2012年7月25日0:00
日本航空(JAL)は、AndroidスマートフォンおよびiPhoneユーザーに対し、沖縄の魅力や観光情報を紹介する「JAL沖縄アプリ」を提供する。また、ヤフー(Yahoo! JAPAN)と大日本印刷(DNP)との3社共同事業として、スマートフォンをかざすだけで「JAL沖縄」アプリをダウンロード可能な「TOUCH!(タッチ)JAL!」NFCスマートポスターを作成し、2012年7月26日~9月30日まで、沖縄(那覇)空港の到着ロビーに設置した。
“五感に響くポスター”がコンセプト
“Offline to Online to Offline”をスムーズに
NFCスマートポスターには、DNPのリーダライタ「プチポルタ2」が搭載されている。利用者は、リーダにAndroidスマートフォンをかざすと「JAL沖縄」アプリを紹介するURLが表示され、スムーズにダウンロードが可能となる。対象機種はNFCに対応したスマートフォンもしくはおサイフケータイとなっている。
Yahoo! JAPANでは過去にスマートポスターを利用した実証実験を行ったが、利用者にポスター自体の仕組みを認知してもらうのが難しかったそうだ。その課題も踏まえ、今回は、“五感に響くポスター”をコンセプトに、「ボーイング747-700」の先端部分をはめ込んだ立体ポスターとなっており、日頃触れることの難しい飛行機の表面に触ってもらいながら、利用者に楽しんでもらうことを考えたという。日本航空 Web販売部 Web・コールセンター企画グループ アシスタントマネージャー 清水俊弥氏は、「夏休みにお子様に興味を持っていただき、親御さんにスマートフォンを利用してもらいたい」と期待する。
ヤフー メディアサービスカンパニー O2Oメディア サービスマネジャー 内田成男氏は、「今回のO2Oは、“Offline to Online to Offline”となっており、オフラインでスタートしてからアプリをダウンロードするまで、如何に境界線なく行ってもらうかを考えました」と説明する。同システムでは、NFCの「Peer to Peer」機能を利用している。当初は、ポスターに添付したNFCタグをNFCスマートフォンのリーダライタモードにより読み取るシステムも考えたというが、「スマートフォンのアプリケーションを立ち上げる必要があるため、より簡単にダウンロードしていただけるようにプチポルタ2を使用しました」と大日本印刷 IPS事業部 デジタルセキュリティ本部 NFCビジネス推進部 エキスパート 福山徳博氏は話す。
「JAL沖縄」で店舗のタイムリーな情報を提供へ
「Yahoo!ロコ 地図」で店舗や観光スポットを素早く発見
JALでは従来、沖縄線の機内で配布される特典ブック「ちゅらナビ」を春と秋に発行していた。しかし、「半年に一回の発行だったため、タイムリーな情報を提供することが難しかった」(清水氏)という。
「JAL沖縄」では、約200の店舗情報や、現地で行われるリアルタイムな情報、雨の日の営業情報などをタイムリーに提供可能だ。Yahoo! JAPANが提供するジオサービス「Yahoo!ロコ 地図」を活用し、現在地周辺のお店や観光スポットを見つけることもできる。また、「おススメ」特典票を多く獲得したお店を地図上で表示したり、「Facebook」や「Twitter」との連携も行える。さらに、お気に入りの写真でオリジナルのライブ壁紙の作成、観光スポットガイド、沖縄方言辞典などのコンテンツも用意している。
清水氏は今回の取り組みについて、「弊社では、日頃ネットが中心で、リアルの場を持たない展開をしていますので、いい場であると考えています」と口にする。昨年は約17万人がJAL便を利用して沖縄を訪れた。今年も同程度の利用者を見込んでいるが、羽田空港に添付するポスターや「ちゅらナビ」、機内での紹介等により、なるべく多くの人に「JAL沖縄」を利用してもらいたいとしている。
JALではNFCでスムーズに搭乗できるサービスをリリースへ
Yahoo!JAPANもさまざまなO2O施策を展開
JALでは、かざすだけで情報の取得が可能なNFC技術に注目しており、さまざまな活用について研究を進めているという。今後は、同アプリを他の地域で展開したり、店舗にNFC端末を設置してクーポンを利用できる仕組みなども検討していきたいとしている。同社では、ICカードやおサイフケータイ、QRコードを利用して飛行機への搭乗が可能な「JALタッチ&ゴーサービス」を提供している。また、KDDIが開始したNFCの商用化サービスに名を連ねており、事前に予約・購入・座席指定を済ませた利用者がNFCスマートフォンで、空港で搭乗手続きをせずに飛行機までスムーズに搭乗できるサービスを2012年夏頃にサービスを開始する予定だ。
Yahoo!JAPANでは、Yahoo!ロコを公開し、積極的にO2O施策を実施している。今後もほぼ毎月、O2O施策を展開する予定であるという。
DNPでは、従来から得意とするICカードに加え、NFC等を活用したスマートフォンビジネスを強化する方針だ。具体的には、スマートフォンをリーダライタとして利用するシステムや、さまざまな機能を搭載可能な「モバイルWalletサービス」などを提供する方針だ。