2012年5月17日18:45
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.(AmericanExpress)は、グローバル企業の財務責任者(CFO)541人を対象に行った意識調査「アメリカン・エキスプレス/CFOリサーチグローバル・ビジネス・スペンディング・モニター2012」の結果を発表した。
今回で5 回目の実施となる同調査は、アメリカン・エキスプレスの法人事業部門と、CFO リサーチ・サービスが、世界各国の企業のCFO を対象に共同で行ったものである。2012年の調査で最も顕著だったのは、日本のCFO は、2011年の大規模自然災害による影響や新興市場の競争圧力の激化などにより、日本経済の見通しが不透明であるとしながらも、今年こそ成長の機会を捉えようと、海外企業を上回る積極的な意識を持って投資を進めようとしていることである。
同調査は、2012 年2 月に日本、米国、ヨーロッパ、カナダ、ラテンアメリカ、アジア、オーストラリアなど、20 数カ国におよぶ企業のCFO 計541人を対象に行ったものである。その結果、景気見通しに大きな差があり、インド、米国などでは約8 割が「楽観的」と回答しているのに対し、日本は3 割強にとどまった。
例えば、「日本が『堅固な』経済成長にいつ戻れると思うか」という質問では、年末までに景気回復を見込んでいると答えた日本の回答者はわずか35%だった。さらに、景気回復がいつ実現するのか分からないと答えたのは29%だったのに対し、世界平均では13%だった。
世界と比較すると、日本のCFOは景気回復に関して悲観的で、回答者の45%が緩やかまたは大幅な景気後退が2012年に起こると予測している(世界平均:14%)。
また、成長の足かせとなる要因について、日本の回答者の48%が、外的要因ではなく、むしろ、ビジョン、調整、経営資源の欠如などの社内要因が、今後の成長における深刻なリスクであると考えている。これに対し、世界平均は26%にとどまっている。
日本企業の財務責任者は、新興市場との競争にも敏感だ。回答者の3 人に1 人以上(35%)が、最大の競争圧力は新興市場から来ていると考えているが、世界平均ではわずか23%である。また、世界の企業の67%がグローバリゼーションは自社の業績見通しにとってプラス要因であり、競争が激化してもメリットのほうが大きいと答えているのに対し、同様に考えている日本のCFO は48%にとどまった。
また、昨年の自然災害が経営や財務の管理方法にどのように影響したかという質問に対しては、「リスク管理ならびにヘッジ対応を変更した」が68%(世界平均54%)、「財務計画のプロセスを変更した」が65%(世界平均:53%)となっており、日本のCFOの回答は世界平均より高くなっている。一方で、日本のCFOのうち、47%、世界平均では42%が、自社がサプライチェーンや在庫管理の方法を変更したと答えている。
また、日本のCFO は、イノベーションの想起や事業拡大に向けて一段と積極的なアプローチをとり始めているという。55%の回答者が、もっと高い成長率を求めて、より大きなリスクを取ることを望んでいる。この傾向は、世界平均(45%)、またイギリス(38%)やインド(34%)と比較しても大幅に高い割合となっている。
さらに、日本のCFO は、今年、投資規模を拡大する予定で、販売やマーケティング部門への投資を増やす可能性があると答えたのは60%(世界平均:50%)だった。
また、日本企業の財務責任者は、高い成長目標を掲げている。5 人に3人(58%)の割合で、2011 年より積極的な成長目標を設定している。また、回答者の61%は、2012 年の成長目標の達成に自信があると回答している。
今回の調査によると、日本のCFO は成長戦略に資する一定の分野において、支出水準を上げる傾向となった。プロフェッショナル・サービスは40%(世界平均:25%)、原材料や生産物資は37%(世界平均:32%)、コンピューター・ハードウェアは37%(世界平均:27%)、全社レベルのIT システムは32%(世界平均:33%)、広告・マーケティング・PRは31%(世界平均:29%)と世界平均よりも高い数字となった。一方、社員数および出張に関しては、継続的に厳格な管理を維持する予定であることがわかったという。