2023年1月20日9:10
NTTドコモは、2023年1月18日、共通ポイント「dポイント」およびドコモの決済サービス「d払い」「dカード」のマーケティングに関する記者向け勉強会を開催した。当日は、NTTドコモ スマートライフカンパニー コンシューママーケティング部 シニアマーケティングディレクター 西井敏恭氏が現状と今後の戦略について紹介するとともに、記者の質問に回答した。同社では、dポイントと自社の決済サービスを併用してもらうことで、どんどんお得になることを知ってもらい、より利用を促進させる方針だ。また、ECをはじめ、dポイントがお得に貯まり使えるシーンの認知・拡大にも力を入れるという。
dポイントは外部利用が8割に
提携先での送客で成果
西井氏は2022年7月からNTTドコモでマーケティングディレクターを務める。オイシックス・ラ・大地などにも属しており、EC業界などではマーケティングのプロフェッショナルとして知られている。現在は8割の比重でNTTドコモのビジネスに軸足を置いて活動している。外部で得た経験と知見を活かしながら、ドコモのマーケティングビジネスを強化する役割を担う。
西井氏はまず、国内の2015年から2021年までのキャッシュレスの現状を説明した。2015年は20%弱だったキャッシュレス比率は、2021年には32.5%まで高まった。クレジット・デビット・プリペイド・コード決済(QR/バーコード決済)のいずれも伸びているが、中でもクレジット、2018年以降に台頭したコード決済の伸びが顕著だ。
海外の状況を見ると、韓国は93%、中国は83%など、キャッシュレスが普及している地域がある。日本のキャッシュレスはまだまだ伸びしろがあり、少なくても50%程は確実に伸びるとした。
NTTドコモでは、共通ポイントの「dポイント」、キャッシュレスサービス「d払い」、クレジットカード「dカード」といったサービスを提供している。「dポイントクラブ」は2015年12月のスタートから7年が経過したが、会員数は約9,200万(2022年9月時点)まで拡大。dポイントカードは約6,000万人、d払いアプリダウンロード数とd払い(iD)会員数を合計したユーザー数は約4,800万人、dカード契約数は約1,600万人を有する(いずれも2022年9月末時点)。
また、直近1年間(2021年10月~2022年9月)のdポイント利用数は2,900億ポイントとなり、決済・ポイント利用可能箇所は約440万箇所となっている。特徴的な点として、dポイントのドコモサービスでの利用は約2割となり、提携先が約8割を占めている点だ(2022年度第2四半期)。西井氏は「結果的には提携先への送客がうまくできていると感じています」と話す。
今後は決済の使いやすとポイントの価値が重要に
会員プログラム刷新でヘビーユーザー増加
今まではdカードの発行枚数やd払いアプリのダウンロード数を大切にしてきたが、今後は決済手段としての使いやすさとポイントの価値が重要になるとした。ドコモでは、2022年6月から、dポイントクラブの新しい会員プログラムを開始。「1つ星」から「5つ星」まで5段階にランクアップする仕組みで、複雑な条件なくわかりやすさを意識してサービスを作り込んだ。例えば、利用者は月3,400円の買い物をすると、3カ月で100ポイントを獲得でき、「2つ星」にランクアップする。また、ギガホプレミア料金プランを利用した場合、7,205円(税込)/月の料金で「2つ星」の1.5倍となるため、3か月で180ポイントが付与される。毎月1万円の買い物をすると1.5倍のポイントが貯まると仮定すると、年間1,800ポイントを獲得可能だ。
また、ドコモのサービスを複数利用することで、よりポイントをお得に貯めることができる。例えば、「5つ星」だと2.5倍のポイントが貯まるが、対象のd払い加盟店でdカードで支払い設定したd払いで支払う、もしくはdカードでの支払い、またはdカードに搭載されたiDで支払った場合、ポイントを二重取りできる。
昨年の会員サービスリニューアルにより、dポイントの利用者拡大に加え、dポイントや決済サービスなど、ドコモサービスをよく利用している、ロイヤリティの高いヘビーユーザ(ロイヤルユーザ)も増加したという。一方で、その魅力を把握できていないユーザーも一定数存在することを課題として挙げた。また、dポイントカード、d払い、dカード、iDと、サービスごとに訴求していた部分もあったというが、横断的なマーケティングを行うことで、利用者により魅力を感じてもらいやすくなるとした。例えば、d払いやiDの裏にdカードを設定してもらうことにより、よりポイントが貯まりやすくなる。また、ポイントを貯めるほどポイント倍率がアップし、貯まったポイントでお得に買い物をしてもらう循環をつくることが重要であるとした。
dカードとd払い、iDの紐づけを
dポイントのブランド強化へ
dカードの状況を見ると、発行枚数は伸びており、中でもゴールドの入会や利用が好調だ。例えば、dカードに搭載されたiD、支払い方法をdカードに設定したd払いを併用して利用してもらうことで、“どの決済サービスを使ってもdポイントがおトクに貯まる”ことを伝えていきたいとした。
なお、iDのサービスも200万箇所で利用できるなど広がっているが、現在はタッチ決済など、他の非接触サービスも広がりを見せている(dカードにもタッチ決済搭載)。西井氏はその点に対し、iDの利用で貯まるdポイントの価値が高まれば、iDの利用もさらに伸びるとした。
NTTドコモでは、各決済手段でもお得に利用できることをしってもらうため、2022年12月1日~2023年1月31日まで、ドコモケータイ回線(ahamo含む)契約者限定で「『dカード×iD×d払い』dポイント総額5億円分ポイントバックキャンペーン」を実施している。ドコモユーザーからは、シンプルでわかりやすいキャンペーンが受けており、エントリーも好調だという。
また、貯めたくなるポイントとしてのdポイントのブランド強化に力を入れていく方針だ。コンビニエンスストア・スーパー・ドラックストア・ファストフードといった日常的に利用する店舗での利用認知やイメージはあるが、EC・トラベル・家電などでの利用認知やイメージはまだ低いと見ている。例えば、Amazon、メルカリ、じゃらん、リクルートとの連携などが知られていない。また、エディオンなどの家電量販店でdポイントが貯まることも伝わっていないとした。
最も選ばれる共通ポイントを目指す
楽天と比べたポイント経済圏の弱みとは?
このコンテンツは会員限定となっております。すでにユーザー登録をされている方はログインをしてください。
会員登録(無料)をご希望の方は無料会員登録ページからご登録をお願いします。