「Visa payWave」で90兆円の現金決済市場の置き換えを狙う

2013年5月17日0:10

「Visa payWave」で90兆円の現金決済市場の置き換えを狙う
オリコは「OricoCard Visa payWave」を国内で初めて発行

ビザ・ワールドワイド(Visa)と、オリエントコーポレーション(オリコ)は、2013年5月16日に記者会見を行い、世界41カ国でVisaが展開する非接触型決済ソリューション「Visa ペイウェーブ(Visa payWave)」を搭載したクレジットカード「OricoCard Visa payWave」を国内で初めて発行すると発表した。

EMV技術を用いた非接触IC決済ソリューション
レジでの決済が4~6秒で完了

Visa payWaveの決済イメージ

Visa payWaveは、Visaが開発したEMV技術を用いた非接触IC決済ソリューションであり、スピーディーな取引が可能だ。Visaでは、電子マネー等で決済することに慣れている国内において、世界共通で利用できるVisa payWaveのサービスを提供することは、同社のビジネス戦略において重要であると考えている。現状、国内における消費の中で、電子決済が占める割合は14%~15%。韓国の約60%、米国の約40%に比べると進展の余地がある。特に5,000円以下の決済は90%以上が現金決済であり、「進化した電子決済に置き換えられる」とビザ・ワールドワイド・ジャパン 代表取締役 岡本和彦氏は期待する。

Visaでは、Visa payWaveは、EMV技術を用いた高い安全性と拡張性を備えた非接触IC決済ソリューションであると自信を見せる。その上で、磁気カード等に比べ、決済をよりスマートに効率よく実現することで売り上げの増加、カード会社のビジネスの拡大に貢献できるとしている。

左からビザ・ワールドワイド・ジャパン 代表取締役 岡本和彦氏と新技術推進部 ディレクター 鈴木章五氏

Visa payWaveの特長として、まずスピーディーな決済が挙げられる。例えば、店舗に来店した顧客がレジで商品を提示した際、レシートを受け取るまでの時間として、「現金が12~14秒なのに対し、Visa payWaveは4~6秒と大幅に短縮ができる」とビザ・ワールドワイド・ジャパン 新技術推進部 ディレクター 鈴木章五氏はメリットを挙げる。また、ISO7816に準拠しつつ多様な認証方法・リスク管理を実現する。EMV準拠の決済方式により、国内のみならず全世界で安心・安全に利用することが可能だ。さらに、後払いの「クレジットカード」、即時払いの「デビットカード」、前払いの「プリペイドカード」の各決済に対応できる。

2013年1月現在、Visa payWaveは、世界41カ国と地域で利用が可能だ。アメリカ、カナダ、シンガポール、韓国、香港、台湾、オーストラリア、フランス、イギリスなど日本人の主な海外渡航先国での利用も多い。例えば、アジア・オセアニア地域においては、シンガポールやオーストラリアの主要なスーパーやドラッグストアで広く利用されている。また、英国ではロンドンオリンピックの開催に向け、14万の加盟店において、Visa payWaveのアクセプタンス(加盟店ネットワーク)が整備された。さらに、オリンピック会場で唯一利用できる非接触決済となった。北米地区においても、Visa payWave をはじめとするEMV決済の整備が積極的に進められている。

世界41カ国と地域で利用が可能
5,000円以下の決済をVisa payWaveで攻略へ

前述のように、日本市場での電子決済の割合については14~15%であり、Visaではまだまだ伸び代があると見ている。

オリコが発行を開始するクレジットカード「OricoCard Visa payWave」

同社では、野村総合研究所の協力のもと、日本の決済市場の委託調査を実施したが、例えば、個人消費280兆円のうち、単価5,000円超の決済は27%を占めるが、5,000円以下は4%にとどまっている。現状、単価5,000円以下の対面取引では90兆円以上が現金で支払われている。その上で、消費者が日常の支払いで主に使用する決済手段として電子マネーと答えた人は、決済単価1,000円以下で2007年の2.4%から、2012年は7.4%に高まっている。また、1,000~5,000円のレンジにおいても2007年に比べ2012年は4倍の伸びを見せている。そのため、既存では攻略できなかった5,000円以下のセグメントをVisa payWaveでキャッシュレス化していく方針だ。Visaでは、2013年をVisa payWave元年と位置付ける。すでに、オリコに加え、三井住友カードが同サービスの対応を発表。今後も国内のイシュア(発行会社)に対し、発行を働き掛けていく方針だ。

オリコではNFCスマートフォン対応も準備
会員にカスタマーエクスペリエンスを提供へ

今回、オリコでは、2013年5月17日から、国内で初めてVisa payWaveを搭載した「OricoCard Visa payWave」を発行する。オリコでは、2006年から、他のカード会社に先駆けてMasterCardの非接触IC決済サービス「PayPass」の商用サービスを展開しており、千葉の商業施設・イクスピアリ等で利用されている。また、近距離無線通信の国際標準規格である「NFC」の実証実験を行ってきた。オリエントコーポ―レーション 代表取締役 齋藤雅之氏は、「Visa payWaveはNFCの代表的なアプリケーションの1つ。国内だけでなく海外での利用促進効果も高まります。我が国における非接触IC決済の本格的な普及と、決済市場全体の拡大に寄与すると期待しています」と語る。

 

左からオリエントコーポ―レーション 代表取締役 齋藤雅之氏、執行役員 顧客営業推進グループ渉外担当 山口朗氏

また、オリエントコーポレーション 執行役員 顧客営業推進グループ渉外担当 山口朗氏は、Visa payWave等の非接触IC決済を提供することにより、簡単、スピーディーな決済が実現できるため、「カスタマーエクスペリエンスを提供できる製品」であると意気込みを見せる。すでにオリコでは、FeliCaベースの決済である「iD」や「QUICPay」と磁気クレジットカードの一体型カードも発行しているが、通常のカードの利用金額が3万円なのに対し、一体型カードは8万円程度の利用があるそうだ。今後は、提携カードの発行に合わせ、加盟店に対してVisa payWaveのアクワイアリングも行っていきたいとしている。

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