茨城交通が高速バスでVisaのタッチ決済、QR決済を導入した理由とは?

2020年7月29日9:20

みちのりホールディングス(みちのりHD)の茨城交通では、2020年7月29日から、高速バス「勝田・東海ー東京線」でバス車内における「Visaのタッチ決済」、および「PayPay」、「Alipay」、「LINE Pay」の導入を開始した(「楽天ペイ(アプリ決済)」は8月中旬以降から対応)。導入の経緯とシステム概要について、茨城交通などに話を聞いた。

左から三井住友カード アクワイアリング統括部 部長代理 横山貴司氏、小田原機器 営業部 営業第1部 山口介都氏、茨城交通 運輸部 運輸課 運輸係長 関田純一氏、みちのりホールディングス 広報・マーケティング担当ディレクター 人事担当ディレクター 工代将章氏

実証実験でキャッシュレス決済のニーズを実感

高速バスのキャッシュレス決済の対象路線は、勝田・東海~東京線(東京駅~大洗IC~ひたちなか・東海)となる。勝田・東海―東京線ではキャッシュレス割引運賃を導入し、 起終点間2,300円を2,050円に(片道)する。

各社の役割として、みちのりHDがサービス設計、システム導入支援、茨城交通が高速バスの運行、システム運用、ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)がVisaのタッチ決済導入のための技術支援と普及推進活動、三井住友カードがキャッシュレス決済導入支援、小田原機器がキャッシュレス決済用システムの開発・提供となる。

キャッシュレス決済導入の理由は、バス利用者の利便性向上、新型コロナウイルスの感染予防、運転手の業務負荷の軽減、インバウンド観光客の利便性向上が挙げられる。

今回の導入に先駆け、茨城交通と小田原機器では、2019年7月29日~10月31日まで、茨城交通の運行する高速バスの車内において、QRコード決済の実証実験を実施した(関連記事)。茨城交通 運輸部 運輸課 運輸係長 関田純一氏は「3カ月の実験では、じわじわとユーザーが増え、最終的には10%弱の利用となりました。運転手の話ではリピーターの利用も増えていきました」と成果を述べる。当初から本格導入する予定で実証実験を行ったが、当時の実験でキャッシュレス決済のニーズを確認できた。

8インチのタブレットを車内に設置

新たに開始するキャッシュレス決済でもタブレット(Android)を用いたシステムを採用。小田原機器がキャッシュレスシステム用の機器とシステムを開発した。タブレットは、日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語の4言語 (5種)に対応したUI(ユーザーインターフェース)となる。茨城交通のバス13台に導入している。

新たに採用した8インチのタブレット

運転手は、充電されたタブレットを車内に設置。実証実験時は10インチだったが、乗務員からの視界がミラーと被る課題があったため、より小型で持ち運びにも便利な8インチを採用した。

乗務員のオペレーションの負担のない仕組みを採用

タブレットは、東海から東京、東海に戻るまで充電せずに電源を維持することが可能だ。高速バス車内のWi-Fiルーターを通じて、情報を更新し、運賃、路線のデータをダウンロード。乗務員は出発前に、東京行き、もしくは茨城行、出発時間を選択してセッティングが完了。各バス停ではバス利用者が手動で決済手段を選択し、支払いが可能だ。勝田営業所、東京駅ではチケットを購入する利用者も多いが、それ以外の停留所では現金で支払う人が多いため、キャッシュレス決済導入は有効だとした。

タブレットは、バスが走っているときは「運行モード」だが、停留所を測位すると「決済モード」に切り替わる。「GTFSデータ(公共交通オープンデータ)」の停留所座標とタブレットのGPSを活用し、現在位置・停車中 バス停を自動認識(自動歩進)する仕組みとなる。

茨城から東京は乗車時、東京から茨城方面は降車時に決済を行う。そのため、利用者の決済はすべて茨城県内で行われる。利用者は、希望する支払い手段を選択し、カードをリーダにかざしたり、スマートフォンの画面をスキャンすると決済が完了する。小田原機器 営業部 営業第1部 山口介都氏は「今回は、決済オペレーションをお客様自身に行っていただくことで、乗務員のオペレーションの負担のない仕組みを採用しています」と特徴を述べる。

国内交通機関でVisaのタッチ決済を初採用

このうち、Visaのタッチ決済については、バス車内における導入は日本初の導入となった。国内利用者に加え、海外の旅行者などに便利に利用してもらうことを想定している。キャッシュレス決済の支援を行った三井住友カード アクワイアリング統括部 部長代理 横山貴司氏は「今年はイオングループ、セブン-イレブンで採用されるなど、日本の加盟店でもVisaのタッチ決済は徐々に普及しております。今回の高速バスへの初導入もその1つとして期待しています」と話す。Visaのタッチ決済は、すでにロンドンやシンガポール、ニューヨーク等の公共交通機関で利用可能だ。さらに、世界500の公共交通機関における導入プロジェクトが進行中だ。当然、日本においても日常利用推進のカギとなる交通分野での初導入に期待しており、「ラッピングバスの展開を計画しております」(Visa広報)とした。

支払い前の画面
Visaのタッチ決済はタブレットにかざすことで支払いができる

茨城交通では、国内の交通機関でのブランドルールが整備されているVisaのタッチ決済を導入し、ブランドルールに適用している三井住友カードと契約した。「バス利用者には、店舗で買い物されるのと同様の流れでご利用いただけます」(横山氏)。今回のVisaのタッチ決済のネットワークは三井住友カード等が提供する「Stera」を使用している。Visa以外の国際ブランドは、交通機関における国内のEMVコンタクトレス決済のルールが定まっていないが、それが整い次第、順次導入を検討していく。

なお、交通系等の電子マネーに関しても検討中で、今後利用者のニーズがあれば導入していきたいとした。

QRコード決済はCPM方式で実施

QRコード決済は、「PayPay」、「Alipay」、「LINE Pay」と利用者が多い手段を採用し、8月中旬から「楽天ペイ(アプリ決済)」にも対応する。QRコード決済の利用形態は、CPM方式(利用者提示型コード決済:Consumer Presented Mode)を採用。利用者のスマートフォンにQRコードアプリを表示し、車内設置のタブレットにQRコード画面をかざすことで決済が可能だ。

タブレットにQRコードをかざすと支払いが可能

QRコード決済のゲートウェイはSBペイメントサービスが担っているが、各決済事業者との加盟店契約は茨城交通が独自に行っているという。

みちのりグループでは、今回同様のキャッシュレス決済を、今後、積極的に展開していく。第二弾として、9月下旬に岩手県北バス106急行(盛岡―宮古)、第三弾として10月下旬に福島交通・会津バスの会津若松・福島・相馬―仙台空港線への導入を予定している。

※誤解を招く表現があったため、内容を一部修正しております(7月29日)。

来年度に向けて、高速バスでの導入は加速?

小田原機器によると、高速バスは車内のWi-Fi環境整備を進めているところも多いため、料金を抑制できるメリットがある。また、国の補助金を利用して、費用を抑えて導入を進めることも可能であり、来年度に向けて導入は加速するとみている。すでに小田原機器には、サービスデモや見積依頼の問い合わせがあったという。山口氏は「ICカードのリーダを設置するシステムに比べて、タブレットを用いた今回の仕組みでは安価にご提供可能です。茨城交通様の仕組みとアプリを共通にすれば、他の事業者様でも開発コストを抑えることが可能です」と話す。

今後は、高速バス以外の路線での採用も期待されるが、Wi-Fiの整備が必要となり、乗車区間によって変動する運賃での運用を固める必要がある。また、後方で乗車して前方で降車となるため、機器のコストが負担になる可能性もあるとした。

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