2011年9月9日8:00
ラグジュアリーブランド旗艦店でスマートフォン決済がスタート
顧客の面前でiPod touchを利用した決済処理が可能に
クレジットカードの決済代行事業者であるゼウス、iPhone、iPod touch、Androidを活用した店舗管理システム「Salasee(セラシー)」を提供するアスタリスク、アクワイアラー事業、UCブランド管理事業を担うユーシーカードは、2011年9月1日にオープンしたラグジュアリーブランド旗艦店において、「Salasee」が採用されたと発表した。
ゼウス/アスタリスク/ユーシーカード
洋服のプライスタグのバーコードを読み取り
顧客と会話をしながら決済処理を実施
「お客様からは、iPod touchを利用して片手でクレジットカードの処理を行うことが求められました。対面で会話をしながら決済を行うことが可能で、支払いのためにお客様をレジまで誘導する必要がなくなります」(アスタリスク 代表取締役 社長 鈴木規之氏)
同店舗の従業員には、クレジットカードの読み取り機能がある「ScanJacket」を装着したiPod touchを配布。店舗の従業員は、洋服などに付けられたプライスタグのバーコードを読み取り、顧客から預かったクレジットカードをiPod touchで読み取ることで決済が行える。店舗のどこの売場からもクレジットカードの処理が可能となるため、レジまでカードを持って行く必要はなく、顧客にとっても自身の目に見えないところで決済が行われることはないため、安心感を得られるという。
また、同店舗は、商品単価が高く、クレジットカードの決済比率が高い。店舗の斬新性も売りとなっているため、新たなアプリケーションであるiPod touchを利用した新しい決済システムへの評価も高い。店舗の従業員からは、「操作方法が簡単で覚えやすい」との声をもらっているという。
アクワイアリングに関しては、ユーシーカードと提携して行っている。同店舗ではUCカードをはじめとするVisa、MasterCardの他JCB、AmericanExpress、Dinersのカード決済の処理が可能だ。
「業界としても新しい取組みで苦慮したが、安全性・機能性・革新性に妥協することなく三社一体で取り組むことが出来たため、リリースに至りました」(ゼウス 代表取締役社長 地引一由氏)
店舗は3階建てだが、各階には小型のモバイルプリンタが置かれており、Bluetooth通信により「加盟店控え」「カード会社控え」「お客様控え」を出力している。
「カード利用者の安心感を考えた場合、レシートにサインし、利用控えをお渡しすることがベストだと思います。端末とセンター間の通信は暗号化した上でWi-Fiを利用して行っています」(ゼウス 取締役 営業部 部長 兼 営業管理部 部長 金沢哲史氏)
カード情報はAESで暗号化
POSアプリケーションとの連携も将来的には可能に
クレジットカード情報の取り扱いは、日本クレジットカード協会が発表した「スマートフォン決済の安全基準等に関する基本的な考え方」に準拠する方法をユーシーカードとの提携により実現したという。
カード情報はAESで暗号化しており、アプリケーション上でクレジットカードなどセンシティブな情報は閲覧できない。また、クレジットカードの処理はPCI DSSに準拠したゼウスのセンターで行われており、「決済の安全性は先方からも高く評価された」(ゼウス 営業本部 営業部 富永大輔氏)と自信を見せる。
Salaseeは、据え置きのPOSにも対応している。売上報告、棚卸処理、在庫確認などのPOSアプリケーションを含めた提案を行えることが強みとなっている。ラグジュアリーブランドでは、決済処理からスタートしているが、「将来的には、当該店舗にサイズなどの在庫がない場合、他の店舗の在庫をiPod touchで検索することなども考えていらっしゃいます」と鈴木氏は説明する。また、スマートフォンに電子カタログをインストールすれば、「ついで買い」の提案を行うことも可能だ。
ゼウスとアスタリスクでは、ユーシーカードとの提携により実現した今回のラグジュアリーブランドでの採用をもとに、決済などの売上処理や在庫管理ができるトータルなPOSシステムとして、「Salasee」導入店舗の拡大に力を入れる方針だ。