2022年11月8日9:00
三井住友カードが運営するSMBCグループ共通ポイントサービス「Vポイント」は、三井住友カードでの決済、三井住友銀行での銀行取引などで貯まるポイントサービスだ。三井住友カードでは、Vポイントを活用した取り組みを強化しており、若年層獲得や日常利用の促進で成果を生んだ。今後はグループでの利用をさらに活性化させるとともに、共通ポイントサービス「Tポイント」との提携により、最も支持されるポイントブランドと日本最大級の決済・ポイント経済圏の構築を目指す。
記事のポイント!
①ポイントの発行額は毎年20~25%伸びる
②9割以上は三井住友カード会員、若年層のユーザーが急激に増加
③約2割の会員が「Vポイントアプリ」でポイント交換
④失効者の90%以上が100ポイント未満、退蔵益は期待せず
⑤「家族ポイント」で貯まりやすい取り組みも
⑥「Vポイントギフト」を販促で活用
⑦これまでの取り組みの成果は?
⑧Tポイントとの提携で互いの補完関係に
⑨顧客利便性はさらに高まる
⑩Tポイントと異なるビジネスモデル、販促原資の見解は?
⑪Tポイントとの統合がない状態でも6大ポイントを目指す
「Vポイント」活用でカード活性化
高還元サービスでメインカード化につなげる
SMBCグループ共通ポイントサービスの共通ポイントサービスであるVポイントは、2020年6月から、三井住友カードの「ワールドプレゼントポイント」、三井住友銀行の「SMBCポイント」からリニューアルして誕生した。2022年2月21日からは、SMBCコンシューマーファイナンスの「プロミス」が導入するなど、サービスの提供範囲を広げている。
三井住友カードにとってVポイントは、入会促進や継続利用のための重要なツールであり、「ポイントの発行額は毎年20~25%ほど伸びています」と、三井住友カード IT戦略部 グループ長 鳥生拓也氏は話す。三井住友カードでは、会員獲得を強化しており、日常利用の促進により発行カードのトランザクション数は大きく伸びた。また、対象のコンビニ・飲食店で最大5%還元を実施したり、ポイント特化型新プラチナカード「PLATINUM PREFERRED(プラチナプリファード)」を発行するなど、付帯サービスも「Vポイント」を活用した取り組みを進めている。
現在、三井住友カードは5,200万会員を有しているが、Vポイント対象会員は三井住友銀行とSMBCコンシューマーファイナンスを含め約2,000万人いる。現状、Vポイントの発行額の9割以上は三井住友カードの会員だが、今後、グループ各社の参画やサービスの浸透により、同社以外での利用も高まると期待する。鳥生氏は「三井住友カードの会員はVポイントを認識していますが、世間一般的にはまだまだ知られていない状態です」と打ち明ける。三井住友カードと三井住友銀行では、VポイントのテレビCMを放映するなど、サービスの魅力を伝えるとともに、認知度向上に努めている。
Vポイントのユーザーは20代~50代で約8割を占める。以前は40代以上の層が中心だったが、「三井住友カード(NL)」などの発行で若年層のユーザーも急激に伸びた。
また、三井住友カード(NL)では、対象のコンビニエンスストアとマクドナルドで利用すると、Vポイントを最大で5%還元する「いつもの利用でポイント最大5%還元!」サービスを継続しているが、対象のコンビニエンスストアや飲食店を拡大するなど日常利用の促進に力を入れている。鳥生氏は「決済で得られる手数料は限られており、そこに5%をつけると取引自体は赤字ではありますが、同取り組みで日常的な利用を促しメインカード化につなげていきたい」と説明する。
「Vポイントアプリ」で1円から使える
退蔵益による収益は期待せず
三井住友カードでは、貯まったポイントを使ってもらう取り組みにも力を入れている。2021年2月には、スマートフォンアプリ「Vポイント」の提供を開始。貯まったポイントを1ポイント=1円からVポイントアプリに移行し、実店舗で「Visaのタッチ決済」や「iD」、Visa加盟店でのネットショッピングに利用可能だ。現在、約2割の会員が「Vポイントアプリ」でポイント交換を実施。Vポイントアプリ利用者は200万人を突破しており、月に10~15万人増えている。また、ダウンロードした人の約半数が月に1度はログインしており、決済に利用する人も多い。一方で、Vポイントアプリは、アプリのダウンロードが必要となるが、そのハードルを越えた人はどこでも使えるポイントとして便利に使用しているという。
三井住友カードでは、12月15日までの期間中にセブン-イレブンにてVポイントアプリで支払うと、もれなく利用金額(税込)の20%(上限1,000円分)をプリペイドバリューとしてプレゼントするキャンペーンを実施するなど、利用活性化に取り組んでいる。
ポイント交換では、貯めたポイントをギフトカード、他社のポイント、商品に変えて利用する人も継続して見受けられる。また、三井住友カードの支払金額へのキャッシュバック、三井住友銀行の振込手数料、SBI証券の投資信託の買付に1ポイント=1円から利用できるように、利用者がポイントを使う選択肢を広げている。
Vポイントの有効期限は、ポイント獲得月から、プラチナとプラチナプリファードが4年間、ゴールドが3年間、それ以外が2年間となる。多くの会員が貯めたポイントを利用しているが、中には失効するケースも見受けられる。鳥生氏は「失効される方の90%以上が100ポイント未満の方です。失効させないように貰ってうれしい、使ってうれしいと思っていただけるようモチベーションを持たせていきたいです」と意気込む。同社では退蔵益による収益は期待していない。
“二親等内の家族”を対象としたサービスで貯めやすく
カード会社のポイントとして一定の成果
ポイントを多く貯めてもらう取り組みとして、2021年12月からは最大で9人(合計10人)まで家族をつなぐことができる「家族ポイント」を開始した。これは、家族間での「本会員」同士をつなぐ“生計を共にする配偶者や、親子などを対象とした家族”に限らず、“二親等内の家族”を対象としたサービスだ。コンビニエンスストアやマクドナルド、タッチ決済を利用すると、通常のVポイントに加えて、登録した家族の人数に応じてお得にポイントが還元される。サービスの認知には時間が必要だが、お得を感じてもらうことで利用をさらに伸ばしていきたいとした。
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