着実に成長するNTTドコモのクレジットブランド「iD」(NTTドコモ)

2012年4月13日8:00

着実に成長するNTTドコモのクレジットブランド「iD」
携帯キャリアの強みを生かした販促施策を積極展開

NTTドコモが2005年から提供するケータイクレジットブランド「iD」は、NTTドコモのおサイフケータイを利用した後払い決済(ポストペイ)となる。同社では携帯キャリアである強みを生かしたキャンペーンを定期的に行うなど、会員の利用促進に力を入れている。

2011年後半から加盟店の引き合いが増加

マルチ端末の普及でアクワイアラからの提案が加速

NTTドコモが2005年から提供開始したクレジットブランド「iD」。会員数は2012年3月現在1,650万人強、加盟店に設置されたリーダライタは55万台弱となっている。

決済単価は非公表だが、一般的なプリペイドタイプの電子マネーよりは高いという。2011年上期は、東日本大震災などの影響もありそれほど新規の導入は伸びなかったが、2011年下期から2012年に入り、引き合いが増えているという。特に、すかいらーくなどの飲食店、タクシー会社などで、端末の設置台数は堅調に伸びているそうだ。

NTTドコモ クレジット事業部 iD担当部長 小師隆氏

加盟店開拓については、iD決済がよく利用される業種を中心に展開。すでに大手のコンビニエンスストアへの導入は完了したため、現在はスーパーマーケット、GMS、ファストフードやファミリーレストランといった飲食店、ドラッグストアなどに提案を行っている。同業態は、「トップテン、あるいは20位以内の企業には積極的に導入を勧めていきたい」とNTTドコモ クレジット事業部 iD担当部長 小師隆氏は意気込みを述べる。

最近では、iD単体での導入はほとんどなく、SuicaやWAON、Edyなどの電子マネーと同時に採用されるケースがほとんどだ。また、中国銀聯と同時にiDを導入する事例も増えてきた。

カード会社のアクワイアリング(加盟店開拓)については、三井住友カードの実績が頭一つ抜けているが、ファミリーマートにユーシーカード、セブン-イレブンにジェーシービー、楽天市場に楽天カード、イオングループにイオンクレジットサービスといったように、他のカード会社のアクワイアリングの比率が増えてきたという。

「マルチ決済端末のライアップが増えたこともあり、クレジットカードや銀聯決済と合わせて、アクワイアラが積極的に営業をしていただいていることも追い風になっています」と小師氏は笑顔を見せる。

また、最近ではネガ情報をサーバで管理するシンクライアント型の決済端末も登場している。すでに、iDはNTTドコモが資本関係のあるトランザクション・メディア・ネットワークスの端末で採用されているが、「他の会社が提供するシンクライアント型システムにおいてもぜひiDを採用していただきたいと考えています」と小師氏は期待する。

iD利用者のスマートフォン移行率は高い数字を示す

NFCタグやドコモケータイ送金と絡めたキャンペーンを展開

また、iDの利用者のスマートフォンへの移行率は、NTTドコモの平均と比べても約2倍と高い数字になっている。現在、iD会員の約85%がおサイフケータイを利用しているが、2011年冬モデルからは、スマートフォンへのおサイフケータイ搭載が増えてきたため、さらにiDの利用は広がると同社では考えている。

左から、総額1,500万円キャッシュバックキャンペーン、コカ・コーラの自販機で1本につき10円キャッシュバックキャンペーン

「iDの場合は、NTTドコモが提供していることもあり、携帯電話やスマートフォンを絡めた切り口になりますので、プリペイド型の電子マネーとカード枚数を競うことは考えてなく、あくまでもおサイフケータイならではのサービスにとしての付加価値を提供していく方針です」(小師氏)

例えば、2011年12月には、加盟店でiD決済を行うとキャンペーンサイトにアクセスして抽選を行い、450人に1万円、20万人に50円をキャッシュバックするキャンペーンを行った。

「リクルートが提供する『RecoCheck』からアクセスしたり、iD利用可能店舗の店頭に設置してあるキャンペーンポスターのNFCタグを読み込んでアクセスすると、さらにプラスして1日1回ずつ、計3回抽選に参加できる仕組みも取り入れました。当選者には、後日、『ドコモケータイ送金』を利用して、当選金額をキャッシュバックしています」(小師氏)

また、2011年12月~2012年2月末まで、コカ・コーラの自動販売機でiDを使うともれなく10円をキャッシュバックするキャンペーンを実施している。このようなキャンペーンは定期的に実施しており、会員からの評価も高いという。

他キャリアでのiD採用を期待

TypeA/Bベースの決済は検討課題

今後は、他のキャリアでもiDのサービスが利用できる環境の整備が期待されるが、「iDはオープンなサービスを志向しており、将来的には他のキャリアでもサービスを展開していただきたいと考えています。スマートフォンへの移行が進むことにより、新たなサービスを追加しやすくなるため、他キャリアがiDを採用する障壁は少なくなると思います」と小師氏は話す。

TypeA/BベースのNFC決済については、「国内ではFeliCaベースのインフラで広がっているため、今後もそれを拡大していく必要がある」と考えているが、海外展開などの際はTypeA/Bがベースとなることから、今後の検討課題であるとしている。

同社では今後もiD決済と親和性の高い業種・業態へのアクワイアリングをカード会社と協力して実施するとともに、キャンペーンなどによる稼働率アップに取り組んでいきたいとしている。

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