2020年10月29日11:57
タレス(Thales)は、2020年10月27日、アクセス管理に関するグローバル調査「タレス アクセス管理インデックス2020 APAC(アジア太平洋)版」の調査結果を発表した。APACおよび日本のIT意思決定者500人を対象とした同調査は、サイバー攻撃の脅威に対する懸念の高まりや、調査対象国内の企業が保護対策を強化させていることを顕在化させたという。また、アクセス管理ソリューションの導入を拡大させる大きな要因として、「パスワードの脆弱性を含むセキュリティへの懸念」(APAC:81%、日本:75%)、さらには「大規模なデータ漏洩への脅威」(APAC・日本:78%)という結果を報告した。
調査対象全地域においてリモートワークの導入により、企業のクラウド導入は拡大している一方、クラウドアプリケーションの利用増加がサイバー攻撃増加の要因になると懸念(APAC:58%、日本:42%)しているという。先日タレスが発表した「2020年 タレス データ脅威レポート グローバル市場版」では、1社平均29種類のクラウドサービスを利用していることを明らかにしている。
潜在的脅威を減少させながらクラウドへのアクセス管理を簡素化するために、企業(APAC:89%、日本:87%)はスマート・シングルサインオン(SSO)の利用拡大を推進している。SSOが提供する安全性については、機密データ保護(APAC:57%、日本:54%)、アプリケーション保護(APAC:45%、日本:20%)と回答している。また、データ漏えい防止(APAC:47%、日本:41%)、および顧客データの安全性(APAC:44%、日本:33%)に対する利点があるとも回答している。
APAC地域内のIT意思決定者が抱えるサイバー攻撃への脅威は、依然として払拭されていないという。その理由として、クラウド全体のセキュリティ保護に関する一貫性の不足(APAC: 57%、日本:46%)、適切な保護対策を実行できる強力なサイバーセキュリティソリューションの欠如(APAC: 56%、日本:50%)、さらにはクラウドアプリケーションのセキュリティを確保するための社内のスキル不足(APAC: 53%、日本:65%)を挙げている。さらに、非効果的なクラウドのアクセス管理がクラウドアプリケーションのセキュリティ問題につながることを指摘(APAC: 50%、日本:39%)している。
APAC地域のIT意思決定者は、経営陣に対してITセキュリティの必要性を訴えやすくなったと感じているという。IT意思決定者の半数以上(APAC:55%、日本:51%)が以前に比べて理解を得やすくなったと回答し、昨年の結果(APAC: 34%、日本:38%)から大きく上昇している。同調査では、特定のデータへのアクセス制御がコンプライアンス遵守に貢献する(APAC:99%、日本:100%)と回答している。
セキュリティ意識の向上という点から、APAC地域ではセキュリティやアクセス管理に関する従業員トレーニングを実施している企業は約半数(APAC:53%、日本:50%)という結果になり、2年前(APAC:49%日本:37%)よりも明らかな増加を示している。同様に、アクセス管理への支出(APAC:47%、日本:40%)も、2年前(APAC:45%、日本:33%)よりも上昇している。さらに、専任のCISOを設置する割合が2年前(APAC:41%、日本:32%)から増加し、今回の結果(APAC:47%、日本:42%)となっている。