NTT ComがAI自体を生成AIが創る技術の開発を目指す、独自開発の自動走行ロボットノウハウとは?

2023年10月27日8:00

NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、ドコモグループの法人ビジネスイベント「docomo business Forum’23」を2023年10月12日、13日に開催した。10月11日には、NTT ComのAI事業の取り組み、自動走行ロボット管制サービス「RobiCo」のリリースについてプレスセッションを実施した。

NTT独自の高効率な大規模言語モデル開発
グループで生成AIと付加価値機能の活用を推進

NTT ComのAI事業の取り組みについては、代表取締役副社長 菅原英宗氏が説明した。

NTT Com 代表取締役副社長 菅原英宗氏

日本社会が抱える課題として、人口減少・少子高齢化、生産性向上、大都市圏への集中などが挙げられる。NTTグループにおけるAI、ロボット事業として、技術やソリューション等をグローバルで相互に展開し、生活や社会を支える産業を変革することを目指している。また、デジタルビジネス等に約3兆円以上(5年)の投資を実施している。

AIとの共存共栄では、社会的、技術的観点からさまざまな必要条件がある。2018年と2030年を比べた場合、世界のデータセンタのデータ量は約16倍、消費電力は約13倍となると言われる。ドコモビジネスでは、生成AIをプラットフォームからアプリケーションまでトータルで捉え、AIビジネスの加速を目指す。また、コミュニケーションAIなどのマルチモーダルなデータを活用した現在のAIサービスに生成AIを組み合わせ、AIサービスを展開する。

具体的には、Chat-GPTの課題(消費電力、信頼性、カスタマイズ性など)を解決するNTT独自の高効率な大規模言語モデル(NTT版LLM)を開発。文化、金融、製薬、医療など、個々の価値を実現する小型なAIが「IOWN」で連携することで、単一の巨大AIより高性能・高効率なAIの集合知を形成するそうだ。生成AIに利便性、セキュリティ、API連携、信頼性・安全性確保などのNTT独自の価値を付加し、サービス・ソリューションを提供していく。また、ドコモグループのサービスへの組み込みを含むユースケースを提供することで、課題解決につなげるそうだ。

現在の音声を中心としたコミュニケーション支援サービス「COTOHA」は、対話、翻訳、音声認識、感情分析など約800社で利用されている。それに生成AI機能を加え、「新コミュニケーションAI」として感情認識、パーソナライズの深化を図る。また、専門性の拡張により、業務の完全代替・補完などにつなげていく。

ドコモグループで保有するデジタルヒューマン技術、音声・対話技術、LLM技術を組み合わせた「カスタマフロントの高度化による新たな顧客体験」と「次世代コンタクトセンタによる業務DX」を推進する。製造プラントなどでは、熟練者の運転を学習したAIモデルによる自動運転を実現させるという。将来的にはAI自体を生成AIが創る技術の開発に挑戦していく。

ドコモグループでは、CX/EXの向上を目的に生成AIと付加価値機能の活用を推進。NTT Com内の幅広い業務カテゴリにおいて、生成AI活用のユースケースが顕在化している。例えば、営業支援では、400以上存在するドコモビジネスの商材について、営業担当者の得意分野が異なり、利用者からの要望にフィットする提案に向けた情報収集・整理に膨大な稼働が発生している。生成AIを活用することで、IR等の顧客の公開情報から、それぞれの課題と課題解決のための商材をレコメンドし、その商材の提案ストーリー/提案書ドラフトを自動生成することが可能になる。期待効果として提案準備稼働40%削減を想定している。また、NTTグループの社内システム刷新後、利用方法に関する問い合わせが1万1,800件程度あるが、追加質問の対応に時間を要している。生成AI(聞き手AI)が質問文を分析し不足情報をヒアリングするなど、より的確な質問文の生成を支援する。また、質問内容に応じて、適切な回答者に振り分けることにより回答に費やす時間・手間を削減することで、問い合わせ対応稼働30%削減を想定している。

日本の社会課題解決につながるサービス目指す
コミュニケーションが実現するAI接客

今後は、生成AIの付加価値機能の技術開発や新コミュニケーションAIなどのサービス開発を進め、来年度初頭からの顧客の経営課題解決、日本の社会課題解決につながるサービス・ソリューションの提供開始を目指す。

展示会では、新コミュニケーションAIが実現するAI接客事例を紹介。AI接客では、人間の心を理解し、リテラシー/状況/話題に合わせた会話が可能だ。「ユーザーの発話から意図(分類)を判定」「適切なAIへ連携、CRMデータと連携し、ユーザーの特性や状況に応じた提案」「既存ボットでは回答が難しいと判断、LLM付加価値基盤にて回答」「ユーザーの話速に応じた読み上げ速度の制御」といった特徴があるそうだ。

自動走行ロボットの運用を一気通貫で
RMSで複数メーカーの一元管理が可能に

また、NTT Comでは、自動走行ロボット管制サービス「RobiCo」のサービス提供を開始した。同取り組みについて、ビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部 スマートモビリティ推進室 担当課長 市原貴幸氏が紹介した。

NTT Com ビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部 スマートモビリティ推進室 担当課長 市原貴幸氏

現在、労働集約型(配送業・警備業・施設管理業等)の業界を中心に人手不足が課題となっており、その補完手段の1つとして、「ロボット」に期待が寄せられている。そんな中、屋外で自動走行ロボットを導入する上では、運用体制の構築や諸手続の面で、ロボットを導入する企業が対応しなければならない事項が数多く存在する。中でも運用人員やオペレーターの配置、運用業務を行うための場所や業務環境整備は導入事業者で大きな負担となることが想定される。

「RobiCo」では、顧客のロボットの運用業務を一括で請け負う。専門のオペレーターが運用管理システムを活用することで、効率的なロボットの運行や業務の管理が可能だ。特徴として、Robility management system(RMS)では、さまざまなメーカーのロボットの一元管理機能が可能だ。また、導入企業の既存システムと連動した運行計画の立案機能、計画通りの運行をサポートする監視・アラート機能がある。さらに、リアルタイムな周辺環境の変化に応じた運用が可能だ。市原氏は「ロボットを操作するだけではなく、遂行する仕組みが必要」だとした。

広域オペレーター、ロボットオペレーターを設置
シェアリングサービスやモバイルオーダーの実証ノウハウを生かす

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