2013年8月19日18:57
ソニーは、クラウド上で個人情報に配慮したデータの蓄積を可能とするシステムを新たに開発し、非接触ICカード技術 FeliCa(フェリカ)のカードを利用した電子お薬手帳の試験サービスを 2013年秋より川崎市にて開始すると発表した。
ソニーが新たに開発したシステムは、個人情報とデータを分離し、データのみをクラウドに保存。このため、仮にクラウド上のデータへの不正アクセスがあったとしても、個人情報が守られる構造を実現している。同仕組みを利用した最初のアプリケーションとして電子お薬手帳を提案するという。
利用者は、FeliCaチップが埋め込まれたカードを薬局の端末にかざすだけの操作で、調剤履歴の閲覧と調剤情報の記録を行うことが可能だ。さらにスマートフォン用アプリケーションをインストールすれば、モバイル端末からも情報閲覧できるほか、診察を受けた際の症状や、服薬後の副作用、アレルギーなどの記録も可能だ。また、薬局は専用のソフトウェアをインストールしたPCおよびタブレット、ならびにカードリーダ等を用意することで、システムを構築できる。
薬局側では、利用者がスマートフォンで入力した症状、副作用、アレルギーなどに関する各種情報も一元的に把握することができる。また、スマートフォンを利用して子供の調剤情報を保護者が管理したり、離れて暮らす高齢者の状況を家族、親戚が見守ったりと、家族間のコミュニケーションを深めることにより、「セルフメディケーション」の促進を支援するという。
ソニーは同サービスの実証実験として、川崎市宮前区医師会および同市薬剤師会と協力して、五十嵐中特任助教(東京大学大学院薬学系研究科)監修の下、2011年11月より川崎市宮前区にある約20の薬局にシステムを提供してきた。各薬局がこのシステムを用いたサービスを提供し、現在までに約1,000名の利用者が利用しているそうだ。2013年秋からは対象エリアを川崎市全域に拡大して、ソニー自ら試験サービスを展開していくという。