7種の外貨決済やAlipayを導入、訪日外国人向けの「majica」も発行(ドン・キホーテ)

2016年3月16日9:01

全店が免税対応の許認可を取得し、インバウンド需要に積極的に対応

全店が免税対応の許認可を取得し、全社を挙げてインバウンド対応に取り組んできたドン・キホーテでは、2014年10月の税制改正以後も着実に免税売上を伸長させている。外国人客の比率が高い店舗には、免税カウンターを設け、多言語対応の専門スタッフを配置。4カ国語に対応するコールセンターを設置して全店での外国人対応を24時間、サポートしているほか、7種類の外貨決済にも対応している。さらに、新たな取り組みとして、一部の店舗で「Alipay(アリペイ)」決済への対応を開始した。

免税売上が好調に拡大
中国人の平均客単価は全体平均の約10倍

業績の好調な伸びを示しているドン・キホーテ。その1つの要因ともなっているのが、インバウンド消費の拡大だ。

以前は家電製品やブランド品など、ドン・キホーテで扱っている商品のうち一部だけが免税の対象であったものが、税制改正により2014年10月からは化粧品や菓子なども含め、取扱商品のほとんどが免税の対象となった。これによって、免税客単価の平均は3分の1に低下したものの、客数は10数倍となり、今なお拡大し続けている。

売上高に占める免税売上の構成比は、全体では5.2%。この数字も決して低くはないが、最も高い大阪の道頓堀御堂筋店では構成比が56.6%と半数以上となり、同店から300メートルしか離れていない道頓堀店でも47.2%。これに次ぐ沖縄の国際通り店では42.2%。免税売上構成比上位20店舗で、同社の免税売上全体のおよそ80%を占める。

2015年における免税購入客の国・地域別では、中国が最も多く31.7%、次いで韓国が25.8%、台湾が16.0%、香港が9.2%、タイが7.2%など。ただし直近で見ると、韓国がわずかに中国を抜き、1位になった。

一方これを、2015年の売上高比率で見ると、中国が48.9%とダントツの1位。続いて韓国の17.1%、台湾の12.7%、香港の6.9%、タイの6.4%の順である。これは、中国人の客単価が非常に高いためだ。そもそも免税の平均客単価は、全体平均である2,400~2,500円の約6倍に当たる1万5,000円ほどなのだが、中国人の平均客単価は全体平均の約10倍の2万5,000円近くに上っている。

▲多くの訪日外国人が訪れる道頓堀店外観
▲多くの訪日外国人が訪れる道頓堀店外観

多言語対応や外貨決済も可能に
「majica」でリピーター獲得を目指す
銀聯に加え、Alipayも一部店舗で導入

同社ではインバウンド対応策として、まず、ドン・キホーテ、MEGAドン・キホーテ全店で免税店の許認可を取得。さらに免税売上の構成比が高い20数店舗には、免税カウンターを設けたり、スタッフを増員したりしてレジ業務が滞らないようにしたほか、多言語対応が可能な専門スタッフを配置して、外国人客に対応している。

▲道頓堀店の免税カウンター
▲道頓堀店の免税カウンター

また、東京・新宿に4カ国語に対応するコールセンターを設置。英語、韓国語、中国語については24時間、タイ語については10時から22時まで対応している。多言語に対応するスタッフがいない店舗で外国人客から質問などを受けた場合、店舗スタッフはiPadからFaceTimeを通じてコールセンターにアクセスし、コールセンターのスタッフの助けを借りつつ外国人客とコミュニケーションをとる。4カ国語以外の言語を母国語とするお客様も来店するが、いずれかの言語を多少は理解しているケースがほとんどであり、特に問題は生じていないという。

決済手段は、クレジットカード、銀聯カード、日本円に加え、子会社のアクリーティブが開発したシステムを使い、中国元・台湾ドル・韓国ウォン・タイバーツ・香港ドル・米国ドル・ユーロの7種類の外貨に対応。このシステムでは日々、為替レートが更新され、偽造紙幣を見分ける鑑定機能も付いている。

また現在、5店舗で、中国のオンライン決済サービス「Alipay」への対応を開始し、運用方法などを検証中だ。

さらに、同社では、ドン・キホーテグループオリジナル電子マネー「majica(マジカ)」を発行しており、現在、約340万人の会員がいるが、これを外国人客にも展開。4カ国語に対応している訪日外国人観光客向け商品予約サイト「ウェルカム予約サイト」の利用者に対し、店舗での商品受け取り時に「majica」を発行し、チャージ時のポイント付与などのサービスを提供することによって、リピーターの拡大を狙う。

「現在、国内外を合わせて319店舗を展開していますが、これを2020年までに500店舗にする計画です。そのときには免税売上の比率は全体の10%になっているだろうと考えています」(ドン・キホーテ)

他企業や自治体との協業なども進めながら、より一層、インバウンド対応を強化していく。

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