楽天銀行、BaaS事業で銀行だけでは作り得ないユニークで魅力的な金融サービスを提供へ

2023年10月2日8:30

楽天銀行は、Banking as a Service(以下、BaaS)の仕組みを活用した銀行サービスを提供しており、すでに第一生命保険で利用され、来春からはJR東日本グループでもサービスを開始する予定だ。同社のBaaSの取り組みについて、サービス高度化本部 本部長 伊藤高章氏に話を聞いた。

楽天銀行 サービス高度化本部 本部長 伊藤高章氏

インターネットバンク最大の1,400万の会員基盤
オープンプラットフォーム戦略の一環

楽天銀行の口座数は2023年6月末時点で1,404万口座、対前年比で10.7%の増加となっており、順調に顧客基盤が拡大している。また、年齢層も30代から40代が多いものの、50代が21%、60代以上が13%を占めるなど、幅広い層で利用されている。男女比は、男性が概ね6割、女性が4割で、年齢構成は日本の人口とほぼ同じであり、地域分布は、日本の人口構成よりも比較的規模の大きな都市都会がやや多い形となっている。

楽天銀行のBaaSの取り組みとして、2019年11月より大垣共立銀行、2022年3月には西日本シティ銀行といった地域金融機関と連携し、宝くじ・楽天銀行toto・公営競技サービスなどのエンターテインメントの利用代金を即時決済するサービスを提供してきた。また、フルバンキングのBaaSとして2023年1月に第一生命保険の銀行サービス「楽天銀行 第一生命支店」を開始した。さらに、JR東日本グループとも昨年12月にデジタル金融サービス「JRE BANK」を2024年春以降にサービスを開始する予定であることを発表している。

BaaSの取り組み以外に、オープンプラットフォーム戦略の一環として、会計ソフト等の電子決済等代行業者に対しても、楽天銀行が提供するインターネットバンキングの参照系API、更新系APIを利用した連携を行っている。

伊藤氏は「BaaSの取り組みを通じて、提携先企業が持っている特別なアセットやノウハウと楽天銀行の銀行サービスを組み合わせて、銀行だけでは作り得ないユニークで魅力的な金融サービスを提供していきたいと考えています。」と説明する。

第一生命は2社の同時ローンチ
JR東日本グループとはデビット機能付きキャッシュカード発行

楽天経済圏には1億以上の会員基盤があり、楽天銀行ではグループシナジーを活かして顧客の獲得を進めてきた。その強みは引き続き発揮していくが、第一生命、JR東日本グループでは自社で基盤となる顧客を有しており、提携先企業と連携して銀行だけでは作り得ないユニークで魅力的な金融サービスの提供を進めていく。

第一生命やJR東日本グループには、銀行機能をフルカスタマイズして提供する。楽天銀行を所属銀行とする銀行代理業者として預金契約等の締結の媒介を行う。BaaSの提供に向けては、「ターゲットのニーズに合致するサービスを提供するために、どのようなサービスを提供していくかの議論に多くの時間を費やしています。」と伊藤氏は話す。提供する機能は、提携先のニーズを踏まえた上で開発する。

第一生命支店において、利用者は、「楽天銀行 第一生命支店」アプリを通じて振込、入出金明細、定期預金、外貨預金、第一生命支店専用デビットカード、各種ローン商品等の楽天銀行が提供する銀行サービスを利用可能だ。

「JRE BANK」では、「JRE POINT」が貯まるなど、JR東日本グループならではの特典を受けられる。駅構内に設置されたATM「VIEW ALTTE」で口座から、手数料無料で現金を引き出すことが可能だ。また、クレジットカードの国際ブランドと提携した、専用のデビット機能付きキャッシュカードを発行する予定だ。

BaaSプラットフォームを通じた新たな顧客体験(出典:2024年3月期第1四半期 楽天銀行決算説明参考マテリアル)

システムの内製化が強み
日々システムを改善するノウハウを生かす

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