ふるさと納税のトレンドは「第1次産業支援」「20代」「価値重視」、チョイスPayは6割がリピーターに(トラストバンク)

2023年12月14日9:00

ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクは、2023年12月7日に2023年のふるさと納税の総括と2023年の寄付傾向から予測される2024年のトレンド予測についての説明会を開催した。

トラストバンク 代表取締役 川村憲一氏

累計1兆円超のお金を地域に還流
全国95%以上、1,700以上の自治体と契約

トラストバンクは、ヒト・モノ・カネ・情報の獲得と域内循環により、地域が自立し、持続可能な状態を目指している。同社のふるさと納税事業は、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」、ガバメントクラウドファンディングの「ふるさとチョイスGCF」、災害支援などで寄付を届ける「ふるさとチョイス災害支援」の3事業を中心に行っている。同社では、ふるさとチョイスを通じて累計1兆円超のお金を地域に還流させている。

ふるさとチョイスでは全国の自治体のお礼の品や使い道を掲載。2023年10月時点で1,700以上の自治体と契約を締結しており、全国95%以上となっている。また、55万品以上のお礼の品を掲載している。ページビューは月間2億を超える。

ふるさと納税の全国受入金額と寄付件数は伸びている。令和5年度のふるさと納税で税控除を受けている人数は約891万人となっているが、住民税支払い対象者が6,000万人のため、利用率は15~17%にとどまっている。一度ふるさと納税を行った人は翌年度も行うため、まだまだ市場拡大のポテンシャルは高いとした。また、市場全体で2023年度の寄付額は1兆円を超えてくるとみている。

2023年10月のルール変更で駆け込み寄付
観光・体験型の人気が加速

2023年10月施行のふるさと納税に関するルール変更では、地場産品基準の見直し、ふるさと納税業務に付随する経費関連ルール化の厳格化、セット品における地場産品の価値割合が厳格化された。トラストバンク 代表取締役 川村憲一氏は「制度が発展するためには一定のルールが必要。ここに合わせてサービスもブラッシュアップしていきます」と話す。

川村氏は2023年の取り組みを振り返り、行動制限緩和に伴い、観光・体験型のお礼の品への人気が加速したと説明する。2023年の体験型の品への寄付件数は昨年同期比1.2倍伸びた。特に宿泊や交通費に使用できる旅行券が含まれている「パッケージ旅」カテゴリ、「ふるさと納税払い チョイスPay」などが含まれる「ポイント」カテゴリが人気だという。観光や体験型が広がることで、「肉」「魚介類」「果物」といった特産品が少ない自治体も魅力発信が可能だ。寄付先に実際に足を運び、五感で魅力を感じることができるため、地域に対する想いも強くなるそうだ。地域の人々との交流等を通じて、地域活性化に重要な関係・交流人口にもつながる。

なお、自社調査では、10月のふるさと納税のルール変更を8割が認知し、そのうち6割が駆け込み寄付を実際にしたと回答した。特に海産物支援では、ホタテへの寄付が特に集中し、処理水放出による輸出に関する報道が出始めた時期から3週間の昨年同期比は約3.6倍となった。

10月の駆け込み寄付では、控除額上限に対して3割程の寄付をしたと回答する人が多く、控除額上限額まで余裕がある寄附者も多い。そのため、12月には控除額上限額まで寄付する人が例年通り多いと見ている。

また、年末にまとめて寄付をすることで、お礼の品を同時期に受け取り、冷蔵庫に入りきらなくなる問題もあるというが、定期便や先行予約により、そういった課題を解決できるとした。さらに、翌年でも使用でき、地域ならではの体験ができる宿泊券やチケット、ポイントなどを選ぶことも可能だ。体験型は20~30代の関心が高い。

ふるさと納税が生活や話題の中で定着へ
暮らしに役立ち地域応援を意識して寄附

2023年から読み解くふるさと納税のトレンド予測として、「第1次産業支援」「20代」「価値重視」を挙げた。

第1次産業支援では、気候変動や世界情勢のリスクによって農業や漁業が影響を受けており、その関心が高まることで、寄付行動にも結びついているという。例えば、飼料や光熱費の高騰、異常気象による農作物への被害などの影響を受けた農家や漁業関係者を支援するガバメントクラウドファンディングプロジェクトが開設され、寄付を集めている。

Z世代を含む20代は、応援を意識するなど、ふるさと納税の寄付行動に意味を見出している傾向がある。また、ふるさと納税でしか出会えない特産品や体験に比較的関心があるとした。地域の若者と自治体の共創クラウドファンディングプロジェクトも登場しており、若者のアイデアを基にしたふるさと納税の活用が進んでいる。

価値重視では、物価高騰の影響で、2022年はふるさと納税でも家計の節約志向が強く反映された。2023年の調査では、「お得」だけにこだわるのではなく、+αの付加価値も重要となっていることが判明した。地域の特産品に加え、SDGs・サステナブル消費・エシカル消費の意識の高まりも相まって国産の高品質な品を選択する人が増加している。

川村氏は、「ふるさと納税」が暮らしや話題の中で定着しつつあり、「暮らしに役立つふるさと納税」と「地域を応援するふるさと納税」を意識しながら寄付しているという。また、寄付者は二極化せず、どちらの要素もそれぞれ持ち合わせているとした。

「次世代のための寄付」がキーワード
チョイスPayの自治体や利用者への浸透は?

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