2019年11月5日18:30
野村総合研究所(NRI)、NRIセキュアテクノロジーズ、およびジェーシービー(JCB)の3社は、『デジタルアイデンティティ ~自己主権型/分散型アイデンティティ~』と題したレポートを共同で発行し、2019年11月5日に公開した。
デジタルの領域で利活用されるアイデンティティ情報は、「デジタルアイデンティティ」と呼ばれ、その情報に基づいてサービス提供者が利用者一人ひとりを識別することで、利用者の属性に応じた最適なサービスを提供することが可能になる。国内においても、5年後、10年後に向けてあるべきデジタルアイデンティティの姿を描くことが求められているが、すでに欧米において議論が本格化している、「自己主権型アイデンティティ」や「分散型アイデンティティ」の考え方が、今後のデータ利活用の制度設計やサービスデザインの際に重要になると考えられるとしている。
これらは、ブロックチェーンと分散型台帳の技術から発展した考え方であり、従来のアイデンティティ管理がいわゆる「GAFA」等の巨大IT企業や特定の組織によって実施されるのに対して、管理主体が「個人」である点で異なる。例えば、現在日本において構想されている様々なプラットフォームサービス(内閣府が進めている、スーパーシティ構想における「都市OS」機能等)の検討において、個人データを含むアイデンティティ情報は、限られた者に独占されることなく、セキュリティや個人情報保護の観点から、適切に扱うことが前提となっている。第三者ではなく個人による管理を前提とする「自己主権型アイデンティティ」「分散型アイデンティティ」は、これらの実現における重要な役割を担う可能性を秘めているとした。
同レポートでは、「自己主権型アイデンティティ」「分散型アイデンティティ」に着目し、これらを活用した海外の先進的な取組みを紹介するとともに、日本でのデジタルアイデンティティに関わる議論の本格化に向けて、提言を行っている。