2012年6月6日10:00
日本クレジット協会(JCA)は、「日本におけるクレジットカード情報管理強化に向けた実行計画」を発表した。JCAのインフラ整備部会が経済産業省と連携し、同実行計画を策定した。
今回の実行計画は、国際ペイメントカードネットワークにつながる日本のカード決済にかかわるすべての事業者が、相互に高度なセキュリティレベルを確保するためのものとなる。また、VisaやMasterCardが欧米諸国の実情に合わせてPCI DSSの要請レベルや遵守期限などを設定したが、必ずしも日本の実情に合っていないという声もある。そのため、日本の実情に即した内容とスケジュールによる強化策を構築し、実効性を確保することも目的となっている。
適用対象は、自社でクレジットカードを保持していることが前提となる。また、対象は、「クレジットカード会社」、「加盟店」、「決済代行事業者」となっている。加盟店については、①非対面/ネット取引、②対面/POS取引、③対面/スタンドアロン、クレジットカード会社については、①アクワイアラ、②プロセッシング、③イシュイングのそれぞれ3形態に分けられる。
加盟店の対象は、レベルA~Dの4つに分類した。レベルAは、年間の決済件数がアメリカン・エキスプレスの250万件以上、JCBの100万件以上、MasterCardとVisaの600万件以上の対象企業のうち、2ブランド以上の基準に該当した企業を4ブランドにより選別する。レベルBは、レベルA以外で、年間のトランザクションが100万件以上、対面のPOS加盟店となる。レベルCは、年間のトランザクション件数が100万件未満の加盟店となる。また、対面/スタンドアロンの形式についてはすべて対象となる(レベルD)。
クレジットカード会社は、アクワイアリングまたはプロセッシング業務を行っている企業がレベルA、イシュイングのみでクレジットカードの発行枚数が100万枚以上の事業者がレベルB、イシュイングのみでクレジットカードの発行枚数が100万枚未満の事業者がレベルCとなる。
JCAでは、クレジットカード情報管理のための基準をPCI DSSとし、レベルに応じた準拠対応を整理している。具体的には、PCI DSSの遵守期限、センシティブ認証情報の非保持、クレジットカード情報の非保持が求められる。センシティブ認証情報は、完全な磁気ストライプデータやチップ上の同等データ、CAV2/CVC2/CVV2/CID、PIN/PINブロックの情報を保存しないこととなる。また、クレジットカード情報の非保持はペイメントカードの「伝送/処理/保存」のすべてをサービスプロバイダなどに委託し、自社では業務を行っていないことを指している。
今回の実行計画により、まず決済代行事業者の場合、形態を問わずすべての事業者が2013年3月までのPCI DSS準拠が必要となった。また、レベルAで非対面のネット加盟店は、センシティブ認証情報非保持が2012年9月まで、PCI DSS準拠が2013年3月までとなっている。さらに、レベルAの対面/POS加盟店の場合、センシティブ認証情報非保持が2013年3月まで、PCI DSS準拠が2018年3月までに設定されている。
レベルBで非対面のネット加盟店の場合、センシティブ認証情報非保持が2012年9月まで、PCI DSS準拠もしくはクレジットカード情報非保持への対応が2013年3月までとなる。また、レベルBの対面/POS加盟店は、センシティブ認証情報非保持が2013年3月まで、PCI DSS準拠が2018年3月までとなる。レベルCの対面/POS加盟店についても、2018年3月までにPCI DSS準拠またはクレジットカード情報非保持に対応しなければならない。
一方、対面/スタンドアロンの加盟店については、2013年3月までにクレジットカード情報非保持への対応が必要となる。
クレジットカード会社については、レベルAのアクワイアラとプロセッサ、レベルBのイシュアは、2018年3月までにPCI DSSへの準拠が必要となる。また、レベルCのイシュアは、他社クレジットカード情報非保持が求められる。