2021年6月8日8:00
公益財団法人流通経済研究所とCCCマーケティング(CCCMK)は、このほど、マルエツと合同で、顧客が購買に至るまでのカスタマージャーニーを明らかにし、それに対応したデジタル・モバイル販促の総合的な活用法を考える研究プロジェクト「MOBILEプロジェクト」を立ち上げると発表した。
2020年春以降の新型コロナウイルス感染症の流行を契機に、 リアル店舗を利用するショッパーの行動は大きく変化している。流通業がこれに対応していくためには、店頭だけでなく、 来店前の情報収集や買い物計画の段階から、顧客の行動やインサイトを把握していく必要があるという。
MOBILEプロジェクトでは、消費者モニタを対象に買い物調査を実施し、購買履歴データと紐づけて分析することで、その行動の要因を明らかにし、顧客接点としてのモバイルを効果的に活用するための知見を報告していく。
MOBILEプロジェクトでは、T会員を対象に調査モニタを募集し、買い物に関する調査を実施。モニタには買い物意識や習慣等のアンケートをするほか、買い物時の商品リスト(買い物メモ)を提出してもらい、来店前の購買の計画状況について把握する。
モニタの実際の店舗での購買状況は、マルエツ店舗でTカードを提示して購入した購買履歴データを用いる。買い物リストデータと購買履歴データを紐つけることで、顧客の来店前の買い物計画や意識が、実際の店舗での購買にどのように影響しているのかを分析する。
また、プロジェクト後半では、モニタを対象としたデジタルクーポン配布実験等を実施し、 上記の知見を反映した新しい販促手法について検討するそうだ。
スーパーマーケットで1度にカゴに入れられて買われる商品のうち、約8割は店舗に来る前に買う予定のなかった(計画していなかった)商品であるといわれるという。そのため、これまでは、お店に来てからの商品の訴求が重要であるとされてきたとしている。
しかし、コロナを通じて、人々は外出を控えるようになり、買い物の頻度を減らす人も出てくるようになった。そのため、一度に購買する商品の数も増加傾向にあり、少ない買い物でこれらを忘れずに買えるよう、買い物メモの重要性が増している。ショッパーを対象とした調査では、「買い物メモをつくる」と回答した人は増加傾向にあり、2021年4月時点で35%にのぼっている。
こういった中で、 来店前に商品を訴求し、計画的な購買を促進できるかどうかが重要性を増している。Withコロナ・Afterコロナの購買行動を的確に捉え、将来のデジタル施策のあり方を考えていくのが、MOBILEプロジェクトの大きなテーマだとしている。同プロジェクトは、 食品・日用品メーカーを参加対象としている。