大阪メトロ、顔認証やQRコード対応の次世代改札機実証実験 2025年の大阪・関西万博までの整備目指す

2019年12月10日8:00

大阪メトロ(大阪市高速電気軌道、本社・大阪市)は2019年12月10日から、長堀鶴見緑地線ドーム前千代崎駅など4駅で、顔認証機能を備えた次世代改札機の実証実験を始めた。事前に顔写真を登録しておけば、ICカードや磁気券を使わずに改札機を通過できる仕組みで、同社の社員を対象に2020年9月末まで実験を行う。2025年の大阪・関西万博開催を見据え、同年3月までに、全133駅、全改札での導入を目指す。(ライター・南文枝)

改札機に備え付けたカメラで利用者の顔を撮影し、事前に登録した顔写真と照合・認証する(大阪メトロドーム前千代崎駅で)

顔認証の入場システムは国内初
撮影データを本社内サーバで照合・認証

同社によると、顔認証を用いた入場システムは、国内の鉄道事業者では初めてという。同社は、18年11月に大阪・関西万博の開催が決定したことを受け、利用客の利便性を高めようとシステムの導入を検討。19年4月から、メーカー4社の協力を得て開発を進めていた。

実験では、ドーム前千代崎駅のほか、御堂筋線大国町駅、筋線動物園前駅、中央線森ノ宮駅に、顔認証で通過できる試作機を設置。改札機を通る際、備え付けのカメラで利用者の顔を撮影し、その特徴を大阪メトロ本社内の認証サーバに送信、事前登録された顔写真データと照合する。照合の結果、二つのデータが一致すれば改札機の扉が開く。

顔認証用カメラには録画機能はない。利用者の顔を検知、認識した時点で撮影データを特徴点データに変換し、認証サーバで照合する。ただ、現時点では、人によってはマスクをしていると認証できないケースもあるという。

また実験では、顔認証を利用しない人向けにQRコード対応の試作機も使う。スマートフォン(スマホ)などで改札機に読みこませたQRコードを本社内サーバに送り、事前登録したデータと照合、一致すれば改札機の扉が開く仕組みだ。

試作機は4社の協力を得て開発
約1,200人の社員が顔写真を登録

実験に用いる試作機は、東芝インフラシステムズ(ドーム前千代崎駅)、高見沢サイバネティックス(大国町駅)、日本信号(動物園前駅)、オムロンソーシアルソリューションズ(森ノ宮駅)の協力を得て開発した。ドーム前千代崎駅は12月10日から、他の3駅でも年内に実験を開始する。

実験に参加するのは、顔写真の登録に同意した社員。同社によると、現在、全社員約5,000人のうち、約1,200人が写真を登録しており、今後も増える見込みという。社員は各駅に設置された異なる改札機を利用し、その結果を集約して認証精度やスピードといった利便性、デザインなどについて比較・検証する。

また、実験期間は、改札機本体の顔認証用カメラ以外に、改札機の利用状況を俯瞰的に記録するカメラを設置する。改札機を利用した社員の歩行スピードや動きを録画して分析し、顔認証用カメラの精度向上などに役立てる。

大阪メトロドーム前千代崎駅に設置された顔認証とQRコード利用に対応した試作機。上部のカメラで利用状況を記録する

顔認証から改札機の扉が開くまで2~3秒、ICや磁気との比較は?
車いすやベビーカー利用者の利便性向上も

顔認証機能を利用すれば、ICカードや磁気券を出す手間が省ける(大阪メトロドーム前千代崎駅で)

12月9日には、ドーム前千代崎駅で試作機が公開された。事前に顔写真を登録した社員が改札機の扉に近づくと、備え付けのカメラが作動して顔を撮影。数秒後に認証され、扉が開いた。

同社によると、メーカーによって違いはあるが、現時点で、カメラが利用者の顔をとらえてから改札機の扉が開くまでの時間は2、3秒。磁気券を利用した場合と同じぐらいの速さだが、ICカード利用よりは遅いという。

2020年9月末の実験終了までに、随時試作機をバージョンアップし、認証精度や反応速度などを向上させていく。実験終了後は、期間中に得られたデータや社員からの意見、感想を元に納入メーカーを決定し、実用化に向けて開発を進める。顔認証入場システムの本格的な導入後も、ICカードや磁気券での入場は引き続き行えるようにする。

また、訪日外国人などの利用については、事前に専用サイトで顔写真を登録する、来日後、券売機で顔写真を登録するといった方法も検討するという。

大阪市高速電気軌道電気ネットワーク課 係長 井手貴大氏は「定期券をかざすという動作にストレスを感じる方もいらっしゃいますし、車いすやベビーカーを利用される場合、顔だけで通れるなど、お客様にとってメリットがあります」とシステムの実用化に期待する。同社にとっても、乗車券の販売などの駅での業務が減ると、コスト削減につながるという。

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