2020年10月29日11:47
六本木商店街振興組合と、日本電気(NEC)、三井住友カード、およびナビタイムジャパンは、行政や民間が保有するさまざまなデータの利活用による三密回避・混雑回避に向けた取り組みとして、六本木のまちを対象に、混雑状況や消費行動などの分析・可視化を行う実証実験として、2020年8月から実施した人流情報や購買情報などのデータ収集・分析に基づき、10月28日からスマート街路灯のサイネージに混雑状況の表示を開始した。
同実証は、東京都の「官民連携データプラットフォーム データ利活用実証プロジェクト」における三密回避に向けたプロジェクト「混雑状況と人の流れ・属性、エリア全体の消費動向等の可視化」の一環として実施するものだ。
東京都は、2月策定の「スマート東京実施戦略」の下、テクノロジーの力で社会課題解決や都民生活の質向上に寄与するサービスが次々生み出されることを目指しており、今年度内には、行政や民間のさまざまなデータの有効活用を目的としたデータ連携基盤「官民連携データプラットフォーム」の整備を予定している。その整備に先立ち、新型コロナウイルス感染症防止対策をはじめとするさまざまな社会課題の解決に貢献するサービス創出の一環として、今回三密回避をテーマとした同取り組みが選定された。
具体的には、六本木商店街に設置されたスマート街路灯に搭載したカメラとAIによる映像解析技術により、来街者の移動方向、属性(性別・年代)および人数を24時間リアルタイムに推定する。また、三井住友カードのキャッシュレスデータを活用することで、商店街周辺エリアにおける新型コロナウイルス感染拡大前後の消費ボリュームや性別・年代別の消費行動の変化を分析し、ナビタイムの電車混雑情報と組み合わせ、消費と人の動きへの影響を可視化する。
さらに、これらのデータと東京都が公開しているオープンデータ(新型コロナウイルス感染症情報、犯罪発生情報など)や気象庁の気象データを組み合わせて相関関係を分析し、六本木商店街におけるエリアごと・時間ごとなどでの傾向を捉えることで、三密回避・混雑回避のための仕組みの調査・検討など、安心して来街者が訪れることができるまちづくりに取り組むそうだ。
また、六本木商店街に設置されたスマート街路灯に搭載したデジタルサイネージを活用し、収集・分析した混雑状況を地図上にリアルタイムで可視化する。直感的で分かりやすい表示として、東京2020オリンピックスポーツピクトグラムのデザインも手掛けるグラフィックデザイナー廣村正彰氏の監修のもと、ピクトグラム・サイネージコンテンツの手法で可視化している。これにより、まちの状況を来街者に対してリアルタイムに知らせ、三密を避ける対策につなげることが可能となるそうだ。
なお、来街者の推定データ取得に使用時には、カメラの映像を推定データの生成後に即時破棄する。来街者個人が特定可能な情報は保存せず、統計情報である推定データのみを保存することで、プライバシーに配慮した仕組みを実現している。カメラ映像の運用については、個人情報保護法をはじめとした関係法令および「カメラ画像利活用ガイドブック」を遵守し、関係各機関および有識者からの助言のもと、六本木商店街振興組合としてのガイドラインを独自に作成の上、運営している。三井住友カードのキャッシュレスデータにおいても、個人および加盟店を特定できないように統計化した情報を使用しているそうだ。また、ナビタイムの電車混雑情報は、独自の電車混雑シミュレーション技術で生成した予測データで、個人を特定する情報ではないとしている。