2017年12月22日9:36
2017年11月28日~11月30日までフランス・カンヌで開催されたテクノロジーイベント「TRUSTECH(トラステック)2017」(主催はコメクスポジウム)では、アジアの端末メーカーが多く出展していた。中でも中国のPAX Technologyは、据置、モバイル、PINパッド、非接触リーダー、モバイルPOSなどに対応した決済端末を世界中に展開しているグローバル端末メーカーだ。同社のビジネスについて、PAX Technology ヴァイス プレジデントの Andrew wu氏に話を聞いた。
QR決済に対応した「A930」を提供
認証のノウハウ、生産ボリュームが強みに
――現在、日本でも中国の「Alipay」や「WeChat Pay」のQR決済が話題となっていますが、貴社の決済端末のビジネスはどのように変化していますでしょうか?
Andrew wu:決済端末ビジネスとして、現在は3つの方向性があると考えています。まず、弊社もAlipayやWeChat Payをサポートできるタッチスクリーン型の「A930」を開発しています。AndroidベースのスマートPOSとなり、PCI PTS5.x、EMVレベル1/2、コンタクトレスペイメント(非接触決済)の認証を取得しており、2G/3G/4Gでコミュニケーションできます。また、スクリーンも広く、見やすい作りとなっています(5インチ 720×1280ピクセル)。
現状、中国などではQRコードの決済は急速に伸びていますが、ヨーロッパではそれほど普及していません。ただ、今後は、アフリカの新興国で伸びてくると考えています。
――中国など、アジアの決済端末ベンダーの多くがタッチスクリーン型の端末を投入するケースが目立ちます。
Andrew wu:確かにAndroidベースの決済端末は中国で増えていますが、まず弊社はブランド名があります。また、ハードウェアに加え、サティフィケーション(認証)のノウハウがあり、いち早く市場に投入できます。さらに、弊社は生産のボリュームが多いため、コスト的にも優位性があるはずです。
スマートフォンと接続せずに起動するミニPOS「D220」を提供
「E800」は、流通の販売、支払い機能を実装
――決済端末についての、ほかの2つの方向性についてお聞かせください。
Andrew wu:2つめの方向性はミニPOS(Mini POS)です。4Gおよび3Gに対応した小型の「D220」は、非接触、接触IC、磁気に一台で対応します。これまでのmPOSはスマートフォンとモバイル端末をBluetoothで接続するタイプでしたが、本端末は一台で起動します(OSはProlin)。すでにブラジルで200万台出荷しており、ヨーロッパでも10万台が出ています。
3つめがAndroidベースの端末「E800」で、流通の販売に適した機能を実装しており、支払いも行えます。
すでにグローバルでは3強の一角を自負
日本での決済端末の展開は?
――今回の展示会ではIngenico(インジェニコ)とVerifone(ベリフォン)といった、2強が出展していませんが、グローバルにおける貴社の位置づけについてお聞かせください。また、グローバルで展開する上での強みについてはいかがでしょうか。最後に、日本での展開については考えていますか?
Andrew wu:グローバルにおいて、すでに3強の一角になってきていると思います。今回の展示会でもさまざまな問い合わせがあり、多くの人がブースを訪れ、興味を示していただいています。
弊社は、イノベーションを生み出す力が強いと思います。また、いろいろなレンジの端末を提供しています。さらに、中国で競争力が高く、イノベーションを起こす努力を行っています。加えて、お客様のニーズに応えるフレキシビリティがあると考えています。日本での展開も行っており、日立と協業しています。
取材は2017年11月28日~11月30日までフランス・カンヌで開催された「TRUSTECH(トラステック)2017」において。