2016年5月24日7:30
日本でもインバウンド対応として、銀聯カードに注目が集まっている。2015年秋には、セブン-イレブンやローソンといったコンビニエンスストアでも全店で銀聯カードの取り扱いを開始。国内でも急速に加盟店が拡大しているが、「カードビジネス年鑑」で紹介している韓国では、2014年末時点で150万店以上のカード加盟店での取り扱いが可能だ。
日本と韓国で2005年から銀聯のネットワークがスタート
巨大な国際ペイメントカードのネットワークを短期間に築く
中国のペイメントカードとATMのネットワークである中国銀聯(China Union Pay)が上海に誕生したのは、わずか14年前の2002年3月のことである。2015年6月末にはデビットカードとクレジットカードを合わせて50億枚以上の銀聯ブランドのカードが発行されている。この内訳はおよそ45億枚のデビットカードとおよそ5億枚のクレジットカードで、プリペイドカード、法人カード、コ・ブランディドカード、アフェニティカード、スマートシティカード、社会保障カードやIC乗車券機能が搭載されたカードなどが含まれている。
現在、銀聯では、銀聯国際ネットワークを境外135国と地区まで拡大。日本や韓国では、2005年から銀聯のネットワークがスタートし、日本では2014年末で40万店のカード加盟店と8万台のATMがネットワークされ、2014年度にはATMの取扱金額を含め277億元(約5,540億円)の決済が行われたという。
2015年度は、日本での銀聯カードの取り扱いはさらに大きく増加していると思われる。また、銀聯版のコンタクトレス・ペイメント・ソリューションである「Quick Pass」の取り扱いも、中国のみならず香港や澳門、台湾、オーストラリア、韓国のスーパーマーケットやファストフードなどですでに始まっている。
このように中国銀聯は巨大な国際ペイメントカードのネットワークを短期間に築いてきたが、この国際ネットワークを利用している銀聯カードの大半は、中国の金融機関が発行しているデビットカードやクレジットカードだ。銀聯カードは中国以外でも、香港や澳門を含め40以上の国とエリアで発行されているものの、その発行枚数は約5,000万枚と銀聯カード全体のわずか1%にとどまっている。中国以外で最も多く銀聯カードを発行している国は韓国で、1,400万枚を上回っている。
また、タイでも銀聯カードの発行枚数が急速に拡大していると言われている。日本においてもいくつかのクレジットカード会社により銀聯カードが発行されているものの、発行枚数はわずか16万枚だ。銀聯カードの国際化・グローバル化は、「中国人が行くところで銀聯カードが使えるようにする」という目標の下、中国人と中国企業の海外進出を支援するべく、一定の成果を上げてきた。今後は、こうした銀聯カードの国際ネットワークを活かし、海外における銀聯カードの発行を推進することによって、より一層のグローバル化を図ることを目指している。
銀聯カードの受け入れは2005年にスタート
ほぼ韓国の全加盟店で銀聯カードを取り扱う
韓国における銀聯カードの受け入れは日本と同様に2005年に始まった。訪韓中国人は2014年度で対前年比41.5%増の633万人で、訪日中国人の241万人(対前年比83.3%)を大きく上回っていたが、2015年度は韓国で発生したMERSや日本の円安の影響を受けて訪韓中国人は伸び悩み、訪日中国人は大きく増加して両者が逆転している。(図表)のように、ATMは韓国が6万8,000台以上で、日本は8万台以上とほぼ互角であるのに対し、銀聯カードの加盟店は韓国が150万店以上(2013年3月末では120万店以上)で、クレジットカードに関してはほぼ韓国の全カード加盟店での取り扱いが可能である。
BCカードからコンタクトレスペイメント「Quick Pass」機能付きカードが発行
世界で最初に銀聯クレジットカードのサイン決済を全面導入
銀聯カードの発行枚数を見ると、韓国ではVisaやMasterCardなどの国際ブランドのカードと同様に、銀聯ブランドのクレジットカードやデビットカード、オープンループのオンライン・プリペイドカードがBCカードやWoori Bank、新韓カード、ロッテカードなどの大手カード会社や銀行から2014年末で1,400万枚(2015年末では1,600万枚以上)発行されている。2015年8月には、韓国においてもBCカードを通じ、コンタクトレスペイメントの「Quick Pass」機能付きの銀聯カードの発行が始まっている。
また、韓国は海外でも最初に銀聯クレジットカードのサイン決済を全面導入した国であり、韓国の全加盟店のPOS端末では銀聯クレジットカードを取り扱っているそうだ。