LINE Payが国内最大のインバウンド決済サービス目指す決意を表明(LINE Fintech Conference)

2018年11月29日8:00

アジア6か国・地域のインバウンド対応決済サービスを拡充

LINEは、子会社であるLINE Financial、LINE Payが推進するフィンテック事業領域に関する事業戦略発表会「LINE Fintech Conference」を2018年11月27日に都内で開き、コミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」上で展開するモバイル送金・決済サービス「LINE Pay」の国内加盟店が、訪日インバウンド需要の取り込みが可能になるグローバルな戦略的提携を発表した。(ライター 小島清利)

LINE Payが中国最大のSNSアプリ「WeChat」を展開するテンセントと提携

事業戦略発表会で、LINE Pay COO 長福久弘氏は「今回の提携をきっかけに、国内ナンバーワンのインバウンド対応決済サービスの実現を目指す」と語った。

テンセントのWeChat Pay担当バイスプレジテント李培庫氏(右)と握手を交わすLINE Pay COO長福久弘氏

LINE Payは、中国最大のSNSアプリ「WeChat」を展開するテンセントとの戦略提携を発表した。「WeChat Pay」ユーザーが訪日時、LINE PayのQRコード決済に対応する加盟店や決済対応箇所で支払いが可能になる。2019年の早期のサービス開始を目指す。開始当初は、「LINE Pay 据置端末」「プリントQR」のみの対応となる予定。

さらに、2019年中に韓国最大の検索サイトを運営するNAVERとも提携し、Naver Payユーザーが訪日時にも、LINE PayのQRコード決済に対応する加盟店や決済対応箇所で支払いを可能にする。

今回のグローバルな戦略提携で、LINE Pay加盟店にとっては、訪日観光客数ランキング(日本政府観光局調べ)1位と2位の2か国のサービスユーザーの取り込みが可能になる。

フィンテック事業領域に関する事業戦略発表会「LINE Fintech Conference」

台湾、タイ、インドネシアのユーザーも、日本での支払いをスムーズに

LINE Payは、日本、台湾、タイ、インドネシアの「LINE」の主要4か国・地域で1億6,500万人の月間アクティブユーザーを持つアジア最大規模のコミュニケーションプラットフォーム上で4,000万人の登録ユーザーを保有している。

これまで、LINE Payは、「LINE」のローカリゼーション戦略の下、各国・地域で独立したサービスとして運営してきた。2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年の大阪万博など国際的なイベントの開催を控えて、さらなる増加が見込める訪日客へのスムーズな決済サービスの提供を促進することで、日本国内のユーザーだけでなく、さらに大きなユーザー規模であるインバウンド需要の取り込みを可能にする狙い。

日本以外の台湾、タイ、インドネシアの「LINE Pay」ネットワークとも連携し、それぞれのサービスのユーザーが、日本でも普段の生活で「LINE Pay」を使うのと同じように、支払いできる仕組みを構築していく。国内加盟店にとっては、全世界の「LINE」、「LINE Pay」のユーザーが見込み客になる。とりわけ、台湾の訪日観光客数は中国、韓国に次いで多く、「LINE Pay」は台湾では最大級のモバイルペイメントという。

LINE Payは、アライアンスに参加する各国・地域の決済サービスユーザーが訪日した際、日本国内の「LINE Pay」加盟店・対応箇所で、新たなアプリダウンロードや新サービスの登録の手間をかけずに、支払いを可能にする。2019年からの展開を開始する。

JapanTaxiタブレット搭載タクシーでスマ決済可能に

このほか、LINE Payは、全国約7万台のタクシーが呼べるアプリ「JapanTaxi」を展開するJapanTaxiとの提携を発表した。12月10日から、JapanTaxiの広告タブレット・決済機能付きタブレットの支払い手段に「LINE Pay」が追加される。

「LINE」アプリの「ウォレット」タブから、「コード支払い」を表示し、タクシーに設置されたタブレットのカメラで読み取らせることで、スマートフォンでの支払い決済が可能になる。

JapanTaxiのタブレットは、東京都内では日本交通、帝都自動車交通の合計5500台に導入され、北海道、東京都、埼玉県、神奈川県、京都府、大阪府のタクシーに設置されている(2018年11月27日現在)。今後、順次台数を拡大し、2020年までに、全国のタクシーの4台に1台を占めるまでに増加させていく計画という。

みずほフィナンシャルグループと新銀行設立を検討開始

みずほフィナンシャルグループ 副社長 岡部俊胤氏とLINE CEO 出澤剛氏

「LINE Fintech Conference」では、LINEとみずほフィナンシャルグループは、両傘下のLINE Financial、みずほ銀行を通じた共同出資による準備会社の設立で合意したと発表した。準備会社では、関係当局の許認可などを前提に、新銀行の設立に向け、準備・検討を進めていく。

LINEとLINE Financialは、コミュニケーションアプリ「LINE」を通じ、投資サービス「LINEスマート投資」、保険サービス「LINEほけん」を展開。そのほか、証券、ローンなどの金融サービスの準備を進めている。各種金融サービスをより便利に利用してもらうために、銀行業への参入を決定した。

LINE CEO出澤剛氏は「月間利用数7,800万人を超えるユーザーベースを持つLINEと、みずほ銀行が培ってきた銀行業におけるノウハウを生かし、親しみやすく利用しやすい『スマホ銀行』を提供することで、銀行をより身近な存在へと変化させたい」と語った。

新銀行の概要、具体的なサービス内容、スケジュールなどについては、今後、準備会社で検討を進めていく。

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