2021年9月15日8:30
住信SBIネット銀行が外部の事業会社に決済、預金、貸出などの銀行機能を提供する「NEOBANK(ネオバンク)」が成果を上げている。2020年4月の日本航空(JAL)を皮切りに、CCCマーケティングホールディングス(CCC)、ヤマダホールディングス(ヤマダHD)、オープンハウスなどが、続々とそれぞれの子会社等を通じて住信SBIネット銀行の銀行代理業者として独自の金融サービスの提供を開始。住信SBIネット銀行はその裏側でシステム等の銀行インフラを提供する「黒子」に徹し、顧客拡大を進めている。(ライター・南文枝)
記事のポイント!
①提携企業が預金や振込、借入などの銀行サービスを利用可能に
②JAL、CCC、ヤマダHD、オープンハウスの子会社が独自の金融サービス提供
③会員基盤を活用した各社の独自サービスは?
④提携企業が住信SBIネット銀行のフルバンキングシステムを活用可能に
⑤住信SBIネット銀行は黒子として企業のシステムを支える
⑥1年経過した利用者の傾向や特徴は?デビットの利用で特徴も
⑦現状の課題と今後の展開は?
⑧幅広い業界から問い合わせが寄せられる
⑨業界の一番前を走るプレーヤーを目指す
事業会社が銀行と同様のサービスを展開
住宅ローンなどで顧客の囲い込み図る
住信SBIネット銀行のネオバンクは、提携企業が必要な機能だけを、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)などを活用して提供する。「組み込み型金融」や「BaaS」(バンキング・アズ・ア・サービス)と呼ばれる手法の一つだ。提携企業は自社が提供するスマートフォン向けアプリ内などで、顧客に住信SBIネット銀行の専用支店の口座を開設してもらい、預金や振込、借入などの銀行サービスを利用できるようにする。
2021年9月時点で、JAL、CCC、ヤマダHD、オープンハウスの子会社がネオバンクとして、マイレージ会員やポイント会員向けに住信SBIネット銀行の銀行サービスを提供。取引のたびにマイルやポイントを付与する特典を付けたり、住宅ローンなどに独自のサービスを付加して提供するなど、自社ブランドを活用し顧客の囲い込みを図る。
会員基盤を活用した独自サービスを展開
各社が順次サービスを拡大
例えば、JALマイレージバンク会員向けの「JAL NEOBANK」では、アプリ内で口座を開設すると、ATMでの入出金や銀行振込ができるようになる。JALマイレージ会員専用のプリペイドカード「JAL Global WALLET」へのチャージや外貨預金も可能で、取引に応じてマイルが貯まる。2021年7月には住宅ローンサービスも始めた。
CCCグループの扱う「T NEOBANK」は、グループの共通ポイント「Tポイント」会員専用の銀行サービスだ。取引に応じてTポイントが貯まる。キャッシュカードは発行せず、アプリでATMでの引き落としなどの取引が行える。
ヤマダHDグループの「ヤマダNEOBANK」は、口座開設者にはキャッシュカード一体型のデビットカードを発行。ヤマダHDグループでの住宅購入者には、家具や家電の購入費を組み込んだ住宅ローンを提供するなど、自社グループサービスでの取引に特典を付けている。
住宅関連事業を手掛けるオープンハウスは2021年8月、子会社のおうちリンクで「おうちバンク」サービスを開始。オープンハウスグループで住宅を購入した顧客向けに家具・家電も組み込み可能な住宅ローンを展開するほか、おうちバンクからのネット回線・電気・ガスなどの生活関連サービスの支払いを優待することで、入居後も顧客をサポートする。
ユーザー利便性が高い金融サービスを実現
デビットカードの利用が多いのも特徴
ネオバンクの最大の特徴は、提携企業が住信SBIネット銀行のフルバンキングシステムを活用できることだ。住信SBIネット銀行の執行役員、服部浩久氏は「お客様と距離が近づいた状態を維持するための武器としてネオバンクが活用されている。さまざまな業界に導入できることも証明された」と話す。
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