2018年5月31日8:24

まずは東南アジアの日系企業にSoft Spaceの決済サービスを紹介

マレーシアのSoft Space Sdn Bhdは、アジア各国で10カ国20事業者へ決済ソリューションサービスを提供する、ASEANを代表するフィンテックベンチャーだ。2017年1月13日には、三井住友カードと主に東南アジアにおける決済ソリューション事業での協業に関して基本合意書を締結した。同社 チーフ・エグゼクティブ・オフィサーのJOEL TAY(ジョエル・テイ)氏に、スマートフォン決済端末、アジアで初めてEMV Level2の認定を取得したクラウド型データセンターなどの決済サービスの強み、三井住友カードとの提携に至った経緯について、話を聞いた。

中央がSoft Space Sdn Bhd チーフ・エグゼクティブ・オフィサーのJOEL TAY氏、右がチーフ・テクノロジー・オフィサーのNICHOLAS LIM氏、左がモバイル ソフトウェア デベロップメント ヘッドのKon Kar Hou氏

EMV Level2取得のクラウド型データセンター事業をアジアで初めて展開

――Soft Space様は、スマートフォン決済端末、自動改札、飲食店向け来店前オーダーシステムなど、アジア各国で多様な決済サービスをワンプラットフォームで展開されているそうですが、まずは貴社サービスについてお聞かせください。
Joel Tay:弊社は2012年に、スマートフォンを決済端末として利用するmPOS(モバイルPOS)の事業を開始しました。当時はmPOSのトレンドを捉え、大きく成長できましたが、その後、数多くの競合が登場しましたので、EMV Level2の認定を取得したクラウド型データセンター事業を世界で2番目、アジアで初めて開始しました。自身でセンターを構えて、端末自体も自ら開発することで、端末とセンター間のやりとりをコントロールし、自らのソフトウェアでアップデートすることが可能となっています。

――クラウド型データセンターを提供できるプレイヤーは世界でも少ないそうですが、その特徴についてお答えください。
Joel Tay:通常の決済事業と比べますと、かなり複雑な決済処理を行いますので、参入プレイヤーは少ないです。クラウド型データセンターの場合、端末とセンターの間では16往復、計32回のやりとりがあるため、どうしても時間がかかるのと、技術的なハードルが高まります。

また、決済処理を行う際は二拠点間の暗号化方式であるP2PE(Point-to-Point Encryption)を使用しています。かつ、暗号化を復号化する機能を用いて、電文のやりとりをしています。暗号化キーを毎回変更して、都度やり取りをすることで、セキュアな環境でトランザクション処理が可能です。さらに、各銀行内にサーバを設置することによりセキュリティを高めています。

10カ国で20の金融機関と提携、タイでは80%のシェアを占める

――アジア各国での展開についてはいかがでしょうか?また、各国のマーケットシェアについてもお聞かせください。
Joel Tay:ビジネスの開始当初、マレーシアの銀行にサービスを紹介しましたが、mPOS市場の黎明期で受け入れてもらえませんでした。そこで、タイのカシコン銀行に持ち込んだところ、面白いサービスであるという評価を得て、ローンチできました。カシコン銀行との成功を受け、その後マレーシアでもサービスを提供できました。東南アジアにおいて、タイはスタートアップを受け入れやすい環境があり、マレーシアは他国で流行ったものを追いかける習慣があります。

現在、10カ国、20の金融機関と提携していますが、タイとマレーシアが注力国となっており、タイでは80%のシェアを占めています。一方、マレーシアではmPOSプロバイダとしての展開ではありませんが、スタンドアロンの端末も含め15~20%のシェアを占めています。

――日本では三井住友カードと連携されました。まずは、日系企業等に最適なソリューションを紹介するそうですが、日本での展開も進めているそうですね。その期待についてお聞かせください。
Joel Tay:三井住友カードとは、まずシンガポールでお会いして、何度も打合せさせていただく中で、SMBCグループとしての顧客基盤を紹介いただき、提携することが有意義であると確認できました。

日本の国柄、安全で、セキュリティが整っていて、かつ人情味にあふれた方が多いです。現金を管理することが安価にできるため、キャッシュレスの広がりを阻害しています。弊社としては、キャッシュマネジメントにより、現金管理を安価に抑えられること、決済ソリューションによりキャッシュレスを安価に導入できる強みを活かし、日本のキャッシュレス社会への貢献ができると考えています。

日本では、決済事業の三井住友カードに加え、CRM展開を行うトランスコスモスに出資いただく中で、両企業を手厚くサポートすることを踏まえて、日本に拠点を設けることを検討しています。

ウォレットは台湾の「My FamiPay」等で採用、日本での展開も視野に

――スマートフォンのウォレット事業も展開されているそうですが、現状の広がりについてはいかがでしょうか?
Joel Tay:モバイルウォレットには2つモデルがあります。まずは、利用促進のため、加盟店と組むモデルとなりますが、すでに台湾のFamilyMart Taiwanが「My FamiPay」を展開しています。台湾の方々は日に3回ほどのティーブレイクがあり、モバイルウォレットを活用して利用を活性化しています。もう1つは子会社のFasspay(ファスペイ)があり、マレーシアでウォレットのイシュアとしてサービスを提供できます。こちらは、新規事業のため、サービスの広がりが期待できます。

日本市場においては、まずは端末を広めていくことが鍵となりますが、その後は自ずとモバイルウォレットを使いたいという加盟店が増えると考えています。

日本でもmPOSやクラウドセンターを提供、ソフトPINをいち早く展開へ

――日本での展開に向けて、具体的に提供されるサービスは決まっているのでしょうか?
Joel Tay:日本展開に向けては、クラウド型データセンターを利用して、端末自体をコントロールすることによりクラウド上でサービスを展開するモデルがまず挙げられます。もう1つは、「PIN on Glass(ピン・オン・グラス)」となり、小型の端末がスマートフォンと通信することで、スマートフォン自体に暗証番号を打つソフトPINでアクセプトするものです。すでに商品化は進んでおり、アジアでは初に近い形で認定を受ける会社となると思われます。

――今後の日本を含めたグローバルな目標についてお聞かせください。
Joel Tay:最初の5年間は面を広げ、10カ国でサービスを展開することができましたが、今後の展望として、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、日本の5カ国に注力していきたいです。この5つのマーケットでよりお客様と深いつきあいをしていくことで、今後5年の成長が見えてくると思います。

また、弊社はフィンテックベンチャーとして、新しいことを展開する企業ですので、KPI(Key Performance Indicator)として、トランザクションボリュームや売上よりも、1年で2~3の新しいテクノロジやソリューションを開発することを重視しています。

三井住友カードは東南アジア初、フィンテックベンチャーへ出資

三井住友カードでは、2014年に東南アジア市場調査室を設立。2017年1月、Soft Spaceと東南アジアで革新的な決済ソリューションを提供するための覚書(MOU)に署名している。また、Soft Spaceに対して、東南アジアでの初めて出資も行った。両社のMOUパートナーシップの対象国には、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、カンボジア、インド、日本が含まれる。

三井住友カードは、SMBCグループと連携し、まずは日系企業や地場銀行に対して、最適なSoft Spaceのソリューションの紹介を行う。今後三井住友カードはそれらソリューション導入企業との関係を通じ、現地での提携カード発行(カード発行事業)、加盟店契約(アクワイアリング事業)の実現を目指すとともに、日本における協業も検討しているそうだ。まずは東南アジアでの展開から開始するが、「日本でもできるだけ早くスタートできるように、鋭意取り組んでいます」と、三井住友カード 戦略事業開発部 平山貴樹氏は話す。また、「弊社はイシュイング(カード発行)とアクワイアリング(加盟店開拓)の基盤がありますが、Soft Spaceはイノベーティブ企業のため、協業して日本でソリューション展開することも考えられます」と、戦略事業開発部 グループマネージャー 西村英晴氏は期待する。スマートフォン決済サービスの展開として、EMV接触や非接触、磁気カードの利用に加え、日本で主流なFeliCa対応も進めているという。

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