2026年9月2日9:00(JST)
【日本】節約アプリ「レシチャレ」を運営するクラシルは、2026年8月21日、「レシートデータ市場」をテーマとしたメディア向け記者発表会を開催した。当日は、「レシチャレ」に毎月投稿される数千万枚のレシートをもとに、今なぜレシートデータが企業から注目されているのか、その市場背景と価値をご紹介するとともに、約14万人の同一生活者を1年間追跡した分析結果から、2026年の最新消費トレンドを発表した。また、ニッセイ基礎研究所 生活研究部 上席研究員 久我 尚子氏をゲストに迎え、レシートデータが持つ価値や、データから見えてくる生活者の消費行動・市場動向について解説してもらった。

レシートを撮ればコインが貯まる DL数1,500万・MAU347万⼈を突破
クラシルは、2014年4月に設立し、2024年12月に東証グロー市場へ上場している。レシピ投稿プラットフォーム「クラシル」、節約アプリ「レシチャレ」、AIエージェント「Kurashiru AI Supply Chain OS」、ライフスタイルメディア「TRILL」を展開している。2026年3月期では、主軸のメディア事業を追い越す勢いで、メディア事業が拡大しているという。特にオフラインの購買事業が堅調に伸びている。
レシチャレは、日常生活のついでにコインが貯まるアプリとなる。移動距離や特売情報(チラシ)の閲覧数、買い物後のレシートの送信数に応じてアプリ内のコインを獲得し、貯めたコインは、PayPayやVポイント、楽天ポイント、Ponta、Amazonギフトなど、さまざまな特典(他社コイン・デジタルギフト・電子マネーなど)と交換できる。クラシル 執行役員兼レシチャレ BU GM 野村知己氏は「レシート1枚あたり対象商品によって還元額が異なりますが、平均で78円ほどユーザーの方に還元できるようなサービスとなっています」と話す。
レシチャレは、20~40代を中心とした女性層を中心に性別・年齢共にバランスよく利用されている。ダウンロード数は1,500万、月間アクティブユーザー(MAU)347万人を突破した。この3年間を見ると、MAUは5.3倍伸長し、オフラインにおける購買売上高も2年間で9.1倍と拡大した。
企業からの販促費をコイン原資に レシートデータの独自性が強み
レシチャレのビジネスモデルとして、メーカーと小売へ販促を行い、企業からの販促費をコイン原資としてユーザーに還元している。メーカーにとっては認知度向上につながり、効率のよい短納期や成果報酬型のプロモーションで成果がある。小売は、バスケットの単価向上や在庫回転率のアップにつながる。ユーザーは、商品購入したレシートをアップロードすることでポイントを獲得でき、お得に商品を購入できる。
小売やメーカーのパートナー企業も増えている。リテールパートナーは東急ストアなど9社と締結。同社では、パートナー企業を増やすことで、レシチャレの利用メーカー数やブランド数を拡大している。
レシチャレ拡大の要因として、長引く物価高によって、日常から節約を意識している人が増加している点が挙げられる。また、同社が2026年5月に実施したアンケートでは、レシチャレの利用理由として最も多かったのが「毎日のルーティンのついでにできる」点だった。レシチャレにレシートを提出する(節約する)人は年々増加傾向だ。
レシチャレの重要なステークホルダーであるメーカー・小売企業は「いつ・誰が・どこで・何を買っているのか」という解像度の高いインサイトを求めている。各社ともに自社の情報だけでは本当に知たい顧客像が見えずらい課題がある。レシートデータは店舗を横断した併売データやユーザー1人ひとりの購買データを時系列で追うことが可能だ。野村氏は「レシートデータは、政府統計にもない希少なマーケティング資産」であるとした。また、レシチャレだけではなく。他社の電子レシート、レシート買い取りサービスも成長している。
メーカーがレシートデータ活用 プロモーションやマーケティングに生かす
メーカーの活用事例として、ある食品加工メーカーは、競合マーケティングサービスでは野菜や卵などの生鮮食品の分析ができず、クロスセル(併売)データを含めた消費者の買い物カゴの中身を把握するのは困難だった。一方、レシチャレはOCR(光学式文字認識)技術を用いて印字されたテキストを読み取ることで、生鮮食品やクロスセルに関するデータを取得・分析することが可能だ。実際にパスタソースの購入データを分析したところ、8割以上のレシートにおいて、パスタソースと野菜が一緒に購入されていることが明らかになった。
また、健康食品メーカーでは、商品がいつ・どこで買われたか、小売り業態を横断して分析できる購買データを取得できなかったが、ビタミン系機能性飲料の購買を分析したところ、朝特有の需要が明確になり、通勤時間を狙った広告配信や販促など、時間帯に最適化したプロモーションを行えるようになった。
調味料メーカーのタルタルソースでは、アンケートやPOSでは発見できなかった発見があったという。購入時に実施したアンケートの回答と、レシートから分析した購買データとの間に不一致が見られた。「からあげに使う」として使用すると回答した層において、最も多く購入されていたのは「パン」だった。その結果、同社は、パン売り場での関連商品の陳列や新商品の開発など、より詳細な消費者ニーズに基づいたマーケティングが可能になると判断した。
2026年の消費トレンドは「節約のルーティン化」 リテールメディアからリプレイス、AIエージェント提供へ
続いて、レシチャレBU プロジェクト責任者 齋藤 岳氏がレシートデータから見た2026年の新消費トレンドについて紹介した。

2025年夏(5~7月)と2026年夏(5~7月)の両期間にレシートを継続投稿した14万3,869人の購買データを分析し、物価高が続く中で生活者の節約行動がどのように変化したのかを分析した。ユーザーが「レシチャレ」に投稿した約5,100万枚のレシートをもとに、上記期間で30件以上のレシートを投稿した同一ユーザーのデータを抽出。レシート文字と店舗情報から一人ひとりの買い方を両年分11指標で算出し、5つの型でクラスタリングを行い、1年の変化も分析している。
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