2016年9月7日8:00
仏・ジェムアルトは、モバイル認証、決済、オンラインバンキング、クラウドアクセス、テレマティックス、ソフトウェアの収益化などに関するデジタルセキュリティサービスを提供している。また、「HSM(ハードウェア セキュリティモジュール)」やトークナイゼーションなどのセキュリティソリューションを提供するセーフネットを買収し、ソフトウェアのセキュリティ製品のラインアップを強化した。ジェムアルトではIoT(Internet of Things)に関する取り組みに力を入れており、セキュリティ、認証、収益化に対して、同社が提供するソリューションを紹介した。
DNPにIoT向けセキュリティソリューションを提供
記者説明会では、まずIoT分野のセキュリティにおけるジェムアルトの取り組みについて、アジア・パシフィック地域&チャネルマーケティング ディレクター 鈴木信太郎氏が紹介した。
さまざまなモノがインターネットにつながるIoTが注目されているが、2016年に地球上でつながると予想されているのモノの数は64億といわれている。また、2020年までには500億のモノがつながると予想される。その拡大とともにセキュリティ対策が重要となる。
コネクテッド社会/エコシステムにおけるデータとして、デバイスやクラウドで保存(蓄積)されるデータおよびクラウド間を移動するデータがある。データの性質は、車の位置情報データやストリーミングメディアデータによって異なり、性質によって違うレベルのプライバシーが必要となる。ジェムアルトでは、ネットワークからクラウドまで一貫して、保存および移動するデータを含む接続されたデバイスのトータルライフサイクルをセキュアに管理できるそうだ。
2016年8月には、大日本印刷とIoTのセキュリティ分野で協業。同プラットフォームでは、IoT用のデバイスとサーバー間の通信において、インターネットプロトコルであるTLS(Transport Layer Security)の相互認証に用いる暗号鍵やデジタル証明書を、耐タンパ性の高いSAM(Secure Application Module)に格納することで、不正アクセスや改ざんを防止し、より安全にデバイスとサーバー間の相互認証を行う。
コネクテッドカーでHSMの採用が進む
続いて、アイデンティティ&データプロテクション事業部 ビジネスデベロップメント ディレクター 木村優一氏が「SafeNet HSM(ハードウェア・セキュリティ・モジュール)」によるなりすまし防止ソリューションを紹介した。HSMは暗号鍵の保護を目的としたハードウェアのセキュリティ製品となる。SafeNet HSMは、FIPS 140-2 レベル3の認定を受けており、業界で最も高いデータ保護の基準をクリアしている。
現在、ジェムアルトにおいてIoTで最も取り組みが進んでいるのは自動車の分野だ。コネクテッドカーによるセキュリティリスクでは、車から直接情報を入手される危険性がある。また、音声やMP3ファイルからのマルウェア配信、無線通信を通してのハッキング、クラウドインフラ経由でのハッキングおよびマルウェア配信といったリスクがある。
HSMは対タンパ性筐体が前提であり、電子的な暗号鍵を管理している。また、守っている暗号鍵でリクエストを受けた利用者の代わりに暗号化して戻すことが可能だ。さらに、鍵や乱数を生成することができる。HSMは決済や政府での活用に加え、盗聴、改ざん、なりすまし、否認などの仕組みでも使われている。
たとえば、メーカーやプロバイダと関連づけられる信頼できるデバイスであるか、従来のデバイスと安全に通信し、改ざんできないことを保証する方法でデバイスにファームウェア/ソフトウェアアップデートを発行することができるか、などを行える。セキュア・マニュファクチャリングとして、リバースエンジニアリングの防御、生産数量の確定、正規品・模造品との区別、コードやコマンドの正当性の確保などに役立てることができる。
IoTビジネスの収益化を実現させるソリューション
ジェムアルトではソフトウェア収益化ソリューションについても強化している。同ソリューションのIoTマーケットへ向けた展開について、ソフトウェアマネタイゼーション事業部 シニアプリセールスコンサルタント 前田利幸氏が紹介した。同ソリューションでは、リバースエンジニアリング、IP盗用の脅威から暗号化によって知的財産を保護。また、ライセンスと製品の複製や不正な配布など、ソフトウェアの不正を防止する。
さらに、ライセンスでは、ハードウェア、ソフトウェア、クラウドなど、多様な形態に対応。また、アプリケーションの利用状況を収集して、顧客の特徴と収益機会を観察し、ユーザエクスペリエンスを向上させるという。
そのほか、ソフトウェアを機能別に分けて、それぞれのライセンスを管理することが可能であり、エンドユーザーが使いたい機能のみを有効化できる。また、ハイエンド、ミドルレンジ、エントリーレンジなど、顧客レンジにフィットしたライセンス管理が可能だ。