2018年12月13日6:00
2020年東京オリンピック・パラリンピックを活用した地域活性化推進首長連合(以下、首長連合)と、ワンテーブル、ラカラは、「インバウンド×キャッシュレス地域経済活性化最先端モデル事業」を実施することを決定。オリンピックを契機に高まるインバウンド需要をチャンスととらえ、訪日中国人旅行客を各地域に誘客し、地域活性化を推進することを目指す。2018年12月12日に、この事業説明会と、主催3社による調印式が行われた。
インバウンド需要を取り込むため全国500超の市町村が参加
市町村単位でキャッシュレス化を推進
「インバウンド×キャッシュレス地域経済活性化最先端モデル事業」は、年々高まるインバウンド需要を積極的に取り込み、地域活性化につなげるために、市町村単位でキャッシュレス化を推進する取り組み。特にキャッシュレス決済が当たり前になっている中国からの旅行客には、キャッシュレス対応が必須。対応できなければ即、販売機会ロスにつながるが、地方ではいまだ、クレジットカードすら使えない店舗が少なくないのが現実だ。
首長連合には、2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機として各地域の広域的な連携を深め、地方創生の実現を目指す、全国573団体が会員として参加している。会長の國定勇人氏(新潟県三条市 市長)は、「この事業を通じて、各地域に、オリンピック・パラリンピックの果実を届けたい」と述べた。
具体的には、ワンテーブルが企画プロデューサーとなって首長連合と提携し、首長連合の会員に対し、地域の小規模の個店から商店街、スーパー、飲食店、百貨店、商業施設、スキー場、観光農園、祭りなどの事業者に、ラカラジャパンから無償で、専用機または静的QR(シール)などのキャッシュレス決済ツールを提供する。2019年1月より研修を兼ねながら順次、運用を開始し、春までの本格運用を目指す。
ラカラの端末では現在、Alipay、WeChat Payなどの中華系決済が可能。各地域で実際に使用された中華系決済の売上の0.1%が、自治体または地域の企業や団体に還元される。さらに2019年2月末までに一部の日系QRコード決済、春にはクレジットカードとこれに対応する国内QRコード決済、6月にはFeliCa系電子マネーへの対応が可能になる予定だ。
ラカラが数千人のWeChatフォロワーに情報を発信
中国からの誘客を促進
店舗・施設等の事業者は、イニシアルコスト、ランニングコストをかけずに、すぐにキャッシュレス決済サービスを導入することができる。これまでインバウンド対応を行っていなかった店舗・施設に対しては、インバウンドの受け入れ体制の構築、商品・観光資源の開発などを、ワンテーブルが支援する。
ラカラは、数千人規模のWeChatの同社のフォロワーに対して、各市町村の情報を配信し、中国からの誘客を積極的に支援する。また、市町村や各店舗・施設の専用ウェブサイトを作成し、ラカラ会員1億人に向けて情報を発信する。
ラカラではこの取り組みを、同社のグローバル戦略の第一弾と位置付けている。ラカラペイメント 国際事業部 総裁の程菲(テイ ヒ)氏は、「ぜひとも成功させたい」と意気込みを語った。
「自治体Pay」の発行によって地域ならではのサービスを提供
地域内でお金が回る仕組みを構築
これらの情報発信により訪日旅行客の「旅マエ」をサポート。「旅ナカ」では端末・APIの提供を行ってポイント決済を可能に。「旅アト」には、旅行先の関連商品を越境ECで販売することによって、地域活性化を継続的に支援していく。
2018年3月に観光庁が実施した「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」の結果によると、インバウンドが抱える課題は大きく、「言語」「通信環境」「支払い」の3つに集約できる。本事業は賛同企業各社の専門性を生かして、これらの課題解決に臨む。
Welltoolは自動翻訳サービスを、香港環球友隣有限公司はWi-Fiサービスを提供。ポケットチェンジは「ポケットチェンジPAY」を提供。キャッシュレスグッドは本事業を支援する「ラカラ基金」を運用・管理する。
そして、フェリカポケットマーケティングは、地域通貨「自治体Pay」を提供し、地域住民のみならず、インバウンドや国内旅行者に利用してもらうことで、地域ならではのサービスの展開をサポートする。「自治体Pay」では、地域ポイント、地域商品券、地域通貨(チャージ型マネー)の3つのサービスを連動させることで、地域のお金を地域で回す仕組みをつくる。フェリカポケットマーケティング 代表取締役社長の納村哲二氏は、「これまでの経験・実績を生かして、自治体Payで地方創生に貢献していきたい」と抱負を語った。