2021年11月15日8:52
京都大学は非常に信頼性の高い家計収支データを継続的に取れると期待
マネーツリーは、2021年11月10日に記者説明会を開催し、オルタナティブデータの活用を事業化させる「データリサーチ部門」を新設すると発表した。また、当日は、京都大学 経済研究所 宇南山研究室の宇南山卓教授を招き、同大学とマネーツリーが実施した共同研究についても紹介した。
国内でも注目が集まるオルタナティブデータ
プライバシーと信頼をベースに活用を進める
オルタナティブデータは、金融機関や投資家が資産運用の際に参考となる企業財務、株式注文、金融統計、速報値といったトラディショナルデータに加え、衛星写真や気象情報、POS、カード利用情報など、これまで利用されてこなかったさまざまな業界・分野のデータを活用することだ。複数のデータを組み合わせて、目的ある分析、価値あるデータにする。近年は、従来よりも高パフォーマンスのデータが取得でき、スティックツールが安価になるなど、利用環境が整い分析しやすくなったという。
海外は投資分野で活用が進んでおり、2020年で17億米ドル、2021年から今後6年で60%の成長を遂げ、総売り上げも424億米ドルに達すると予想されているそうだ(出典:grandviewreseach)。銀行や金融サービスが市場をけん引しており、世界売上高の15%が金融市場、次にIT・通信業界が高いシェアを占める。現時点でのオルタナティブデータ活用は北米が中心で、70%がアメリカの資産運用会社が有効活用している。また、アジア太平洋地域でも投資家のデータドリブンリサーチが盛り上がってきているそうだ。
海外では、個人情報の保護という基本的人権を目的とした「GDPR」が2016年5月24日に発効され、2018年5月25日から運用がスタートした。米国でもカリフォルニア州消費者プライバシー法 など、セキュリティに注目が集まっている。日本の改正個人情報保護法でもデータの利活用を促しながら、個人の利権情報、経済のバランスを重視していく動きがある。
そんな中、マネーツリーは「プライバシーに即した製品設計を行ってきた」とビジネスデベロップメント ディレクターである山口賢造氏は説明する。例えば、個人を特定できる情報を取得しない、利用するにしても同意を得る、また24時間以上で削除するといったことを心掛けている。さらに、個人情報保護認証「TRUSTe」の定期更新などを行っている。
富山第一銀行にコロナ禍の接触関連支出レポートを提供
オリエンタルランドの売り上げ減少・回復データでも近しい結果に
マネーツリーでは、2015年からMoneytree LINKを提供しており、30億件以上のデータを保管、80社以上が利用している。また、2,500以上の金融・サービスに接続し、2,000万以上の口座情報を保管している。さらに、550以上の利用者がいるそうだ。こういった実績をベースとして、「信頼をもとにオルタナティブデータの領域で、消費データを統計データとして提供することを考えています」と山口氏は話す。因果関係が見れなかったデータを掛け合わせて、支出の隠れた洞察を抽出することで、潜在化しているニーズを掘り起こしていきたいとした。同社では、今月、オルタナティブデータ推進協議会に加盟した。今後は、金融データに特化したオルタナティブデータ活用を進めていく。
このコンテンツは会員限定(有料)となっております。
「Paymentnavi Pro2021」の詳細はこちらのページからご覧下さい。
すでにユーザー登録をされている方はログインをしてください。