2015年8月5日7:00
オリコが2015年8月からタイにおいてオートローン事業に参入
国内で培ったノウハウと柔軟な商品性の強みを海外で展開
オリエントコーポレーション(オリコ)は、タイにおいてオートローン事業に参入する。国内において、オリコのオートローン事業は業界トップクラスの実績を誇る主要事業となっており、その強みを武器にタイでの事業を進める方針だ。現地法人名は、Orico Auto Leasing (Thailand)Ltd.で、2015年8月から営業を開始する予定となっている。
成長著しい東南アジアのマーケットを取り込む
タイのオートローンのポテンシャルに着目
オリコでは2012年4月に海外事業推進室を経営企画部内に設置。部内では、2010年から海外事業について検討を行っていたが、当時は中国を中心にオートローン事業を展開したいと考えていたそうだ。現在も中国市場への参入を模索しているが、並行して東南アジアのマーケット調査を二年半前から開始した。
参入に向けては、新車販売台数および人口の多い地域を中心に調査を進めたが、「タイは新車販売台数で100万台を超えており、かつ人口も十分な規模があります。当初はインドネシアとともに検討を進めましたが、ハイヤーパーチェス(Hirepurchase)のオートローン事業に関する許認可がスムーズにでき、マーケットが非常に洗練されているため、まずはタイに参入することになりました」と、経営企画グループ 経営企画部 海外事業推進室長 兼 経営企画部 副部長 馬場一晃氏は説明する。インドネシアについては、外資規制が厳しくなったため、引き続きM&A案件も含めて検討を進めている。
オリコが海外に展開する上で、「日本でも得意な個品割賦、特にオートローンにフォーカスし、足元を固め、そこで基盤ができたら別の商品を検討していきたいです」と馬場氏は話す。また、オートローンの中でも強みを持つ中古車事業を中心に据えていくそうだ。同部部長代理 酒居宏行氏は、「オートローン、特に中古車ローンに関しては、国内でも独立系のファイナンス会社として、信販会社では最大手となっています」と自信をみせる。
今後は、少子高齢化が進み、国内の決済周りのマーケットは縮小が予想される。オリコでは、国内でも個品割賦、無担保ローン、クレジットカード以外のビジネスへの進出を模索しており、その1つが海外展開となっている。その際に、成長著しい東南アジアのマーケットを取り込むのは、会社の方針とも合致し、地理的にも近いため、目も行き届きやすいメリットもある。
国内で培った個品割賦の強みを踏襲
タイでは全方位的にビジネスを展開
実際のタイでの展開でも、国内で培った強みを踏襲する予定だ。日本において、オリコは特定のメーカーや団体とアライアンスを組んで、割賦販売を行っているわけではなく、全方位的に取り組んでいる。
「タイにおいても特定の新車メーカー、中古車会社と提携するよりも全方位的にビジネスを行う予定です。実際のビジネスについては、オリコの強みを生かすのはもちろんですが、タイでも中古車協会があり、事業化前から好意にさせていただき、現地での中古車販売の流れ、販売方法、ローンの取り方などを勉強しながら取り組んできました。その結果、弊社単独での展開で成功できるという感触を掴むことができました。調達金利も含めたうえで採算が取れると判断しています」(馬場氏)
バンコクに1,500あるディーラーの半数での採用を目指す
5年後にオートローンの残高200億円が目標
タイにおけるオートローンでは銀行が主要なプレイヤーとなっているが、「与信のスピードや柔軟性のある商品性など、弊社の強みを生かし、ディーラー様の不満を解消していきたいと考えています」と馬場氏は意気込む。たとえば、自由払い型のオートローン商品はタイでは確認できておらず、ディーラーへのヒアリングでも好感触を得ている。
すでに2015年5月、現地法人Orico Auto Leasing(Thailand)Ltd.をバンコクに設立。8月から本格的な営業を開始するが、当初は約30名の体制となる。まずは、タイのGDPの49%超が集中するバンコクに絞って事業を行う予定だ。現在、バンコク市内でオートローンのディーラーは1,500程度あるが、そのうち半数での採用を目指す。
馬場氏は、「5年後にオートローンの残高200億円を目指します。日本で得意な個品割賦から足がかりを作り、将来的にはクレジットカードや無担保金融、決済代行など、ビジネスの幅はいろいろ考えられると思います。また、中国やインドネシアも含め、5年後、10年後のオリコを見据えたときに魅力的な地域があれば、今期は本腰をあげて探していく方針です」とビジネスの今後の方向性を語った。