テレコムクレジット、PCI DSS準拠の決済システムとしてサーバレスアーキテクチャ導入

2021年2月15日8:00

AWS責任共有モデルでPCI DSSを含む高度なセキュリティ対策を実施

決済代行サービスを提供するテレコムクレジットは、急激なアクセス数増加に対応でき、PCI DSSにも準拠した決済システムとして、サーバレスアーキテクチャを導入した。決済代行としていち早くサーバレスを導入した同社の取り組みについて、話を聞いた。

※書籍「キャッシュレス・セキュリティガイド」より

テレコムクレジット システム部 開発チーム 係長 渡部賢治氏、同部 クラウドエンジニアリングチーム 主任 久山貢一氏、国際業務部 カスタマーサポート部 システム部 部長 武内 準氏

AWSへの移行で安定・安全な稼働を目指す
急激なアクセス増でも常時安定的な運用が可能に

テレコムクレジットでは、クレジットカード、銀行振込、電子マネーなどに対応した決済サービスをEC加盟店を中心に提供している。同社では2018年にデータセンターの保守更新のタイミングに合わせ、クラウドサービス「アマゾン・ウェブ・サービス(以下、AWS)」への移行を決意した。クラウドサービスを導入することで、決済システムの安定性や安全な稼働を目指したが、想定以上のボリュームの処理が発生した場合、処理速度の低下、リクエストの滞留によるレスポンス遅延により、最悪の場合、システム障害につながる可能性があったという。サーバレスとは、一定の処理能力、サーバ容量といったマシン性能に依存することなく、稼働に必要なリソースを動的に起動し、マネージドサービスを利用することでサーバのスケールアウトやスケールアップを意識せず、サーバ構築なしでシステムを作り上げる方法だ。これにより、急激なアクセス増を気にせず、常時安定的な運用が可能となった。

従来はサーバを共有して複数の決済処理を実行していたそうだが、サーバレス方式ではリクエストごとにAWSが自動でサーバリソースを割り当ててくれる特徴がある。これにより多くの件数の決済が同時に行われたとしても、各決済の処理負荷が干渉することなく安定して同時実行が可能だ。

段階的にクラウド化を推進
アプリケーション層に絞った対処が可能に

テレコムクレジットでは、2018年に決済サービス環境をオンプレミス環境からクラウド環境へシフトし、2020年にEC2をサーバレスアーキテクチャに置き換えるなど、段階的にクラウドネイティブな環境へ切り替えを図っている。サーバレス化に当たり、セキュリティ面では、AWS責任共有モデルを生かし、PCI DSSを含む高度なセキュリティ対策を行うのが達成目標の1つとなった。責任共有モデルは、物理層からアプリケーション層まで、Amazonとテレコムクレジットのどちらが責任を持つか分担されている。

テレコムクレジット システム部 開発チーム 係長 渡部賢治氏は「サーバレスアーキテクチャ内のOSやミドルウェア、ストレージはAWSの責任でセキュリティも含めて管理してもらうことで、我々はアプリケーション層に絞って、集中的な対処をしていくモデルを採用しようと考えました」と説明する。

テレコムクレジットのサーバレスアーキテクチャの中核をなすLambdaでは、AWSが基盤となるインフラ、基盤サービス、オペレーティングシステム、アプリケーションプラットフォームを管理している。また、AWSのセキュリティレベルは非常に高く、PCI DSS以外にも金融情報システムセンターが定めたFISC安全対策基準、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)、海外のFBIやCIAなどのセキュリティ認証も取得している。セキュリティに関してもAWSが責任範囲となることで、オンプレミスやEC2に比べて、「セキュリティ対策の範囲を狭めることが可能になりました」と渡部氏は成果を語る。

サーバレスでPCI DSSの監査対象削減
2021年3月末に主要な決済はサーバレス化が完了

PCI DSS準拠は2019年までEC2で、2020年はサーバレスで受審した。テレコムクレジット 国際業務部 カスタマーサポート部 システム部 部長 武内 準氏は「サーバレス構成にしたことで、監査対象は減りました」と成果を述べる。EC2での運用では、定期的なパッチの適用、ウィルス対策、インベストリリストの管理、OSやミドルウェアに対するペネトレーションテスト、サーバごとのセグメンテーションやアクセス設定など、運用業務にかかわる時間が一定量あったそうだが、その部分をAWSに任せることができた。これにより、要件6、10、11といった特定の部分に集中できる。例えば、要件10のログ追跡・監視はSumologicというサードパーティのツールを導入し、分析や検知に役立てている。

PCI DSSの準拠よりも、プログラムの再設計やAWSサービスの習得が大変だったという。渡部氏は「今までのアプリケーションをAWSのマネージドサービス毎に処理役割を分担し、そのサービス間で連携するように再設計したり、処理を早めるためにSQSによる非同期処理を採用し並行分散処理を行うなど、AWSのマネージドサービスに自社の決済処理を適用させることが肝になりました」と話す。新たに使用を開始したAWSのフルマネージドサービスは多く、システム構成も大きく変わった。

代替コントロールはサーバレス化した部分ではなかったそうだ。現状、社内のサーバも監査対象となっているため、オンプレミスの環境の一部には代替コントロールを適用している。

「サーバレスに関しては、2020年初頭より、都度決済から徐々にサーバレス化に移行しています。2021年3月末には主な決済はほぼ完了します」(武内氏)

運用コストの低減につながる
顧客管理や売上管理のサーバレス化も視野に

関連記事

ペイメントニュース最新情報

ポータブル決済端末、オールインワン決済端末、スマート決済端末、新しい決済端末3製品をリリースしました(飛天ジャパン)

国内最大級のクレジットカード情報データベース(アイティーナビ)

「お金の流れを、もっと円(まる)く」決済ゲートウェイ事業のパイオニアとして、強固なシステムでキャッシュレス決済を次のステップへと推進します。(ネットスターズ)

国内最大級の導入実績を誇る決済代行事業者(GMOペイメントゲートウェイ)

決済シーンにdelight(ワクワク感)を!PCI P2PE 認定国内実績 No.1の「確かな信頼」を提供します(ルミーズ)
電子マネー、クレジット、QR・バーコード、共通ポイントなど、多数のキャッシュレス決済サービスをワンストップで提供(トランザクション・メディア・ネットワークス)
決済領域を起点に多様なビジネスニーズに応える各種ソリューションを提供(インフキュリオン)
ReD ShieldやSift等の不正検知サービスを提供し、お客様の不正対策を支援(スクデット)
BtoCもBtoBも。クレジットカード決済を導入するならSBIグループのゼウスへ。豊富な実績と高セキュリティなシステムで貴社をサポートいたします。(ゼウス)
TOPPANの決済ソリューションをご紹介(TOPPANデジタル)
多様な業界のニーズに対応した、さまざまなキャッシュレス・決済関連サービスを提供する総合決済プロバイダー(DGフィナンシャルテクノロジー)
決済業務の完全自動化を実現する「Appian」とクレジット基幹プラットフォームを合わせてご紹介!(エクサ)
チャージバック保証、不正検知・認証システムなどクレジットカード不正対策ソリューションを提供(アクル)

非対面業界唯一!!カード会社とダイレクト接続により、安心・安全・スピーディーで質の高い決済インフラサービスを提供。Eコマースの健全な発展に貢献する決済代行事業者(ソニーペイメントサービス)

stera terminalでお店のポイントがつけられる「VALUE GATE」(トリニティ)

Spayd スマートフォン、タブレットがクレジット決済端末に!(ネットムーブ)

DNPキャッシュレス 決済プラットフォームをご紹介(大日本印刷)

PAGE TOP