2011年5月19日8:00
ICカード、NFCなどのカードビジネスをトータルにサポート
独自の加工技術を生かしたカードで他社との差別化を図る
凸版印刷は国内で初めてICカードを製品化した実績があり、市場全体の約4割のシェアを占めている。同社では今後、ICカードの受託・発行業務のみならず、ソリューションビジネスも含め、ソフトとハードの両面で顧客企業をサポートしていく方針だ。
取材対応者:情報コミュニケーション事業本部 トッパンアイデアセンター セキュアソリューション本部 戦略・企画推進部 課長 チームリーダー 武田 稔氏
2010年のICカード発行枚数は微増
「FeliCa Lite」や「Mifare Ultralight」は新しい領域で導入が増加
凸版印刷の近年のICカードビジネスとしては、2007年は大手流通事業者が電子マネーを発行したため、同社のICカード事業も拡大したが、2008年にその伸びは落ち着き、以降、微増が続いているという。2010年もFeliCa、TypeA/Bなどの非接触ICカードの発行枚数は微増であるが伸びを見せている。
FeliCaの場合は、電子マネーの利用できる店舗が着実に拡大したため、カード発行数も増加。TypeAに関してはゲームカード、TypeBは住民基本台帳カードを中心に伸びを見せたという。一方、ソニーの「FeliCa Lite」やNXPセミコンダクターズの「Mifare Ultralight」に関しては、会員証やスマートポスターなどの新領域で拡大した。
なお、ICカードの販売価格に関しては、各規格とも数年前から比べると徐々に下がってきているそうだ。カードの形状としてはデュアルインターフェースなどの高機能なものよりも、接触、非接触のみのスタンダードなタイプの発行が大多数を占めている。
高級感のあり安価な「メタルフェイスカード」を開発
環境配慮製品「TANE-KAMI CARD」の試作品を開発
同社では、他社との差別化として、独自の加工技術を生かしたカードの開発に力を入れている。その1つが金属の質感を持ち、高い光沢性が売りの磁気カード「メタルフェイスカード」である。券面を印刷した後工程でエンボスや箔押しなどの加工が可能であり、JIS規格にも準拠している。価格も従来の磁気カードに比べてわずかなコストアップで済むため、高級感を出したカードを発行する企業に対し、自信をもって提案できるそうだ。実際、そごう・西武が2011年4月にリニューアルした「ミレニアム/クラブ・オン カード」では、金属調で高級な質感が評価されたとのこと。昨今では、流通事業者も他社とどうやって差別化を図るかを考えており、同カードに関心を示す企業は非常に多いという。現状、同カードは非接触ICには対応していないため、今後は同機能の開発を進めていく。
また、生分解性100%の環境配慮型カードである紙の素材で作られた「KAMICARD」も同社の高い技術力が活かされた製品である。2010年12月には環境配慮型カードに植物の種を付加した「TANE-KAMICARD」(タネ カミカード)の試作品を開発。同カードは、KAMICARDに植物の種を付加し、廃棄していた部位に植物の種を仕込むことで、土中に埋めて花を咲かせたり、植物の生育を楽しんだりすることができる。
KAMICARDに関しては、ギフトカードなど、磁気タイプのローコストな市場がターゲットなるため、今後磁気テープの加工を開発し、ギフトカード用途に市場を拡大していく。環境意識の高い流通・小売店やカード会社への導入を積極的に推進していく。
ディスプレイ搭載のNFC搭載ICカードを開発
カード媒体にとどまらず、新サービス開発にも注力
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