2020年1月21日8:10
シンガポールのLiquid Group(リキッドグループ)は、世界各国の決済サービス事業者とのパートナーシップにより、国境を越えたQR決済の相互利用を可能にするサービスを提供している。同社の取り組みについて、話を聞いた。
10地域のQRコード決済対応が可能に
2015年に設立したリキッドグループは、シンガポールに本社を置き、インドネシア、マレーシア、タイにオフィスを構えている。同社は、シンガポールにおいて、QRコード決済「 LiquidPay 」を提供している。また、クロスボーダーのQRコード決済のネットワーク「LiquidNet」を構築。通信事業者や銀行など、地域の決済サービス事業者とパートナーシップを結び、クロスボーダーのQR決済の受け入れを可能にしている。シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、カンボジア、フィリピン、香港、中国、台湾、韓国と、アジア10エリアのQRコード決済対応が可能だ。
共通の国境を越えた相互運用性フレームワークを提供することで、同社のネットワークを利用する加盟店は海外のQRコード決済を利用するユーザーを取り込むことができる。
シンガポールのチャンギ空港でサービスを開始
「ほとんどの国では、独自のQRコード決済サービスを提供しています。弊社のサービスはさまざまな国で利用可能であり、多くの国の中央銀行の担当者は、我々のビジネスのアイデアに興味を示していただいています」(Liquid Group EVP,インターナショナル ビジネス・エクスペリエンス&パートナーシップ Raymond Ng氏)
すでに、2019年4月に、国際的な空港であるシンガポール・チャンギ空港でサービスを開始。これにより、GrabPay、Liquid Pay、Singtel Dash、Ezi Wallet、PayNow QRアプリに加え、インバウンドのWeChat Pay、UnionPay(中国銀聯)、Alipayが利用可能だ。
日本での展開は? 2020年は20エリアで展開へ
同様のモデルは日本の都市や空港でも展開可能だとしている。Raymond Ng氏は、「例えば、タイのQRコード決済ユーザーが日本に訪れた時に決済できるサービスを提供でき、どこの国に行ってもモバイルさえあれば支払いが可能です」と説明する。日本での展開はまだ先だが、注目するマーケットであり、すでに決済事業者とは話し合いが進んでいるそうだ。
Raymond Ng氏は、「現在は10のマーケットですが、2020年にはミニマムでも20になる予定です。各国のナショナルバンクではQRコード決済を後押ししているところも多く、まずは自国でサービスを提供しますが、成功するとそれを海外で展開するか考えます。これは国家プロジェクトに近いですが、我々はそこを手助けしており、1つずつ扉を広げていきたいですね」と意気込みを語った。
※取材はSingapore FinTech Festival会場にて