2017年1月6日9:20
三井住友カードは、2016年11月21日から2017年1月31日まで、東京本社において顔認証を活用した決済サービスの実証実験を実施している。同社では生体認証技術に注目しており、来年度には加盟店での検証も見据えている。
社員400名が実験に参加
認証精度の検証、受容性、運用負荷等システム・運用面を確認
実証実験参加者は、三井住友カード社員400名。具体的な流れとして、「氏名」「生体情報(数値化された顔情報)」等をシステムに登録。実際に、三井住友カードの社員食堂に設置された4つのレーンで商品を選択し、各カメラで顔認証を行う。利用情報については、給与システムに連携し、給与天引きで精算する。参加者は、顔認証のみで資金精算が可能であり、ICカードをかざす必要がない。
三井住友カードでは、同実証実験において、実際の認証精度の検証、利用者の生体認証に対する受容性、運用負荷等システム・運用面の確認を行う。実際、運用開始から1カ月以上が経過したが、運用・システム面でも問題ないとのこと。また、認証精度についても想定通りとのことだ。
参加者が動作なくスムーズに認証
加盟店での運用の際はコスト抑制も可能
今回の実証実験では、NECの顔認証エンジン「NeoFace」により、事前に撮影・登録した社員の顔画像と、食堂に設置したカメラで撮影する顔画像を照合して本人確認を行っているが、将来的に加盟店で生体認証を実施すると考えた際、タブレットで顔認証を行うこともできる。その場合、認証装置などの筐体を用意しなくても運用が可能になり、加盟店のコスト負担を抑えることができる。また、顔認証のメリットとして、参加者が具体的な動作をせずに、タブレット側で認証が可能なことも挙げた。
なお、三井住友フィナンシャルグループの三井住友銀行でも社員約1,000名を対象に、SMBC本店・東館の社員食堂において2016年12月12日から2017年1月30日まで顔認証の実験を行っている。三井住友銀行の実験では、顔認証に加え、社員証を専用リーダーへかざすことで資金精算を実施している。
三井住友カードでは、経済産業省「IoT活用おもてなし実証事業」(関西/大阪)において、パナソニック システムネットワークス、大日本印刷との協働プロジェクトとして、大阪の商業施設「天保山マーケットプレース」(海遊館)等で、ユーザーのスマートフォン等で利用登録が可能な生体(手のひら)認証を用いた決済の実験を行った実績もある。今回の社員食堂での実証実験を踏まえ、今後は実際の店舗での利用を目指すという。
三井住友カード 商品企画開発部兼アクワイアリング企画部 部長代理 松尾和明氏は、「来年度中に実際のお店での実証を経て、その先のサービスに向けて検討していきたいです」と構想を語った。