訪日客が地域に寄付して体感型ご当地ギフトを受け取れる「Donate & Go」、京都やニセコで展開へ

2024年9月13日8:40

京都府京都市、一般社団法人倶知安観光協会、大阪ガス、ギフティ、日本航空は2024年9月11日に記者説明会を開催し、訪日客が訪れた地域に寄付をして、お礼として体感型のご当地ギフトを受け取ることができる国内初の取り組み「Donate & Go」の開始を発表した。また、京都市では、海外に向けて京都の価値や魅力を発信し、景観や文化をはじめとする京都の財産を守り受け継ぐための寄付を呼び掛ける「Preserve Kyoto Gift」を開始した。前述の5者は「Donate & Go コンソーシアム」を設立し、参加自治体などを増やすことで、持続可能な地域づくり・観光に関わる関係人口を増やし、地域課題の解決を目指すという。

池谷貴

左から大阪ガス 理事 京都地区統括支配人 桑原 千香氏、ギフティ 常務執行役員 森 悟朗氏、京都市長 松井 孝治氏、一般社団法人倶知安観光協会 会長 二川原 康平氏、日本航空 常務執行役員 西日本支社長 宮坂 久美子氏

寄付で電子ギフト、体感型ギフトを受け取れる
京都市で「Preserve Kyoto Gift」を開始

「Donate & Go」は、訪れた地域の歴史や文化、自然環境を訪日客に一層知ってもらい、ファンになってもらうとともに、地域の抱える観光に関連した課題について理解を求める仕組みだ。京都市・倶知安観光協会・ギフティが創案したが、事業主体は各地域の自治体などとなる。同取り組みは、訪日客からの寄付を募り、地域からの感謝を示すお礼のギフトとして、地域の観光資源に資する飲食店や観光施設で体験に利用できる電子ギフト券など、体感型のご当地ギフトを贈るという。

寄付者へのふるさと納税のように寄付金控除はない。ただ、「ふるさと納税」やギフティが自治体などと協力して実施する「旅先納税」をヒントに、寄付およびお礼として体感型のご当地ギフトを返す仕組みとなる。

ギフティでは、2019年11月に旅先納税の展開を開始し、 2024年9月11日時点で全国76自治体に導入している。同社の本社は東京・五反田にあるが、京都の事務所を中心に旅先納税事業を行っている。旅先納税は、共感した地域に旅前・旅先などで寄附をし、旅先の宿泊施設や飲食店、体験施設等の地域体験で利用可能な「e街ギフト」をその場で即座に返礼品として受け取ることのできる仕組みだ。その連携パートナーとして大阪ガスとJALが名を連ねる。京都府や京都市での加盟店向けのサービスでは大阪ガスと連携している。

 

「Donate & Go」の仕組みとして、訪日客が旅行中にチラシなどで地域の取り組みや理念を知り、QRコードなどからランディングページや寄付サイトへアクセス。スマートフォンで共感した地域へ寄付し、体感型ご当地ギフトを受け取る。決済はクレジットカードとなる。

ポスター等に記載された二次元コードを読み取り
決済情報を入力
寄付完了

第一弾となる取り組みとして、京都市が「Donate & Go」を初導入。9月11日より「Preserve Kyoto Gift」を開始している。寄付金は1,000円から100万円までの6種類と、寄付額 1,000円の「京都伝統産業ミュージアム入場券」(500円分)、寄付額 1万1,000円の「Preserve Kyoto Gift」5,000円分+「京都伝統産業ミュージアム入場券」(500円分)を用意した。50%が京都府京都市への寄付となる。

京都伝統産業ミュージアム入場券

地域コンテンツ活用のNFTやグッズも準備へ
電子ギフト券は寄付額の半額

寄付者は、店舗に設置されたQRコードや電子スタンプを活用して店舗で実際に利用できる。電子ギフトは、地域ミュージアムなどの特別入場チケットに加え、地域コンテンツを活かしたNFTやグッズなども準備しているという。

支払金額を入力
Preserve Kyoto Giftを表示

京都市では、百年先、千年先の未来のため、世界中から訪れる観光客と、共に京都を守り、価値を創造する新しい関係性を築くことはできないかという問題意識で導入を考えたそうだ。日本・世界の財産である京都だが、町家保全に年間1億円費やしており、800件ずつ失われていくという。また、伝統産業品の喪失による、日本文化の危機も叫ばれている。「Preserve Kyoto Gift」では、「旅行を楽しみながら、京都の魅力や価値を守る取組に貢献する」旅の形を訪日客に提案できる。京都市 総合企画局 人口戦略室 室長 小林広生氏は「簡単に気軽に支援していただける画期的な仕組みとして周知を図っていきたいです」と期待した。

返礼として贈られる電子ギフト券は寄付額の半額。9月11日時点での加盟店舗は約380店舗。訪日客からの寄付の受付と電子ギフト券の提供を開始した。すでに京都市では旅先納税を導入しているが、その店舗を中心に開拓を進めている。

12月にニセコエリアで開始予定
訪日客の共感周遊を促進へ

また、京都市に続く2箇所目の導入地域として、2024年12月にニセコエリア(北海道倶知安町、ニセコ町、蘭越町)での導入開始を予定。ギフティ 常務執行役員 森 悟朗氏は「両エリアで同じ対策ができる理解が進むような世界を目指します」と話す。倶知安観光協会ではギフティと連携し 2021 年 12 月より「KU-KURU」の名称で旅先納税を開始し、これまで の累計寄附額は 1 億 7,000万円に達している。倶知安観光協会 事務局長 鈴木紀彦氏によると、「Donate & Go」では、自然環境の保全、教育文化スポーツ(スキー)振興、持続可能な観光まちづくり事業での使途を考えているそうだ。

 

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