IVRの機能を利用したテレフォン決済システムを開発(ジャックス)

2011年9月2日8:00

IVRの機能を利用したテレフォン決済システムを開発
利便性とセキュリティを武器に、訪問販売や通信販売への導入が加速?

一般的な携帯電話や固定電話を利用し、IVR(音声自動応答)の案内のもとクレジットカードの処理を行うカード決済システムが登場した。ジャックスの「J-web Payment(IVR)」は、フリーダイヤルの音声ガイダンスに沿って、加盟店販売員は売上情報、利用者はカード番号などの情報を入力するだけで決済の処理が可能となっている。

携帯電話、固定電話により

カード情報をプッシュホンで入力

ジャックスは、同社が販売するクラウド型EC決済代行サービス「J-web Payment」とNTTコミュニケーションズが運営するクラウド型電話音声自動応答サービス「Vポータルダイレクト」を、ジャックスで商品企画し最適化したパッケージサービス「J-web Payment(IVR)」として販売を行っている。

昨今は、改正割賦販売法やPCI DSSの基準などにより、加盟店のカード情報に関する適正な管理が求められている。しかし、通信販売などを行う企業の中には、インプリンタで処理を行っているところもあり、必ずしも決済端末のインフラが整っていなかったという。また、ジャックスの提携カードを発行している加盟店においてもセキュリティに課題を抱えている企業も少なくなかった。同社では当初、インターネットを利用した新しいシステムの導入も検討したが、必ずしもすべての加盟店がネット決済に関するリテラシーが高いわけではなかったため、より簡易的な決済システムの導入が必要だったという。

「J-web Payment(IVR)」のサービスイメージ

そんな時、宅配便の再配達自動受付などで利用されているIVR(音声自動応答)の仕組みにヒントを得て、「これをカード決済の仕組みで利用できれば、誰でも便利に決済ができるのではないかと考え、J-web Payment(IVR)を開発しました」とジャックス 営業戦略本部 カード企画部 カードネットワーク課 エキスパートマスター 早田誠氏は話す。

J-web Payment(IVR)は、BlueGateを利用した同社のJ-web Payment に加え、IVR機能を搭載しているため、カード情報や支払方法をプッシュボタンで取り込み、即時にクレジットカードの与信処理を実施できる。同システムでは、専用端末やスマートフォンなどの通信機器を導入することなく、一般的な携帯電話、顧客の自宅にある固定電話を利用できるため、訪問販売やコールセンターによる通信販売などでも活用可能だ。

「プッシュ信号やフリーダイヤルが利用できるNTT東西の固定電話に加え、ほぼすべての携帯電話でシステムをご利用いただけます」(早田氏)

IVRの利用でカード情報漏えいのリスクを低減

商品情報との連携により在庫状況に合わせた処理が可能に

もともとは訪問販売の加盟店を対象にシステムの作り込みを行ったが、「コールセンターを運営しているECサイトやテレビ通販などの加盟店から、多数の引き合いをいただいています」と早田氏は成果を語る。

従来、クレジットカード決済の対応を行うコールセンターの担当者は、顧客からカード番号を直接聞く必要があり、そこからカード情報が漏えいするリスクも想定されることから、加盟店がIVRを利用するメリットは大きいという。

ジャックス 営業戦略本部 カード企画部 カードネットワーク課 エキスパートマスター 早田誠氏

「お客様自身でカード番号を入力する形を推奨しており、決済後も加盟店に対してクレジットカード情報はお渡ししていません。加盟店ではWebの管理画面で取引状況を閲覧できますが、その際にカード番号を参照することはできず、伝票番号や取引の日時などでお客様情報を確認していただきます」(早田氏)

利用者が入力したカード番号、有効期限、セキュリティコードなどの情報は、NTTコミュニケーションズのVポータルダイレクトのサーバに届けられ、HTTPSの通信によりBlueGateと連携する。加盟店が取引情報をキャンセルした場合もIVR機能を利用し、伝票番号などを入れて処理が可能だ。Vポータルダイレクトは商品情報とリアルタイムに連携できるため、通信販売などの場合は、在庫状況に合わせた処理が行えることも特徴となっている。また、不正な取引については、カード会社の不正検知システムやIVRシステム側の処理方法などで対応できるとしている。

なお、J-web Payment(IVR)は、インターネット決済の仕組みを利用しているが、「訪問販売などの場合は商取引としては対面の加盟店契約が適用されます」と早田氏は説明する。

ポーラ化粧品での採用が決定

年間100億円の売り上げを見込む

ジャックスでは、同社が提携カードを発行している企業に対してシステムの提供を開始しているが、ポーラ化粧品をはじめ、大手の化粧品販売業者が同システムを採用している。

価格はトランザクション1件当たり100円以下、固定費としては月間30万円となる。同社では大手の加盟店を中心に営業を行い、年間50万件の決済処理と100億円の売り上げを見込んでいる。 

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