2016年5月30日8:00

国内では10万台以上の端末が出荷され、FeliCa対応も予定

Miura Systems Ltdは、日本市場をはじめ世界40カ国以上でビジネスを展開している。同社ではグローバルの中でも最も高い成長を見せる日本市場の強化として、2016年前半に日本法人を設立予定である。

グローバルで約100万台のmPOSを出荷
日本は屈指の成長市場

Miura Systemsは、EMV対応も含めて、ハードウェアベンダーに特化してサービスを提供。現在、接触ICカードの読み取りに対応した「M006」が75万台、接触および非接触ICカードに対応した「M010」が25万台をグローバルで出荷している。中でも日本は成長市場となり、両端末を合わせて10万台の出荷を突破。Miura Systems Ltd Japan カントリーマネージャーの青田雅彦氏は、「シングルテリトリーとして、日本はもっとも出荷台数が多い市場となっています」と成果を口にする。

右からMiura Systems Ltd Japan カントリーマネージャーの青田雅彦氏、
右からMiura Systems Ltd Japan カントリーマネージャーの青田雅彦氏、ネットムーブ シニアプロジェクトマネージャ 高田理己氏

国内での出荷台数は、大手インターネット系企業も採用した「M006」が圧倒的に多いが、近年はリクルートペイメントやコイニーをはじめ、「M010」の引き合いが増えている。「M010」は、Visaの「Visa payWave」、MasterCardの「MasterCard Contactless」等の読み取りが可能だが、「国内市場に向けてはFeliCa系の電子マネーの対応を進めており、FeliCa性能検定Mクラスを取得しています」と青田氏は話す。また、欧州では、MasterCardが2016年1月以降、加盟店がPOS端末のコンタクトレス決済を受け入れる必要があるという基準を具体化したが、「M010」は規格に準拠している。

接触ICカード対応の「M006」(左)、接触および非接触ICカード対応の「M010」(右)
接触ICカード対応の「M006」(左)、接触および非接触ICカード対応の「M010」(右)

FeliCa系の電子マネーはシンクライアント対応を予定
国内ではネットムーブが初めてmPOSでEMVコンタクトレスに対応

FeliCa系の電子マネーについては、シンクライアントセンターとの接続を予定。現在、複数のセンターと話を進めており、利用する加盟店がセンターを選択できる体制を整えていきたいとしている。

なお、EMVコンタクトレスに関しては、日本国内におけるパートナー企業であるネットムーブがVisaの「Visa EMV Contactless(qVSDC)、MasterCardの「Mastercard Contactless」各ブランド認定テストの対応を完了した。

Miura Systems では、米国に続き日本でも2016年前半に日本法人を設立予定である。青田氏は、「英語対応に加え、英国で展開している企業というバリアがありましたが、より一層のサービス強化を図る狙いがあります」と口にする。例えば、従来は端末の利用契約を英語で直接行う必要があったが、そういった障壁を取り除くことが可能だ。

日本法人の設立はローカルマーケットのサポートの一環でもある。「保守・メンテナンスを含めたディストリビューター機能、将来的には日本で在庫を持つことも視野に入れています」(青田氏)

モバイル用のPOSソフトウェアとの連携も強化しており、2016年3月に英国でリリースした「POSzle(ポズル)」は2016年中には日本でも利用を可能とする予定だ。

リモートで初期キーのインジェクションが可能
ライアビリティシフトにより導入が加速

Miura Systemsの強みとして、グローバルに端末が供給されているため、コストをリーズナブルに抑えることができること、日本や海外を含めて多数の実績があることが挙げられる。また、「多くの決済端末がセキュリティルームでキッティングして、初期キー(IPEK)をインジェクション(有効化)するため、キッティング費用により高コストとなりますが、Gemalto(セーフネット)もしくはThalesのHSMを利用してリモートでのインジェクションを行うことにより、コストセーブができます」とネットムーブ シニアプロジェクトマネージャ 高田理己氏は説明する。

さらに、PANを「DUKPT(Derive Unique Key Per Transaction)」で暗号化する「SRED(Secure Reading and Exchange of Data)」に対応。SREDはPCI PTSのVersion3.0以降から項目に盛り込まれたが、フルで網羅している端末となっている。すでにネットムーブでは、国内でMiura Systemsの端末を用いた SDKをリリースしており、10社ほどの加盟店やプロバイダーにサービスを提供。オーソリ処理まで同社の決済センターで行うケース、鍵のインジェクションを担うケースなど、さまざまな形態で利用されている。「2015年10月のライアビリティシフトにより、対応を急がれたケースも多く、順調に採用が進みました」と高田氏は成果を口にする。

既存POSレジとの連携を強化
PINエントリーデバイスとしての活用も想定

Miura Systemsでは今後、mPOSの提供に加え、既存のPOSレジとの連携を強化していく方針だ。例えば、ネットムーブなどと連携し、POSベンダーに組み込んでもらうWindowsプラットフォームのSDKを提供することも検討している。また、「例えば、海外では、弊社の端末をPINエントリーデバイス的に利用していただき、実際のPOS機能はレガシーPOSで処理するといった使い方も検討され始めているため、日本でも展開していきたいです」と青田氏は構想を語った。

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