Click to Payサービスの今後の展望とG+Dの取り組みについて ギーゼッケ アンド デブリエント (G+D) (後編)

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2025年11月18日9:00

カード情報の登録方法は大きく3つ
オプトイン、アウト以外の選択肢も

カード情報の登録方法は、ユーザー自身が入力する以外にもいくつかあります。そのうちのどれが日本のスタンダードになっていくのかは未知数です。

その1つは、オプトイン方式です。これは先ほど説明した例を指します。つまり、初回決済時に、ユーザー自身が、決済代行業者のサービス上の決済画面でカード情報を登録するという方法です。

2つ目のオプトアウト方式は、イシュア側からカード情報を登録するというイメージです。イシュアが対象となるユーザーを選択、あるいは一括で登録することで、ユーザー側からすると自分自身でカード情報を入力しなくてもClick to Payが使えるようになります。この方式を採るには、イシュアが何らかの方法でユーザーの合意を得る必要があるかもしれません。

3つ目は、プッシュプロビジョニング方式です。これは、オプトイン方式の1つに分類することもできるかもしれません。ユーザーがイシュアのアプリの中で、好きなカードを選んで、Click to Payプロファイルに登録するという方法です。

G+DはグローバルでICカードを製造・発行していることから、イシュアとの強い結び付きを持っています。このことから、イシュアが運用しているアプリの機能を拡張させるようなサービスを行っておりまして、プッシュプロビジョニングもその機能の一部という位置付けでとらえています。

余談ですが参考までにご説明いたしますと、弊社ではイシュア向けのToken Cockpitというサービスがあります。イシュアのスーパーアプリを想像していただいて、それをサポートするサービスだと思っていただければけっこうです。ユーザーはネット決済をするときに、それぞれの加盟店で自分のカード情報を登録しますよね。その結果、私自身もそうなのですが、どの加盟店に自分のカード情報を登録したのか、わからなくなってしまう事があります。それを一覧で管理できるのが、このサービスです。ユーザーが、イシュアのアプリの中で、自分のカード情報が紐づいている加盟店の情報を一覧で確認できるというものです。この加盟店は最近あまり使っていない、カード情報を登録しておくのは心配だ、といった場合、このサービスを使えばユーザー自身でその情報を停止したり削除したりすることができます。弊社ではこのサービスの1つの機能として、カード情報をClick to Payに登録できるプッシュプロビジョニングの機能を提供しています。

パスキーの導入、EVの充電など
さまざまなシーンで改善・拡張にトライ

Click to Payの今後の展望についてお話しさせていただきます。

今後予想される追加機能として、まず、パスキーへの対応が挙げられます。新規カード登録時や、3DSの決済フローに移行した際に求められるワンタイムパスワードを入力するには、その都度画面を遷移して、数字をメモして…、と面倒な作業を強いられる上に、入力をミスするとまた一からやり直し。それが原因でカゴ落ちが発生することも多いと思います。この課題を解決する方法のひとつとして、生体認証を利用するパスキーが注目されています。これをClick to Payに搭載する方向で検討が進んでいます。

もうひとつが、電気自動車(EV)を充電する際の、Electric Vehicle Open Payments (EVOP)への対応です。EMVCoでは今、ISO 15118(Plug & Charge)に則った、充電ステーションでの決済方式が協議されているところです。EVがパソコン、充電ステーションが加盟店だと思っていただければイメージしやすいのではないかと思います。1台のEVがさまざまな充電ステーションに立ち寄った際に、いちいち情報を入力する手間なく、ワンクリックで決済できれば非常に便利です。それを実現するためにClick to Payと同じようなシステムを使えればいいのではないかということで、討議が進められております。

決済代行業者、ブランド、イシュアに向けて
それぞれが求める機能を提供

G+Dは、決済代行業者向け、カードブランド向け、イシュア向けのそれぞれにサービスを用意して提供しております。決済代行業者向けには、オプトインの登録機能を持ったSDKとそれを運用するサーバーを提供しています。カードブランド向けには、フランスやオーストラリアの海外のローカルブランドに、SRCシステムと呼ばれるコアシステムを提供しています。イシュア向けには、オプトアウト方式のカード情報一括登録に対応するAPIサービス、プロビジョニング対応のモバイルアプリ用のSDKと運用サーバーを提供しています。

決済代行業者向けSDKのインテグレーションの例としては、決済ページ内にSDKを埋め込む方法、もしくは、決済代行業者経由で、加盟店のウェブショップにSDKを埋め込んでいただくことで、Click to Payに対応する事ができます。

海外の導入事例として、Global Payment Europe(GPE)社をご紹介します。GPE社は、米国のGlobal Payment incグループに所属する決済ソリューション会社で、1万店以上の加盟店を擁し、年間20億件以上のトランザクションに対応しています。われわれは2019年に3DSサービスを提供開始、2023年にはネットワークトークンサービスを提供開始するなど、GPE社との強い関係を築いています。GPE社からはインテグレーションリソースを最適化できる、認定期間を短縮できる、メンテナンスコストを削減できるという理由でG+Dを選定頂きました。Click to Payの導入後、コンバージョン率が3%向上したという効果もあり、現在も継続ご利用頂いております。

HCEベースのトークン管理でグローバルな実績
今後はiOS端末のNFC決済にサービスを拡大

最後にClick to Pay以外のホットトピックとして、iOS端末のNFC決済についてご紹介させていただきたいと思います。先ほどお話ししたように、G+Dは、イシュアのアプリに機能を追加することに注力しております。これはその取り組みの中の1つです。

現在、スマホのタッチ決済には、Apple Pay、Google Payなどいろいろなものがあります。その中のひとつとして、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、イシュアのモバイルアプリを使ったNFC決済があります。イシュアがなぜスマホ決済を提供するのかといいますと、自社ブランドの強化や、顧客のロイヤリティ向上などが目的です。その際にはHCEと呼ばれる技術を使ったサービスがベースになるのですが、これまではAppleがNFCの機能に制限をかけていたため、この技術はAndroid端末にしか適用できませんでした。

けれども2025年、AppleがNFCの機能をサードパーティに開放するということになり、われわれもiOSを使ったイシュアPay決済ができる状況になりました。

G+DはイシュアPay向けのトークン管理サービスをグローバルに展開しており、特に日本はiOSユーザーが非常に多いということもありますので、今後iOSを含めてイシュアPayの展開を検討するイシュアが増えるのではないかと期待しています。

われわれG+Dは、トークンリクエスターという立場で、TSPと呼ばれるカードブランドにリクエストし、できあがったトークンを指定のモバイルデバイスにデリバリしています。このようなトークン管理サービスを、日本を含めてグローバルで展開しています。そこで培われた知見を生かして、今われわれはiOS端末のNFC決済に対応すべく開発を進めているところです。来年、2026年には、商用サービスとしてスタートさせたいと考えていますので、ご興味のある方はお声がけください。

ご清聴ありがとうございました。

 

■お問い合わせ先
ギーゼッケ アンド デブリエント株式会社 (G+D)
ペイメントソリューション部
Phone: 090 7187 4997

 

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