みずほ銀行のスマホ決済サービス「J-Coin Pay」の強みとは?

2019年2月21日8:00

みずほフィナンシャルグループのみずほ銀行は、2019年2月20日に記者説明会を開催し、約60の金融機関と協働して、QRコードを活用したスマホ決済サービス「J-Coin Pay(ジェイ コイン ペイ)」の提供を、2019年3月より開始すると発表した。

左からみずほフィナンシャルグループ 執行役社長グループCEO 坂井辰史氏、専務執行役員 CDIO 山田 大介氏

『送る』、『送ってもらう』、『支払う』がスマホで完結
現金そのものをコインで体現

「J-Coin Pay」は、『送る』、『送ってもらう』、『支払う』といった行為がスマホ上で完結できることに加え、金融機関の預金口座との入出金(アプリにチャージ/口座に戻す機能)についても、スマホアプリを利用して無料で行えるサービスだ。つまり、店舗の支払いに加え、個人間の送金まで、いつでも・どこでも・誰とでもできるのが特徴となる。みずほ銀行もしくは参画金融機関の口座保有者は、1円=1コインとして、アプリに口座からチャージして利用できる。みずほフィナンシャルグループ 専務執行役員 CDIO 山田 大介氏は、「現金そのものをコインで体現しました」と強みを述べる。

消費者のメリットとして、銀行の預金口座があれば、審査不要で、アプリのダウンロードのみで利用可能だ。また、チャージ方式のため、入金金額の範囲内で使うことができる。これにより、クレジットカード決済ではリーチできない層を取り込むことができるとした。

 

加盟店には安価な決済手数料を設定
法人における給与支払い、経費精算も視野に

加盟店には、クレジットカードよりも低い決済手数料でサービスを提供。また、タブレットがあれば導入が可能で、将来的には屋台なども想定した紙のQRの設置(MPM:店舗掲出型)も視野に入れる。

みずほフィナンシャルグループ 執行役社長グループCEO 坂井辰史氏は、「J-Coin Pay」の開始により、決済手数料やイニシャルコストを抑制できる点に加え、人手不足・人材不足の解消、インバウンド需要の取り込み、消費増税への対応などにもつながるとした。また、デジタル決済サービスは数多く登場しているが、「預金口座への戻しが無料でできるのは他社にはない強み」と坂井氏は話す。個人の決済やPtoP(Peer to Peer)の送金に加え、法人における給与支払い、経費精算でも活用してもらえるとした。

60の金融機関と連携へ
銀行のデータビジネスへの足掛かりに

「J-Coin Pay」は、みずほ銀行がサービスを担いつつも、チャネルは他の金融機関と協業して共通のサービスを展開する。具体的な特徴として、都市でも地方でも、全国さまざまなエリアでサービスが受けられることを挙げた。2月20日時点では、60の金融機関と連携してプラットフォームづくりを推進する。坂井氏は、「(J-Coin Payの)重要性について強く賛同いただいた」と説明する。みずほ銀行では、他社とのオープンな協業を積極化し、より付加価値の高い金融サービスを提供していく。今後は、信用金庫、信用組合、労働金庫にも広げていく方針だ。まずは、3月1日からみずほ銀行でアプリのダウンロードが可能になるが、3月25日に20行程度の参加を見込み、4月、5月と参画の金融機関を増やしていきたいとした。

「J-Coin Pay」により、金融機関は決済事業者へのチャージ元だけではなく、消費者に直接QR決済サービスを提供できる。これにより、決済情報を取得でき、データビジネスへの足掛かりになるとした。

銀聯、Alipayとの連携を発表
「pring」のノウハウをベースに独自サービスを提供

さらに、東京五輪に向け、世界の主要決済プレイヤーと連携。第一弾として、UnionPay(銀聯)、Alipayとの連携を予定している。海外プレイヤーとの連携時の情報管理として、「J-Coin Pay」の場合は、同サービスのゲートウェイシステムを通り、みずほが運用するJ-Coin Pay管理システムで処理を行う。一方、海外のユーザーの場合、決済時は「J-Coin Pay」のゲートウェイシステムを経由するが、海外QR事業者のシステムで処理されるという。国内・海外データは分別管理/分別処理され、ゲートウェイを通るデータは暗号化されたID情報のみとなる。

なお、「J-Coin Pay」は、「おくる、もらう、はらう」がすべて無料のスマホアプリ「pring(プリン)」のノウハウベースに独自サービスとして提供する。「pring」では、福島や福岡・北九州市で実証実験を行ったが、その結果などを元に今回のサービスを実現させた。「pring」の加盟店手数料は0.95%だが、「J-Coin Pay」は非公表となっている。

2月20日時点では、ウェルシア薬局、大創産業(ダイソー)、ビックカメラ、ファミリーマート、ヤマダ電機といった小売、すかいらーく、松屋、ロイヤルホールディングスといった飲食、コスモ石油などのサービスが導入を検討している。

まずは、連携金融機関70以上、加盟店数30万店以上、アクティブユーザー数650万人以上を目指す。2020年7月まで、如何に数値を拡大できるのかが試金石だとしたが、みずほ銀行では「勝算はある」と捉えている。

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