2013年7月2日8:00
「Yahoo!ポイント」の「Tポイント」切り替えがスタート
Tポイントが貯まるタブレット端末提供で中小店舗のO2Oも支援
Yahoo! JAPANを運営するヤフー(Yahoo! JAPAN)と、「Tポイント」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、2013年7月1日、「Yahoo!ポイント」をTポイントに切り替え、「T-ID」を「Yahoo! JAPAN ID」に統一した。今後は、「Yahoo!ショッピング」「Yahoo!トラベル」「Yahoo!ゲーム」などYahoo! JAPANの16サービスや、Yahoo! JAPANの提携サイトにおいてTポイントが貯まるようになる。Yahoo! JAPANとカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、2012年6月に戦略的資本・業務提携を締結し、同10月にTポイント・ジャパンを設立した。両社の連携した取り組みについて、Tポイント・ジャパン DBマーケティング事業本部 提携推進プロジェクト リーダー 関谷潤氏と、ヤフー セントラルサービスカンパニー 決済金融本部 本部長 田鎖智人氏に話を聞いた。
国内最大の4兆円規模でポイントサービスを展開
会員サービスの統合で6,000万人のアクティブ会員を目指す
――いよいよ7月1日から、「Yahoo!ポイント」の「Tポイント」への切り替え、「T-ID」の「Yahoo! JAPAN ID」の統一化がスタートしました。会員がこれまで貯めたYahoo!ポイントは自動的にTポイントへ移行され、全国のTポイント提携先で1ポイント1円として利用できますね。
関谷:T-IDからYahoo! JAPAN IDへの切り替えについては、1年以内にすべての会員に切り替えていただく予定です。弊社は、リアルの提携社を数多く有していますが、ネットの分野はまだまだ弱いです。現在、Tポイントが付く売上は3兆円ありますが、そこにヤフーさんの1兆円が加わります。つまり、4兆円規模でポイントサービスを展開できることになり、これは日本で最大規模となります。
田鎖:これまで弊社では、ECのお客様を中心にビジネスを展開してきました。今後、EC化率が伸びていく中、同じポイントでサービス提供ができるのはお客様にとって大きなメリットが生まれると思います。
――開発に向けて苦労した点からお聞かせください。
田鎖:システム的な連携の部分に苦労しました。Tカードは、主にリアルをメインに展開しており、その考え方の整理が大変でした。今回は、Yahoo!ポイントをTポイントに送り出す形になりますので、残高の移行の設計では苦労しましたね。
関谷:両社のシステムは規模が大きく、それを7月1日に瞬時に切り替える作業は大変でした。
――両社の会員数の合算はこれからだと思いますが、今回のYahoo!ポイントの「Tポイント」への統合により、どの程度の会員規模になると思われますか?
関谷:T会員は、アクティブかつユニークな会員数を公表していますが、2013年5月末で4,560万人となっています。それを約2,700万人のID数を誇る「Yahoo! JAPAN ID」と統一することにより、将来的に6,000万人のアクティブユーザーを目指したいと考えています。
田鎖:ネット、リアルにかかわらず、 TポイントとYahoo! JAPAN IDが一体化した世界を目指しています。6,000万人に到達する手段として、Yahoo! JAPAN IDを持っていてTカードを持っていない方に対し、どのようにT会員になっていただくかを考えていきたいです。
カード読み取り機とタブレット端末を活用した端末を開発
中小規模店舗がTポイントサービスを導入できる環境を構築
――提携社開拓の取り組みについてお聞かせください。
関谷:ヤフーさんは、ネットの分野で多くのサービスを開発されており、Tポイントの提携社募集の営業も行われるため、広がると期待しています。すでに、小型のカード読み取り機とタブレット端末を活用した「T-UNIT 3」の展開を進めていただいております。タブレットでは、提携社が自らお客様ごとにステータスを確認することが可能です。例えば、直近で何回来店しているかなど、簡単なデータベースマーケティングを行うことができます。アプリケーションによる提供のため、拡張性が高く、将来的には、ターゲティングに利用したり、クーポンを提供するといったこともできると思います。
また、中小規模の提携社に向けては、日本最大級のジオサービス「Yahoo!ロコ」上で加盟店を紹介することで、T会員を送客することが可能です。
田鎖: タブレット端末のアプリケーションは、弊社のエンジニアが短期間で開発しました。すでに導入いただいた提携社には、現在、キャンペーンでYahoo!JAPANのリスティング広告をお試しで5,000円分掲載できる機能なども提供しています。今後は、集客支援的な機能を順次、追加していきたいと考えています。
――CCC様は提携社と連携したCRMにも力を入れていますね。
関谷:CRMシステムはどうしてもコストがかかるため、大手企業を中心に行われていましたが、今回のタブレット端末により、中小企業でも今までできなかったようなマーケティング活動を行えるようになりました。今後はわれわれのシステムを活用することにより、個性的なお店を増やして、売り上げアップに結び付けていければと考えています。
――今後は決済との連携は考えられるのでしょうか?
田鎖:将来的には決済との連携も考えられると思います。
関谷:先日、ヤフーさんと2日間泊まり込みで7月1日以降の展開について合宿を行いました。両社で目指したいのはNo,1のO2O(Online to Offline)のプラットフォームです。ネットで認知してリアルに送客するのはもちろん、リアルの情報をオンラインのサービスに生かす展開もあり得ると思います。今後にご期待ください。
――すでにヤフーさんでは、「nanacoポイント」や「JALマイレージバンク」とのポイント相互交換が終了しましたが、JR東日本の「Suicaポイント」との交換はどうなるのでしょうか?
田鎖:弊社では、お客様のニーズに合わせ、ポイント交換は継続したいという希望を持っています。「Suicaポイント」とは引き続き相互交換を継続します。
――現在、ヤフー様では、「Yahoo!JAPANカードSuica」や「Yahoo!JAPAN JCBカード」、CCC様は「Tカードプラス」などを発行されています。現在の特典は各カードにより異なりますが、今後、それを統一することは考えられるのでしょうか?
田鎖:基本的にクレジットカードの会員特典はそれぞれのカードの特性に合ったものが提供されています。ですので、特典を1つにするのはベストではないと考えています。各社ともTポイントという軸は生かしつつ、各社それぞれのお客様に向き合ったサービスを展開していくのがベストだと思います。
――CCC様とヤフー様では、2012年10月に新会社「Tポイント・ジャパン」を設立しましたが、そのシナジーはすでに生まれていますか?
関谷:ヤフーさんは「爆速」でサービスを形にされますので、今回の端末も含め、面白いサービスをすぐに展開できるシナジーが生まれています。また、われわれにはない視点をお持ちなので、サービス展開においてプラスに働いています。
――今後の目標をお聞かせください。
田鎖:弊社としては、会員の数も重要ですが質を重視していきたいです。また、Yahoo!JAPANのサービスの中でもポイント対応できていないものもありますので、ポイントが使えるサービスを増やすなど足元から固めていきたいです。
――最近は共通ポイントの競争が激しくなっており、ポイント併用や業界最低水準の手数料率をアピールポイントにする企業も登場しています。
関谷:Tポイントは単純な販促ツールではなく、マーケティングツールです。提携社の多くがマーケティングに有効活用されており、購買データを商品開発などに生かしているケースもあるため、ポイントを併用するとデータが分散化されてしまうデメリットもあると考えます。そのため、少なくともTポイントの提携社が併用を選択されるケースはないと見ています。また、弊社ではマーケティングのサポートを含め、手数料率だけでは見えない部分を売りにしていきたいです。