NTTドコモとの提携など「MasterCard PayPass」の普及に力を入れる(MasterCard)

2013年1月15日8:00

NTTドコモとの提携など「MasterCard PayPass」の普及に力を入れる
カード会社と協力し、カード発行や加盟店開拓を展開

マスターカード・ワールドワイド(MasterCard)の非接触型決済である「MasterCard PayPass」は、公共交通機関の切符、コーヒーやサンドイッチなどの販売店、ファストフード、ガソリンスタンドなどで利用できるスピーディーな支払手段である。2012年第三四半期時点で48カ国約55万箇所の加盟店で利用でき、国際標準に準拠しているため、海外でもそのまま使える利便性がある。2012年10月には、NTTドコモとモバイルを活用した新たな決済サービスの実現に向けた業務提携に合意。三井住友カードもカードの発行および加盟店開拓を展開すると発表するなど、同決済サービスをめぐる動きは国内でも加速している。

世界各国でPayPass決済の浸透が進む
クレジット、デビット、プリペイドのすべてをカバー

「現在、PayPassカードを発行できるイシュアは全世界に100以上あり、ハンドセットとしては70機種以上が認定を取得しています。世界的にも認定のスマートフォンは倍々で増えると思われ、国内においてもNFC対応のハンドセットは増加すると思われます。」(マスターカード・ワールドワイド 上席副社長 マーケット デベロップメント 広瀬薫氏)

「PayPass Wallet」のイメージ

PayPassは、EMVベースの「M Chip」、マグストライプ双方に対応でき、世界中で利用可能な非接触決済ソリューションである。すでにカナダで発行するMasterCardカードには、約7割にPayPassが搭載されており、店頭支払の10回に1回はPayPassとなっている。また、オーストラリアでは2012年10月から新規発行のカードはPayPass搭載が義務付けられており、タクシーや新聞販売店、書店、スーパーなどの新規加盟店については、PayPass対応を行う必要があるそうだ。台湾やシンガポールにおいては、タクシーでの利用もスタートしている。国内では舞浜のイクスピアリ、横浜・みなとみらいのコレット・マーレといった商業施設で利用されている。

PayPassは、クレジット、デビット、プリペイドのすべての決済手段をカバーしており、米国ではクレジットカードに加え、銀行の預金口座と連動したデビットカードの利用も伸びているそうだ。国内では、クレジットカードの利用が中心になると思われるが、今後、クレジットカードを持てない若年層、高齢者なども所有できるプリペイド、預金口座と連動した決済が可能なデビットの市場も成長する可能性はあると考えている。

PayPass Wallet」はリアル・ネット双方で展開
日本ではリアルのWalletが先行?

MasterCardでは、「easier, safer, more rewarding」というコンセプトのもと、簡単、安全で、付加価値の高い決済手段を提供する中で、非接触は“より簡単に購入できる”ことを売りとして掲げている。そのため、スピードを要求されるシーンにはいち早く浸透すると見ている。

マスターカード・ワールドワイド 上席副社長 マーケット デベロップメント 広瀬薫氏

PayPassは、磁気から接触、非接触という流れの中でのインターフェースの進化の形という意味合いもありますが、現状の利用シーンとしてはコンビニ、ドラッグストアなど単価が低い店舗が中心です。そのため、小額決済で多く用いられていますが、2~3年後は変わってくると思います」(広瀬氏)

昨今、非接触決済に注目が集まっているが、その要因としてスマートフォンの登場が挙げられる。スマートフォンが生活の一部になり、そこに決済手段が含まれた場合、利用されるシーンが増えると想定している。また、国際標準の決済が業界内で統一されることにより、セグメンテーションが明確になり、イシュア、加盟店にとって普及が広まりやすくなると見ている。さらに、「モバイルWallet」が世界中で登場し、クーポンやポイントサービスと連携することにより、消費者のニーズに応えやすくなる。

MasterCardでも「PayPass Wallet」の展開を発表しているが、これは、実店舗での決済に対応した「NFC PayPass」とネット決済に対応した「PayPass Online」を包含しており、1つのワレットでリアルとネット双方の決済が利用できる。

「現在は、ネット利用先行型で世界4カ国、リアル利用先行型としてはシンガポールにおいて「Smart Wallet」を展開していますが、日本ではNFCに対応したリアルのWalletが先行する事になるかと思います」(広瀬氏)

MasterCardでは、2011年にインテルと提携し、非接触ICカードに対応したリーダライタを電子機器に組み込む技術を提供していく予定であると発表した。将来的には、リーダライタが搭載された電子機器が世界のPCメーカーに提供され、コンシューマーのライフスタイルに合う新たなサービスを提供できると考えている。また、モバイルWalletの展開に向けては、米国・C-SAM社との提携を発表している。

FeliCaベースの決済との共存を目指す
「プライスレス・シティ・プログラム」との連動も視野に

NTTドコモとの提携については、日本市場ではFeliCaを利用した決済ソリューションが普及しているため、まずはiDを利用するNTTドコモのユーザーに対し、海外でも非接触決済が利用できる環境を整えることが必要であると考えたからだという。

「弊社としては、FeliCaに代わるものではなく、“FeliCaと一緒にあるもの”を提供したいと考えています。国内ですでに利用されているFeliCaベースのiDと海外ではTypeA/BをベースにしたPayPass双方が利用できることにより、消費者に利便性を提供できると思います」(広瀬氏)

国内では、現時点でオリエントコーポレーションがPayPassを搭載したクレジットカードを発行しており、昨年10月に三井住友カードがアクワイアリングのトライアルと、NFCスマートフォン向けの発行について発表した。「我々としては、国内のアクセプタンスも強化していきたいと考えています」と広瀬氏は意気込みを見せる。

海外においても日本人が訪問する韓国、台湾、ホノルルなどにおいてPayPassが利用できる箇所を増やしていく予定だ。MasterCardでは、「プライスレス・シティ・プログラム」を世界23都市において展開しているが、例えば「プライスレス・ホノルル」との相乗効果を視野に、現地の加盟店にPayPass端末を設置するといったことも将来的には考えられる。

一方、イシュイングについては、NFCに対応したスマートフォンの普及にもよるが、「この2~3年のうちにFeliCaベースで展開している『おサイフケータイ』に近い環境が整うと考えています」と広瀬氏は期待する。

MasterCardでは、PayPassをフォーカスする事業の1つと捉えている。国内ではカード会社と協力し、カード発行や加盟店開拓を強化していく方針だ。

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