価値に見合った価格を決定し、後払いができるようになった。これにより、「自分たちの納得のいくものづくり」を掲げる立場として、利用者にとっても納得のいく購買体験が可能となる。
Makuakeでの販売で40代の男女を中心にリーチ
「KABAG」製作の応援、環境活動の支援の値決めが可能に
エルグランでは、従来は比較的高い年齢層の女性が購買の中心だったが、Makuakeでの販売により、今まで取り込むことのできなかった40代の男女にリーチできるようになった。価格的にシビアな感性を持つ人も多いが、プライスを下げるのではなく、チャレンジの取り組みを冠にして、利用者が後から価格を上乗せできるボトムアップの価値を提供できる期待がある。具体的な成果はこれからだが、「僕らが思っている以上にお客様に抵抗がないと思っています」と林氏は話す。
利用者は、商品に設定されている最低価格に加え、顧客対応、商品の使用感やデザイン等の項目をもとに上乗せして支払い金額を設定できるが、4,000円がベースの金額は4,900円に近い数字になると予測している。
利用者は、商品の到着および使用後、値決めフォームから、他者の値決め結果も参考にしつつ満足度に応じた価格を決定できる。「KABAG」の製作の応援に加え、環境活動の支援に対しての値決めを行うこともできる。金額決定後、決定した料金の後払い請求書が郵送され、コンビニ等で支払いを行う流れだ。また、利用者の声をダイレクトに得ることも可能だ。
キャッシュレス対応バッグの販売も開始
顧客の声を取り入れ、ブランディングをさらに強化
今回、決済サービスを提供したネットプロテクションズでは、ベアーズなどにもサービスを提供しているが、同社 マーケティンググループ『あと値決め』リーダー 専光 建志氏によると、「サービスの値決めにおいて、購買体験が含まれる点が『あと値決め』の特徴である」とした。実際。これまでサービスを導入した企業では、高い確率で最低価格以上の金額を設定しているそうだ。
エルグランでは、8月4日からMakuakeにおいて、キャッシュレス対応エコバッグ「KABAGminimal(カバッグミニマル)」の販売を開始している。5シリーズ目となる「ミニマル」の商品開発には、アンバサダー企画「ユーザーの方々と一緒に作る『KABAG』」として これまでの4シリーズの「KABAG」プロジェクトをすべて支援した3名が実際に参加し、試作品を実際に使用してもらうことで、意見を取り入れ、開発されたものとなる。林氏は「アンバサダーのご意見を伺って制作しており、見え方は同じカバンですが、ストーリーは違います」と話す。
現在はモールやクラウドファンディングを中心に商品を販売しているが、今回の特設サイトをはじめ、BtoCで販売をさらに強化することで、顧客の声を取り入れ、ブランディングをさらに強化していきたいとした。