2020年4月22日8:00
学生のITリテラシーを高め、社会で活躍できる人材育成を目指す
岐阜県大垣市の岐阜協立大学は、情報化がより一層進む社会に適応できる人材を育成することを目的に「岐阜協立大学スマートキャンパス構想」の事業を進めている。その一環として、QR/バーコードによるキャッシュレス決済を導入した。
ICT活用のスマートキャンパス目指す
証明書の支払いや売店で利用可能
岐阜協立大学は、ICT(情報通信技術)によるスマートキャンパス化を通じた学生のITリテラシー向上を目指す「岐阜協立大学スマートキャンパス構想」の事業を進めている。同大学は、地方にあるのどかな環境に位置する大学であるが、来るべき新たな社会において、都市部と同様に地方でもICTを活用する機会が多くなることを見据え、IoTによりサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)が連携され、すべての物や情報・人がつながったこれからの社会に学生が対応できるよう今後さまざまな事業を展開していく。
2020年度の新入生からは学生全員がiPadをもち、学外でも受講する授業資料を確認し、予習や復習ができるようにする。学生が使用する資料はiPad内やクラウド上に保存。学生のICT活用の利便性を高めるため、学内Wi-Fi環境を整備する予定だ。
大学担当者は「学生が社会に出た時に困らないよう、ITリテラシーを身につける必要があります。当たり前になりつつあるキャッシュレス決済が、学内で可能となる環境整備もその1つとなります」と説明する。
キャッシュレス決済の導入については、地元の金融機関からの提案も後押しとなった。大学担当者も「金融機関からの提案がITリテラシーを高めたい大学の思いと重なり、導入に至りました」と話す。
キャンパス内におけるQR/バーコード決済によるキャッシュレス化の第1弾として、「Origami Pay」を2019年秋から導入した。学生は、キャンパス内窓口に設置したタブレットのQRコードをスマートフォンで読み取ることで、「証明書発行手数料」「資格試験受験料」「実習料」等の納付が可能となった。
また、学内にある売店の中には、「PayPay」を導入している店舗もある。学生が日常的に利用する売店で使えるため、利用実績の向上も見込める。
キャッシュレス決済の導入で新たな発見もあった。金融機関がキャッシュレス決済のキャンペーンを学内で実施した際、学生に聞き取り調査を行ったところ、ほぼ全員がスマートフォンを所有してはいるが、QR/バーコード決済はもちろん、電子マネーも利用していない学生が大半であることがわかった。一方で、「いつかは使ってみたいと思っていた」「小銭を使うのは面倒なので興味はある」という学生の声が多くあがっていた。
キャッシュレスを広報誌やWebで説明
「学内の完全キャッシュレス化も視野に入れていますが、外部委託している売店や学食の業者との協議が必要となるため、導入には時間が必要です。しかし、大学が位置する大垣市を含む地域全体でQR/バーコード決済が使える店舗が増えています。学生には、キャッシュレス決済を使いはじめる際に、計画的な金銭管理ができるよう、事前チャージ方式での使用を奨励しています。これにより、学生の生活費を支弁する保護者の過剰な負担や不安を軽減することができます。学生のキャッシュレス決済を通じたITリテラシーの、より一層の向上を図るため、今後は広報誌やホームページなどにスマートフォン決済の記事を掲載するなど、継続して呼びかけていきます」と大学担当者は意気込む。
カード決済&リテールサービスの強化書2020より